第37話 告訴
これまで、ガイトゾルフたちは何度となくテューナの神殿に遠征に行ったが、中にいる魔物を殲滅させるには至らなかった。だが今回、サーイが加わったことで、テューナの神殿はいとも簡単に陥落した。
「サーイ、見事な戦いであった!」
帰還したサーイをベルツェックルが労った。
「……はい、ありがとうございます……」
初めての凱旋であったが、サーイは落ち込んでいた。気持ちを察したクペナが声をかけた。
「あいにく、おじいさまは見つけられなかったのですね……でも、くじけてはいけません。必ずどこかで生きておられるでしょう」
「ごめんなさい、やっとお二人が結婚式を挙げられるようになったのに、こんな顔していてはいけませんよね」
「サーイ、お前には感謝してもしきれない。我々も今すぐ式を挙げたいのはやまやまだが、お前にはその前にしてもらうことがある」
「……何ですか?」
「昨日、お前の戴冠式に泥を塗った、あの不届き者だ。明日、あの者を裁くための裁判を行う。お前には原告として出廷してもらう」
「……そんな……」
「ガイトゾルフに対する侮辱は許されるものではない。あの男は裁かれなければならない……お前はそのことで心を痛めているのだろうから、必要な手続きは私がしておこう」
「……お願いします」
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