義兄妹同士の恋愛はアリですか?

@k-pum

・プロローグ

ピンポーンっと家のチャイムが鳴る。そうか今日は新しい家族が来る日か、と本を読みながら思い出していた。

 まぁ父さんの決めた相手なら間違いないだろうし、亡くなった母さんもこれで喜んでくれると思うと、当時10歳の僕は考えていた。特に興味も無かったけれど、いつまでも亡くなった母さんの事にとらわれている父さんが再婚することは嬉しかった。これから「家族」としてそれなりにやっていければ良いなとは思っていた。

「はいはーい」

と上機嫌で父さんが玄関を開けて話をしている。

すると父さんが僕に向かって

「おーーい優(ゆう)人(と)、莉(り)央(お)さん達来たぞーー、挨拶しろ~~」

と言ってきた。

父さんには再婚する前から、再婚相手方と会わないか誘われていたが別に僕がいたところで邪魔になるだけだろうと思い断っていたので、今日が初対面になる。

そして僕は

「今行くよーー、ちょっと待ってて」

と言い玄関に向かった。



私は「男」と言うものに対して嫌悪感が有った。5歳の時に借金を母に押しつけ蒸発した父に対する「怒り、悲しみ」がそういう感情を当時の私に起こさせたのだと思う。

しかし、そんな私の心を開かせてくれたのが、今日から「家族」になる義父親である。

でも、週一回の「親睦会」にも来ない義兄に対しては、まだ信用していない。まぁ義父親の息子とは言っても、ちゃんとした奴に育つのは疑問がある。

階段からその義兄が本を読みながら、降りて来て、途中で階段の下にある手すりのスペースに本を置き義兄が玄関まで来る。私はとっさにお母さんの後ろに隠れた。



そして僕は玄関まで行き、淡々と挨拶する。

「初めまして莉央さん。僕の名前は綾(あや)戸(ど)優人(ゆうと)です。どうか今日からよろしくお願いします。」

そして莉央さんも

「初めまして、優人くん。今日からお世話になります。本が好きなのねーー、よろしくね!あと、今からじゃ無くても良いから出来れば私のこと、『お母さん』って呼んで欲しいな!なんてね!」

と優しく、フランクに答えてくれた。

大丈夫だ、この人なら「家族」としてやっていけると直感的に感じた。

なので僕は

「こちらこそよろしくお願いします『母さん』」

とちょっと照れながら言った。

莉央さんは思いのほか嬉しそうだった。そして

「ほーーら、姫莉(ひめり)!お兄ちゃんに挨拶しなさい!」

と照れ隠ししながら、「義妹」に言う。

すると「義妹」が顔を出した。その瞬間、僕は衝撃を受けた。こんなにも可愛く、儚げで、美しいものがこの世にあるのだと知った。この一瞬で僕は「恋」に落ちてしまった。



私はお母さんの後ろから義兄との会話を聞いていた。声は優しく、礼儀も正しい、お母さんに対してもそれが感じ取られた。そこで、お母さんに「ほーーら、姫莉(ひめり)!お兄ちゃんに挨拶しなさい!」と言われたので顔を出した瞬間、私は衝撃を受けた。こんなにも誠実でカッコ良く、真面目で優しい人はいないと直感的に感じ、この一瞬で私は「恋」に落ちた。



この後の会話はグダグダであった。優人が赤面しながら

「こ、こ、こんにゅちゅわ、ひ、ひめりちゃん、今日からよ、よろしゅく!」

と、いつも冷静な優人がカミカミで話して更に赤面し、姫莉も姫莉で赤面しながらカミカミで

「こちゅりゃこしょ、よ、よろしくおにぇがいします。お、お、おにぃ、優人さん!」

と恥ずかしがりながら話す。


こうして、2人は出会った。


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