僕の初恋相手がまさかの幽霊でした
くのまる
第1話
僕は今、一人暮らしをしているサラリーマン。一人だから寂しいとか多少はあるが、今はある趣味を見つけたので、有意義に時間を使えている。それは『チャット』だ。ネット上で気が合ったある人と最近ずっと喋っている、もちろん仕事が翌日休みなら夜更かししてまで喋ってしまうほど、僕はその人と喋っている。
優しい性格、気の合う仲間...段々と僕は恋をした。見知らないから会おう、とまでは言えない。いや、言ったらきっと気持ち悪いと思われるからだ。最近はそういう事がキッカケで事件だってある。それを避けるべく、僕は会話だけで満足しようと気持ちを抑えた。
ある日の晩、僕は変わらず携帯でチャットをしていた。するとその人は突然とんでもない事を言い出した。
『もしも、今貴方の部屋に居るって言ったら怒る?』
何を言ってるんだ、怒るより驚くよ。
...そう僕は言葉を返した。正直本気かと思って辺りを見てしまったが、ちょっとした冗談だと分かり苦笑して文字を打った。僕はその後、歯を磨きに席を外した。その時突然電気が消えた。ブレーカーでも落ちたかなと手探りで暗闇を歩いた。カチッとスイッチを入れ、洗面台に戻ろうとすると、居間から視線を感じた。反射的に居間を見ると、思わず眼を見開いた。
人だ、しかも知らない女が部屋に居る。僕は刺激しないよう心臓をバクバクさせながら、ゆっくり喋る。
『な、何で勝手に人の部屋に...部屋...ま、間違えてますよ。』
女は無言で此方を見た。
机の上に置いてあった携帯を手にして、僕の元に向かって歩いてきた。距離が近くなる度に感じる寒気、よく見ると血色の悪い肌色。何だか薄気味悪いと思いつつ ようやく口を開いた女はこう言った。
『私が...見えるの...?』
お前大丈夫かと言いたくなった。
『でも...部屋に居るって言ったわ...』
僕はその言葉の意味が分からなかったが、その人が携帯を持って僕に近寄って来た...その行動で意味が分かったのだ。彼女は僕と話していた人物だと。嬉しいワケ無い、勝手に今まで居たのかと思うと恐怖が湧いてくる。だが彼女は僕を指差して長い前髪の隙間から見える僅かな瞳で僕を見てから。
『でも勝手に居たのは..貴方なのよ。』
その言葉を聞いた途端、嫌な予感がした。
今まで部屋に居た時点で隠れていたのかと、考えていたが有り得ない。だって今の今まで隠れていたのだという事に気付かなかった。きっと普通なら何か気配を感じるのだろうけど、この女からは何も感じない。僕はつまり、今の今までずっと恋していたのは-----
『幽霊...なのか?』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます