ハリネズミに贈る歌

立川マナ

プロローグ

 東京に来て初めての冬。クリスマスを前に浮き足立つ街で、私はあの人に会った。

 あれから五年が経ち、私は駅前の広場でアコースティックギターのケースを背負って立っていた。あと半年もすれば、ここには巨大なクリスマスツリーが立って、あたりを煌びやかに照らすだろう。あの人の歌声が響いていた、あのときのように――。

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