60

         §



――「あの、すみません」

「はい?」





『なんだ?』

       『JKだ』

『JKだ』





――「私達と写真を撮っていただけませんか‼」





『⁉』

           『ファンだ‼』

『羨ましいぃぃい‼』

           『カオナシ露骨に喜んでるな』

『バレバレだな』





――「す、すみません。でもやっぱり、ちょっと怖くて」





『そりゃそうだ』

           『こんなのそこら辺歩いてたら即通報だもんな』


『よく声かけたよ』

           『凄い子だ』





――「カオナシっち筋肉凄いよね。身体触らせてー」

「存分に触るがいい」





『ちょっとくっつきすぎだと思うんですよ』

                     『不純異性交遊だと思うんですよ』


『性の乱れなんですよ』

              『羨ましいだけだろ』


『ああそうさ!』

          『俺だってシックスパック触りたいのにっ』


『そっちかよ』





――「ノエルちゃんのもち肌の方がヤバいし!」





『ぺたぺた』

        『ぺたぺた』

『ぺたぺた』

            『……よし、こいつ等つれてけ』


『悪鬼滅殺、悪鬼滅殺』

              『人の肌をそんなに触るもんじゃない』


『お、解析班。その通りだな』

              『それもJKが、こんなにっ』


『ん?』

              『私のお腹もぷにぷにだぞ!』


『なんだ、只の変態か』

              『触ってくれ!私を触ってくグフぅっ』





――「カオナシさーん。ノエルちゃーん。一緒に食べよー」





『朝飯豪華じゃね?』

                 『破格だな。大災害の現地でこれは考えられない』


『あの三人、めっちゃ頑張ってんだな』

                  『三人だけじゃないだろ』


『ここの戦闘員は優秀だな』

                『イケメンだけど認めるしかないな』


『だな』




「ノエルちゃんとカオナシさんってどういう関係なの?」





『それは気になる』

             『親子じゃないんだ』


『親子っぽさはないだろ』





「まさだって勝手に荷物の中にエロ本詰めるのやめてほしい。捨てるの面倒」


「それここで言う⁉あと毎度毎度そっと捨てんのやめろよ!親に見つかったみたいで気まずいんだよ!」




『親子やん』

        『親子だ』

『辛いやつだ』

        『勝手に部屋掃除された後、ベッドの上にそっと置いてあるやつな』


『気まずいやつや~』





「お楽しみ中失礼。随分大きな声だったからね、注意しにきたよ」





『なんだ?』

              『おっさんおばさんだ』


『……言いたい放題だな』

              『気分悪いのはこっちだってんだよ』


『言い返さないのかな』

              『カオナシさんいい意味で優しいからな』


『普通に謝って治めそうだな』





――「ちッ、カオナシっち、このおっさん戦ってくれてる人に感謝もしない老害だから、無視していいよ」





『あーなるほどね』

           『そんな感じするわ』




――「今は大人同士で話してるんだ、黙っててくれないか?」


「はっ、自分の事しか考えられない奴が大人なんて笑わせる。子宮からやり直せ」





『うひゃ~』

            『女の子がそんな事言っちゃいけません!』


『俺こういうギャル好き』

            『安心しろ。俺も好きだ』


『罵倒されたい』

            『踏まれたい』

『分かるわ~』

            『分からねぇよ』





――「時間がもったいない。単刀直入に言う。我々を安全な場所まで送ってくれ」





『は?』

      『おいおい』





――「……ここは充分安全だと思うけど?」


「安全なもんか!俺達は特区から出たいんだっ、さっさとこんなところ出たいんだよ!」





『何様だこいつ』

         『ムカついてきたな』





「無理だね。俺達もこう見えて、冒険するのに忙しいんだ」


「人命よりそんなものが大事だって言うのか!」



「……当然だろ」



「――っ」





『っ』

    『ひっ』

『ひっ』

               『切れたな』

『一番嫌いそうだよな』





――「俺達は冒険に命を懸けてる。つまり冒険には俺達の命と同じ価値がある。それがあんたらの命と等価値なわけがないだろ」





『……カッコよすぎんだろ』

              『鳥肌』

『自己中の極み』

                  『言ってる事は中々だけどな』


『それがカッコイイってスゲーよな』


『マジで惚れたわ』






――「ピラニアみたいだな」


「名前はピラーニャ。そこら中にいる」



『今回は日常編短かったな』

               『バトル二個上がってるし、こっちがメインだろ』


『てか何でピラニアがいんだ?』

               『ピラニアじゃない。身体や顎の構造が違う』


『ほぇ~』





――「……何だ?」





『何だ?』

      『何の音だ?』

『……あれ』





――「はははっ、すげっ」

「おもしろ」





『⁉』 

『ヤベェってなんだあれ⁉』

『デっカ』

『逃げろ逃げろ‼』

『うおっ跳んだ』

        『ワニ、か?』

『顎ほっそ』

      『脚ふっと』





――「俺が殺っていいよな!最近動いてねぇし」


「ん。黒いの出しといて」


「あいよっ」





『何でウキウキしてんだこの人』

                『戦闘狂なんだよ』


『――っ』

      『デケェくせに動きはっや!』

『⁉』

       『⁉』

『これは……』

            『デスロール』

『ヤバいんじゃね?これ』

            『建物倒壊してるぞ』

『無事でいてくー』





――「いや~ビシャビシャになるとこだった」





『だろうな』

      『だろうな』


『逆にどうやったら傷つくんだこの人』

                  『あの黒いの無敵すぎるだろ』


『⁉』

          『⁉』

『持ち上がっ、た?』





――「今度はぁ、俺の番ッ‼」





『っ』

   『っ』

『涙』

   『……笑ってやがる』


『ゲーセンにこんな感じのなかったっけ?』

                    『ワニワニパニックな』


『俺もよくやったよ』

               『懐かしいな~』


『こらこら、現実から逃げるな』

               『……あぁ……ビルが……』


『ピースしてるよ』

           『いい笑顔だ』





――「バララァアッッ‼」





『⁉』

      『最後の足掻き!』

『行けェ‼』

      『お前の力を見せてみ』




――「ふんッ‼」




『ああぁ』

      『えっぐい音したぞ』

『首が』

      『こりゃR18だわ』

『南無』



          §



――「うぉっ」



『うっわ』

      『やっば』

『キっモ』

      『ザリガニ?』


『形はテナガエビに近い。だが大一脚が鋏になってることから、ザリガニの仲間ではないかと推測』

     『何でも知ってんなお前』

『(くいっ)』





――「どうする?今なら気付かれてないぜ?」

「やだ。あの子達助ける」





『ん?何だ?』

        『何か奥にいるな』

『蜥蜴?』

            『ちょっと可愛い』

『リュック漁り出したぞ』

            『何を使うってんだ?』


『ワクワク!』

        『ワクワク!』

『ワクワ⁉』

      『⁉』

『⁉』





「ヒュ~」


「汚ねー花火だ」





『ベ〇ータ⁉』

                『ロケットランチャー……』


『どっから持ってきたそんなもん⁉』

                『カオナシのは、ライフル?デカくね?』


『……アンチマテリアルライフル。戦車の装甲すら突き破る、化物銃だよ』





――「んぎもぢぃぃぃぃいいいいいいいッ‼」

「あはははははははっ‼」





『キマっちまってるよw』

            『この絵面はいけないw』


『過去一で荒ぶってんな』

            『流石に取り締まられる気がするw』


『こんな世界になってもまだ、魔法なんかより現代兵器の方が断然危険意識あるからな。国とかメディアが黙ってなさそうだわ』


『まぁ俺らが考えることじゃねぇけどな』


『それな』


『好きにやってもらうのが見てて一番楽しい』


『それでは皆さん』


『ご唱和下さい』

        『よーお』


『んぎもぢぃぃぃぃいいいいいいいッ‼』

『んぎもぢぃぃぃぃいいいいいいいッ‼』

『んぎ、んぎもぢぃぃぃぃいいいいいいいッ‼』

『んんんんぎもぢぃぃぃぃいいいいいいいッ‼』

『ぎぎぎ、んぎもぢぃぃぃぃいいいいいいいッ‼‼』



          §


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