第114話 英雄の休息
誠はまだ戦闘の興奮の中にいた。鼓動は高鳴り、息は荒く途切れがちになる。嵯峨の終戦の言葉を聞いても手足のこわばりが収まることは無い。
『神前。終わったぞ』
全周囲型モニターの一角に開いたウィンドウに映った、カウラの優しい表情が誠の目に入った。
「カウラさん。生きてますよ、僕」
ようやく戦闘のもたらす興奮で高鳴った胸の鼓動が収まって、誠はカウラにそれだけ言うと静かにそう言った。
『そうだな。生きてる』
感情がある。うれしいという感情が。カウラは自分にもそんな感情があると言うことに少し戸惑いながら、シートに身を投げている誠の姿を眺めていた。
「海、行けますね」
そこまで言うと誠は崩れ落ちるように倒れ、意識を手放した。
『新入り!どうした!新入り!』
今にも泣き出しそうなかなめの声だけが、誠の脳裏をかすめるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます