BL ACTORS 〜先輩後輩・同年〜
けなこ
〜先輩後輩〜
scene.0
《Gkook.cut》
「はじめまして。キョングク、21歳。
こちらのオーディションは、
憧れているジーンさんとの恋愛ドラマで
相手役だと聞きました。
彼となら、僕、本気で恋愛するような、
本気でお芝居が出来る気がしたので、
この度、応募させて頂きましたっ」
たまたまルームメイトが見ていたドラマ。
その物語の主人公の彼は
怒ったり泣いたり笑ったり…
1度見たら目が離せなくなった。
ただ佇んでいる姿も、画面いっぱいの笑顔も、
全て輝いていた。
『グク、
ドラマのオーディションとか受けてみたら?』
単位の為に、演劇部に入っていた僕に
舞い込んで来たオーディションの知らせ。
ダメもとで受けてみた。
彼と恋する男の役なら本気で芝居に打ち込める…
画面越しで恋した彼に会う為に
なりふりかまわず、恥なんて捨てて
芝居のテストをした。
すると奇跡が起きたんだ。
合格の知らせと台本が届いた。
数日後には顔合わせ…彼に会える。
ジーンさんに会える。
それもただのファンとしてではなく、
ジーンさんの相手役として。
僕が恋したジーンさんの、恋人役として。
《Jiin.cut》
「オーディションのお芝居見ましたけど、
彼…えっと…キョン…?グクって言ってたかな。
彼の雰囲気が、1番合ってると思います」
少し前にボーイズラブのドラマを撮り終わった。
視聴率も良く記録を更新し、
動画やSNSの反響も大きく、
僕は俳優として順調に進んでいる。
俳優として仕事に本腰を入れる為に、
付き合っていた女性と噂になる前にお別れした事も
当初は少し後悔もしたけれど、
今となっては良かったと思っている。
この国でもまだ差別はある。恋愛は自由なのに。
自分がどうとかではなく、
とりあえず同性に恋して差別に怖がる人達の、
心の拠り所になれたら…
なんて思うようにもなった。
新しく決まった仕事は
再びボーイズラブのドラマだった。
手探りで終わった前回のドラマ。
次はもっと、自由を伝えたい。
恋愛の素晴らしさを伝えたい。
そんな意気込みだった僕に、
キスやベットシーンが激しい台本が届いたけど
抵抗どころか、伝えなきゃっていう
使命感の方が強かった。
『ジーン、今度の相手役、
オーディションで決めるんだけど
芝居して貰った動画があるから
君にも見て貰って…感想貰えるかな?』
数人の芝居をチェックした。
僕の相手役にしては少し身体付きが華奢な心配や、
多々ぎこちない所もあったけど、
そんな心配も吹き飛ばすような存在感の1人。
純粋そうな性格が伝わる佇まい、
真っ直ぐな雰囲気を纏う役者が1人…
彼と、芝居がしたいと思った。
彼…グク君と、本気の芝居。
グク君の事で頭がいっぱいになるような芝居。
一目で惹かれたグク君と、恋人役として。
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