こんな世界になってしまったが、お前だけは俺が守ってみせる

蒼い空

第1話 プロローグ

俺の名は桜井隆司。

某県立高校に通う高校1年生だ。

今朝も同い年の幼馴染である佐藤姫香のモーニングコールで目覚め、一緒に登校するところだ。

俺は姫香をひめと呼び、姫は俺をりゅうちゃんと呼ぶ仲だ。

迎えに来た姫に玄関で挨拶をし、自転車で登校するのがいつもの流れだ。

入学当初はそれぞれが自転車に乗り登校していたが、ひめの体力のなさで置いてけぼりにしてしまうのでいつからか二人乗りで登校するようになった。

抱きつかれて背中に感じる温もりと柔らかさでドキドキしているのは姫には内緒にしている。

しかし、今朝は昨日からの大雨で自転車での登校は不可能。

仕方なく、電車で登校することになった。

学校は4つ先の駅にある。

俺は175cmほどで比較的に長身である。

姫は小柄で150cm弱であり、電車の吊り革がとどかない。

そのため、電車に乗ったときは俺にしがみついている。

他の男子高校生から嫉妬の目で見られているが気にしない。

ちなみに姫は、小柄でかわいい系のロリ巨乳だ。

自慢の幼馴染で俺の大切な人である。

すると乗客たちの携帯が一斉に鳴り響き、突然電車が急ブレーキをかけた。

右手で吊り革を強く握り、左腕で姫を抱きしめて衝撃に備えた。

なんとか踏みとどまった。

姫も無事で安心した。

ほっとすると電車が揺れていることに気が付いた。

その揺れがどんどん大きくなってくる。

すると車内アナウンスが流れた。


「ただいま地震速報により電車を急停止いたしました。大きな揺れが来る可能性があるため、揺れに備えてください。」


すでに揺れているのだがと思いつつ、姫を抱きしめて大揺れに備えた。

すると数秒後に電車が転がるのではないかというぐらいの地震が来た。


「りゅうちゃん、こわい!」


「俺が守ってやるから安心しろ」


数分ぐらい続いたのではないだろうか。

非常に長く感じたがやっと揺れがおさまった。


「前方の崖が崩れ線路を塞いでしまったため走行不可能となりました。お客様は下車し、最寄りの駅まで徒歩で移動し安全の確保をお願いします。」


そして、ドアが開いたので線路に降りることにした。

危険なので姫を抱き上げて電車から降ろした。

進行方向を見ると確かに崖崩れが発生し、線路が埋まっていた。

アナウンス通り最寄りの駅に戻るしかなさそうだ。

崩れた崖を見ていると何か動くものが現れた。

なんだろうと凝視していると子供ぐらいのサイズのものが近づいてきた。

身体は緑色、犬歯が発達しており耳が大きい。

ラノベ好きの姫がゴブリン?と言った。

RPG好きの俺もゴブリンを知っている。

持っていた傘を構え臨戦態勢をとった。

飛び掛かってきたので傘を思いっきり突き出すと丁度ゴブリンの目に突き刺さった。

大量の緑の血を吹き出し、断末魔の叫びとともに倒れた。

すると頭痛とともに脳内に声がした。


『最初に魔物を倒したあなたには創造神の加護が与えられました』

『ステータスが与えられました』

『レベルがアップし、Lv.2となりました』


「え? 創造神の加護???」


「りゅうちゃん、大丈夫? ゴブリン死んだの?」


「たぶん、なんか倒したってアナウンスがあったし。」


「アナウンス?」


小首をかしげた姫がめっちゃかわいい。

すると倒れたゴブリンが輝き、光の粒子となり消えていった。

倒れていた場所には1cmほどの黒い小石が落ちていた。

拾い上げ、なんだこれと思うと


『スキル鑑定を獲得しました』


魔石: 魔物のエネルギー源。魔力を蓄積した石。魔道具の素材となる。


鑑定したらしい。

展開が早すぎて着いていけない。

俺だけでは消化できないので姫の助けを得ることに。


「えっとな。とりあえず、これから話すことを信じてくれ。俺には理解できないんだ。助けてくれ。」


「もちろん。りゅうちゃんのことはいつでも信じてるから大丈夫よ?」


「ゴブリンを倒したら、創造神とかいうやつから加護をもらったらしい。それでステータスやスキルができて、なんかゲームみたいになった。それでこの黒い石は魔石らしい。」


「え? やっぱりそんな感じなんだね。ゴブリンを見たときからそんな感じがしてたんだけど、異世界ファンタジーの世界になったってことかな? スキルがあるってことは魔法も使えちゃうのかも? ワクワクが止まらないよ、りゅうちゃん!」


なんかとっても嬉しそうな姫であった。

転移とか転生じゃないし、異世界とつながっちゃったってことなのかな?

なんとなく理解できてきたので現実を受け入れることにした。

そして今この場所は、その異世界とつながってしまったゲートのそばということになるのかな。

急いで逃げることにし、姫を抱きかかえてダッシュした。

もっと早く離れなければと思うと


『スキル身体強化を獲得しました』


身体の芯から力が湧きだす感覚がし加速した。

最寄りの駅に着くとパニック状態になっていた。

ゴブリンが現れ、警察が拳銃で撃ち殺したそうだ。

ここにも魔物が現れたということはたくさんゲートができたようだ。

家族が心配になってきたので急いで家に帰ることにした。

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