19話
「ん。感謝しろ」と砂丘を登ってきたノエルも、手に持っていたタブレットをウィツィロに渡し、海岸を眺めて顔を顰めた。
「生臭」
「な。正体あれだったな」
東条は頭の後ろで手を組み、捕らえた人間を海へと引きずり込んでいく深きものどもを「うわぁ」と眺める。
「どうする? 俺もう見れたから満足なんだけど」
「もっと近くで見たい。マサおんぶ」
「はぁ? やだよ自分で行けよ」
「あの海入りたくない」
「代わりに足になれって?」
「ん」
「ぶっとばすぞ」
『ww』『w』『可愛い』『我儘w』『おんぶくらいしてやれ東条』『そーだそーだ』『お前は何のためにそこにいる?』『少なくとも足になるためではないw』『あいつら人間海に連れてってね?』『レベルどんくらいだろ』『剣とか銛とか持ってる奴いるし、個体差ありそう』『こっわ』『よく見ると結構エグい光景だな』『普通に人死んでるし』『ここまで過激なの久しぶりかも』――
「じゃーんけん!」
「っおま、ポン!」
「やた」
「くッッそ」
少しだけテンションを抑えたコメント欄とは裏腹に、人の生き死にを見ようが何も変わらない二人。
嫌々長ズボンを捲った東条は、背中に飛び乗ってきたノエルに溜息を吐き、魔力を纏って立ち上がった。
「はぁ〜。どこに行きますかお姫様?」
「あそこ」
ノエルが指差す先には、別格で動きの速い教徒が一人。ディヴィナと同じ祭服を纏っていることから、彼女と同等の地位にいる者だろう。
「はいはい」
バチチッ、と東条の脚部に電流が走り、直後盛大に砂煙が舞った。
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