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小倉さつき

お題「欠片」

夜道に欠片が落ちていた。

夜の闇に隠れないほどの白さを放ったそれを拾ってみる。

見たこともないはずのものなのに、何故か見慣れている気持ちを覚えた。

ふと夜空を見ると、三日月が泣いていた。

もしかして、と欠片を空に掲げる。

すると、欠片はふわりと浮いて、夜闇に消えた。

三日月は涙を流すのを止め、欠けた歪な形だった自身を満たされた形へと変えた。


そうかあれは月の欠片だったのだな。

そして、満月に照らされる道を歩いて帰った。

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