第7話 新しいお家

うっ。目眩が。

魔力が一気に吸い取られる感覚がした。


『お部屋ができたよ~。』とティアから声がかかった。

魔力は魔石から吸収することで回復することができた。

なんか人間をやめてしまったのかもしれない。


「姫、これから暮らしていく部屋というか、家が出来たから一緒に見に行こう。」


「え? 家作ったの? どこに?」


「異空間にだよ。んじゃ、早速行ってみようかね。」


『ティア、よろしくね。』


姫の部屋の壁に触れると魔法陣が現れて、ドアが出現した。

ドアを開けるとソファーと大きなTVがあるリビングがあった。

その奥にはテーブルと椅子が並びカウンターキッチンになっていた。

左側に寝室。もちろん、ダブルベットだ。

右側にトイレと風呂があった。

リクエスト通りの大きめの風呂だった。

しかも温泉だった。

依頼以上の仕事をしてくれるティアはすばらしい。

心を読んでティアはおそらくニヤニヤしているだろう。


「すごいね、りゅうちゃん。今の家より住みやすいんじゃない? 大きさも丁度いいし、住み心地も良さそうよ。」


「じゃあ、準備ができたら出発しよう。とりあえず、まずは一番最初にゴブリンを倒した崖崩れのゲートを塞ぎに行こう。あと、この革の装備を着けてくれ。」


姫が装着しているうちに姫に魔法を付与した。


「姫には後方支援を担当してもらうね。魔法を付与したからよろしくね。あと、これが魔法の杖ね。」


『ティア、姫のフォローもよろしく。』


『わかった~。姫ちゃんのことは任せといてね~。』


『うん。ティアちゃん、よろしくね~。』


『ティア、転移のフォローよろしく。行き先は崖崩れのゲートだ。』


装備を整えた姫の手を握った。


『転移先の設定完了。転移魔法起動!』


転移が完了すると、あの日止まってしまった電車から下車した場所だった。

崖崩れの現場では警察と自衛隊が多数のゴブリンと戦闘していた。

形勢は不利のようだ。怪我人も多数いる。

すぐに援護に向かうことにした。


「よし、行くぞ!」


すると姫から支援魔法が飛んできた。

加速と攻撃力UP、防御力UPのバフが着いた。

鉄の剣を握りしめ走った。

ゲートの出口に大きなファイアボールが炸裂し、ゴブリンたちが吹っ飛んだ。

姫が放ったファイアボールだった。

その音に驚き、敵、味方ともに動きが止まってしまった。

その隙に俺が走り抜け、次々と残ったゴブリンの首をはねていった。

あっけなく戦闘は終了した。

ゴブリンはもう敵ではない。

そのあと、神社の時と同じように穴を塞ぎ、結界と封印を施した。

世界最初にできたゲートは封印された。


「ありがとう。助かったよ。君は強いね。我々もいろいろと試したのだが穴を塞ぐことができなかったんだ。他の穴もたくさん残っている。頼む、塞いでくれ。」


「そのつもりです。この近くにこのような穴はありますか?」


「ここから5km先にも穴がある。仲間が今も戦っていると思うから助けてやってくれ。」


「わかりました。それでは急ぎますので失礼します。」


君の名は~と遠くから聞こえたが無視して次のゲートに向けて走った。

もちろん姫は抱えている。


その日の夕方のニュースで俺のことが話題になっていたようだ。

頼むから犯人捜しのような特定作業はやめてくれ。

仮面をかぶろうか検討中だ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る