第121話

          §



『お前ら、プレミアム入ったか?』

                      『愚問』

『愚問』

                      『愚問』

『金払ってないのが悪いくらいだったからな』

                      『間違いない』

『それじゃあ冒険に』

              『レッツゴー‼』




――『おい、まさかノエルちゃん、風呂にカメラ持ってく気か?』


   『何も問題ない。日本はそういう文化だ』


『そうだぞノエルちゃん。何も問題ない』

                      『ガンガン持ってこう』


『クズしかいねぇ……』


『ん?おい待てカオナシさん。何でノエルちゃんと一緒にいる⁉』



 『まさかこいつ、一緒に入る気じゃ⁉』


『女⁉』


 『な訳あるか‼あ、余計な事言うんじゃねぇ‼』


『カメラが⁉』


『許さねぇぞカオナシ‼テメェだけは絶対に許さねぇ‼』


『ああああぁぁぁあああ』


『……クズしかいねぇ』



――『何だあの生物。尻尾振ってるぞ?』


 『めっちゃ可愛い』


『モンスターなのか?』


 『凶暴なのばっかじゃないんだな』


『奥が深い』


『次は女子大?』


 『なぜ?』


 『……成程。この動画を金稼ぎに使うなら、生存者を助けた方が好感度が上がる』


『あーなる』


  『お前頭いいな』


『そこで女子大を選ぶカオナシさんは分かってる』



   『さあJDを救いに行こう!』


『おー』



――『……おー……』


   『すげぇ緑だな』


『まぁ人が集まる場所は、必然的にモンスターも集まりやすいからな』


『かと言って人探しの為に歩くなんて二人はしないだろうし』


『大きな避難場所にいる人以外は彼等の施し受けれそうにないな』



  『なむ』


『南無』

                    『ん?スピーカー?』



――『ノエルちゃん頭いい子』


   『才色兼備』


『将来有望』


   『焼肉定食』


『見た感じ人いなそうだが』


    『スピーカーめっちゃ囲まれてるw』


『見せてくれカオナシさん!』


 『あんたの力を俺達に!』


『いっけーーー!』


    『はぇえええええ!』


『体感速度やべぇ!』


     『一撃で蜥蜴吹っ飛んだぞ!』


『やっぱこの人バケモンだ』


『次どこ行くと思う?』


     『方向からして帝大かと』


『あー。日本一の学生だし、何人か機転きかせて生きてそうだな』



      『そう願うよ』





――「――‼」



『⁉』

     『⁉』

『⁉』

     『⁉』

『電柱⁉』


   『地面吹き飛んだぞおい⁉』


『こいつは……』


   『牛頭の怪物。ミノタウロス』


『見るからにやべぇ』


    『勝てんのか?』


『あ、逃げた』


    『マジかよカオナシさんに追いつくのかよ⁉』


『ヤバくねぇか?』


『落ち着け。この動画が上がってるってことはそういうことだ』


                           『確かに』






――「無理っぽい。使うぜ?それともお前がやるか?」


「よろ。じゃあ倒しちゃお」





『余裕だな』


   『使うって何をだ?』


『ノエルちゃん驚いてるけど、何が起こってんだ⁉』



  『主観だからよく分かんねぇ‼』


『お、おい、突っ込んでくるぞ⁉』

                     『死……』


『…………ミノさん殴ってるよな?』


 『普通に会話してるし、マジでわけわかめ』


『わ、手黒』


  『解析班!』


『あの黒いのが武装の一種だと見るのが妥当。全身に纏ってると予想。他は情報不足』


『ミノさん疲れちゃったよ』



 『どうなるんだ』






――「……んじゃ、終わらせるか」



『……ふぇ』

        『ふぇ』

『ふぇぇ』

                 『……いい景色だ』


『……風景が消えて、ミノが打ちあがって、ジャンプして、蹴り殺した?合ってる?』


『たぶん』


  『今の一瞬で?』


『ヤバすぎるって』


  『鳥肌凄すぎて鳥になったわ』


『ははははははhhhh』


  『興奮しすぎて狂った奴いるぞ』


『これは仕方ない』


  『マジでカッコよすぎる』






――「あの、あなた方は人ですか?」





『無理もない』

         『人だ』


『カオナシさんって結構礼儀正しいよな』

                     『見かけによらずな』




――『強化?』

          『まさか肉体強化か⁉』

『解析班!』


『不明。聞く限り魔法の一種か?二人にはそれが分かるみたいだな。カオナシさんの異常な身体能力もそれが理由か?結構デカいニュースだろこれ』


『荒れるぞこれは』


  『覇気も使えるみたいだな』


『やっぱ別格だわこの人達』







――「皆リーダー、快人さんに助けられて今の拠点に入りました。初めはもの静かな人でしたが、段々と周りの者に厳しくなり、今では一人を除いて扱いが酷くなりました」





『あーやっぱあんのかそーゆーとこも』

                     『強さに溺れたか』


『厳しい世界だな』

                    『まったくだ』


『お願いだってよ』

                     『カオナシさん見るからに嫌そうなだな』


『顔見えないのに分かりやすい』





――『わー……すっげ』

                 『土魔法かな』


『城だな』


                 『ミノさんよりは弱いらしいぞ』


『やっぱ強いんだなミノさん』


                 『それを一撃で殺すカオナシさんのヤバさよ』





――『何者だ?何処から来た?何をしに来た?』




『なんだこいつ偉そうに』



『日本に住んでて敬語も使えないのか』


『これは完全にイキってるな』


  『カオナシさん怒ったなこれ』


『ぶっ飛ばしちまえ!』





――『……お前を中に入れることはできない』




『は?』


       『あ?』


『何様だこいつ』

                       『一理ある、のか?』


『ねぇよ!全部ノエルちゃんが正しいんだ!』


『カオナシさんだって優しいんだぞ!ちょっと怖いけど』


『そうだそうだ!ちょっと怖いけど』





――『……なるほど…………。とんだお人好しだな。……分かった。少し待っててくれ』




『は?』


              『あ?』


『こいつ記憶力鶏か?』


         『結局自分の為か』


『めっちゃ笑ってる』


            『俺達も笑おうぜ』

『ははははは』

             『ははははは』

『ははははは』

             『ははははは』





――『……痩せてるな』


                『荒れるぞ、これは』


『わ、一瞬で壁が』


            『言うだけあって強いんだろうな』


『ミノさん以下だけどな』





――「何もできないし、何もしないし、何もしようとしてないんだろ?じゃあ戦える人間優先に飯配んの当然だろ」


「同感」





『ドライだな』


            『ほんと媚び売らないよな』


『そこがいい』


            『間違いない』





――「機会があれば」


『……』

         『……』

『……』

         『……行く気ないだろ』

『言うな』



          §

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