第3章までのあらすじ

<登場人物>


ベルツェックル・ロダム

 エグゼルア最大の町ルカンドマルアを治めるマジック・ローダー。自らを『国王』と呼び、エグゼルアから魔物をすべて消し去ることを『国是』とする。戦士団ガイトゾルフの創設者でもある。呪胎できる魔法は多岐にわたる。43歳。


クペナ

 サーイをエグゼルアに召喚した『女神』。神話によれば、古来から魔法を人々に授け、700年前にマジック・ローダーにその役目を譲ったという。3か月前、テューナの神殿に幽閉されているところをベルツェックルに救助され、ベルツェックルの伴侶となる。


<ガイトゾルフについて>

 エグゼルアの浮遊大陸は、西側のウィスタ大陸と、現在ルカンドマルアのある東側の大陸の2つであるが、永らく東側の大陸は人の住まない未開の地であった。そこに入植し、町を建設し始めたのは28年前であった。ルカンドマルアと名付けられたその町には、まだ15歳のベルツェックルがマジック・ローダーとして派遣され、そこには許嫁いいなずけのウェルダも同行していた。程なく、町の北方に美しい神殿を見つけ、二人はこここそが式場にふさわしいと、結婚式を挙行することにした。

 だが、そこが美しかったのは、獰悪な魔物(ゾジェイ)たちが住んでいたからだった。奴らは、挙式の日までわざと身を潜め、当日、参列者を急襲した。ウェルダはそこで殺されてしまう。また、参列者も殺され、生き残った者も家族を失うという悲惨な事件であった。

 以来、生き残ったルカンドマルアの住民は皆、魔物を憎むようになった。実際、それ以降も魔物たちはルカンドマルアを襲って来たため、犠牲者が絶えなかった。あるとき、ベルツェックルはルカンドマルアへの入植者の条件として、「家族を魔物に殺された者」というものを課した。したがって、ルカンドマルアの『国民』は、ほとんどが魔物たちを憎んでいることになっている……そうでない者もいるようだが、彼らは町から姿を消したようである。

 そんな中、ベルツェックルはガイトザインという魔法の呪胎に成功した。これを呪胎した冠を身に着けることで、その者が持つ魔力を何倍にも高めることができる、というものだった。ただし、その効力が発動される者はごくわずかであった。ベルツェックルは、町民に冠を身に着けさせ、効力が発動できたものを「ガイトゾルフ」として選んだ。人口が増えた今でも、彼らはルカンドマルアに10人いないとされ、彼らはルカンドマルアの『英雄』であり続ける。

 サーイは、彼らが冠を身に着けた状態と同等か、それ以上の魔力を生まれながらに持ち合わせていたが、魔法のない地球では一切発動できなかった。クペナに召喚され、その魔力を認められ、特別にガイトゾルフに加入することになった。

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