第16話 怪物狂騒 3 ~扉の先は~

 ここまでの道中、全くと言っていいほど敵と遭遇しなかった。

 それは喜ばしいことであるが、何か薄気味悪さを感じてしまう。


 何かが起こっているのかもしれない。


 しかしわからないことに不安がるのは愚の骨頂、できるだけ準備してあとは野となれ山となれだ。


 だんだんと明かりが少なくなってくる。


 ランタンを腰に差し、明かりを確保する。

 暗闇が完全に辺りを支配するとともに強烈な異臭が漂ってくる。


 あまりの異臭に顔が歪む。

 手で鼻と口をふさぐが気休め程度であった。


 この雰囲気、必ず何かがある。


 『アレ』があるかもしれないし、とんでもない化け物が待ち構えているかもしれない。


 いつの間にか3メートルを超える大きな扉に辿り着いた。


 息を整え、ドアノブに手をかける。


 錆び付いているのか開けるときに不規則に抵抗を感じる。


 背中に差していた大剣を引き抜き、先へと入る。


 そこは観客席のようであった。


 さらに奥へと進もうとしたとき、一気に血の気が引いた。


 虐殺が、そこで行われていた。

 生きながら食べられているもの、

 笑いながら死体を犯すもの、

 串刺しにした死体を高らかに天へと掲げているもの、

 執拗に死体をミンチにしているもの、

 手足を一本一本引き抜き楽しんでいるものなど、


 化け物たちはあらん限りの殺戮を楽しんでいた。


 そこはまさしく地獄であった。


 急激に世界がぐちゃぐちゃにかき混ざるような感覚が襲う。


 その感覚は何度も、何度も感じたことがある。

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