第38話妹とSSD
「おにい”ぢゃーん」
妹はとても慌ててグズりながら俺に頼ってきた。
「どうした?」
俺が問うと、妹はパソコンが壊れた! なにもしてないのに……だそうだ。
まあなんかやったんだろうなということだけは分かった。
「はいはい。で、何をやったんだ?」
「なにもしてないですよぅ……ちょっとddで/dev/sdaを書き換えただけです!
完璧にアカンやつやん! それをなにもしてないって言い張るのは苦しくない?
「落ち着け、手遅れなのだけは分かった」
「手遅れって……私の秘蔵のお兄ちゃん盗撮コレクションが消えるんですか!?」
「今なんか盗撮って言わなかった?」
「いえ、家族写真です」
しらじらしい……
どっちにしろブートローダーを飛ばした人間にできることは少ない。
残念? な話であるが諦めてもらおう……
「あのな……OSを入れ直さないとどうせ見られないだろ?」
「あ! そうか! サブのマシンにストレージとして取り付ければいけますね!」
今気付いたと部屋から出ようとする妹の肩をがしっと掴む……
「なあ……で、何の写真が入ってるんだ……?」
「やだなあ、平和な風景画ですよ?」
疑問形……ギルティ……
「とりあえずそのSSDフォーマットしよっか?」
「ナチュラルに鬼畜なことを言わないでください! 私がお兄ちゃんをつけ回すのにどれだけかかったと思ってるんですか!? アレは私の宝、所謂トレジャーですよ」
嫌すぎるトレジャーだ……多分グランドなラインにおいてあったら見つけたやつがぶち切れそうなやつだな……
「漏らさないですから! 私が一人で楽しむ用ですから! アレの消去はご勘弁を!」
ええ……
涙で顔をぐしゃぐしゃにする妹にもう言葉も出ない……だって俺の写真だぞ?
「分かった、じゃあ消去したら一緒に写真とってもいいぞ」
「消さなかったら?」
「どうぞ俺一人しか写ってない盗撮で我慢してください!」
「消します!」
即答だった……
いいんだろうか?
まあいいや……考えるのもしんどくなってきた……
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