15話 到着
その後は三人で食事をとったり、談笑したり、ボードゲームをしたりして時間を潰している内に、いつの間にか全員疲れて眠ってしまっていた。
一人ソファで眠る東条と、ベッドで気持ち良さそうに眠るディヴィナと、抱きつかれて寝苦しそうなノエル。
朝起きて朝食を食べて、雲の上から夕陽を見て、満点の星空を寝っ転がって見上げる。
積もる話を消化しつつ、遊びながらダラダラと過ごしていると、三日なんて時間はあっという間に過ぎてしまった。
風を切る音が微かに響く中、日の出と共に訪れる……四日目の朝。
「ん……ぅんっ」
慣れ親しんだ気配に耳を立てたディヴィナ。ムクリと起き上がった彼女は、肩まではだけたネグリジェをそのままに、大きく伸びをしてあくびを一つ。
隣で可愛らしい寝息を立てるノエルをクスリと笑い、柔らかいほっぺをつついてベッドを出た。
テーブルと床にはボードゲームやお菓子、昨夜飲んだ酒瓶がゴロゴロ転がっている。
ディヴィナは自然に緩んでしまう頬をフニフニと揉みながら、そんな散々たる室内を片付けて回る。
一通り綺麗にした後、鉄の蓋を開けて外に顔を出した彼女の髪が、ゴウッ、と風に吹かれて激しく踊った。
「よっ、と」
軽やかにモンスターの背中の上に飛び出たディヴィナは、微かに潮の香りが乗った突風を浴びながら眼下を見据える。
とそこへ、
「おはよ。良い景色だなぁ」
「おはようございます東条様。……どこを見て言っていますの?」
伸びをしながら東条も合流する。
眼下の自然風景よりも先に色気のありすぎる彼女に目がいってしまうのは、まぁ男の性だろう。
「気を許してくれたのは嬉しいが、一応俺も妻帯者だ。自制してくれ」
「……わたくしが悪いのでしょうか?」
風と視線を受け冷えてきた体に合わせ、ディヴィナの全身がモフモフしていく。
眼下に広がる砂漠地帯や街、小さなピラミッドを見て興奮していた東条の元に、寝ぼけ眼を擦るノエルも寄ってくる。
「んむ〜……変な臭いする」
「あら、おはようございますノエル様。足元お気をつけて」
「落ちるなよ〜」
「……臭ぃ」
「え? マジで? シャワーは浴びてるぞ」
「違ぅマサじゃない。……ふぁ〜」
東条の服を掴み眼下を覗き込んでいたノエルが、首を捻り、……目を擦って細め、……首を捻る。
「ん? ……んん?」
「どした?」
「……」
ノエルの頭に?が浮かび、徐々に理解していくと共に、半開きだった目も驚きと疑問で大きく開かれていく。
眼下を指差すノエルに、ディヴィナも「流石です」と微笑んだ。
「一目でお気づきになられるとは、ノエル様の聡明さには感服いたします」
「……ヴィーネ、一応聞く。あれ新しい大陸?」
「違いますわ。れっきとしたアフリカ大陸でございます」
「……」
「え? 何? どゆこと?」
またしても何も知らない東条と、
当然と受け入れているディヴィナと、
理解したノエル。
「……無くなってる」
吹き抜ける突風。照りつける太陽。潮風。……生臭さ。
ノエルがゆっくりと指した、その指の先には、
「アフリカが半分、無くなってる」
エジプト、スーダン、コンゴ共和国を境に、面積の半分が海に呑まれたアフリカ大陸が広がっていた。
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