引く。

第1話 思いつきのメモ

2020.04.01

スーパーで買うもの

食パン、牛乳、卵、塩今日安い

銀麦ビールできれば買う

2020.4.3

お義母さんに電話

明日来る、真奈美に言う

2020.04.04

悠太郎家にいる　真奈美外出

昼残りのカレー　宿題やらせる

部屋片付け、少し仕事を片付ける。

2020.04.13

新人歓迎会　参加費を真奈美に頼む

出張のホテル予約　名古屋

2020.04.14

明日ＡＭ　田崎と打ち合わせ

新人研修のプラン

課長　昼飯

2020.04.17

帰り薬局　ティッシュ、ごま油、目薬

スーパー　魚　ワイン

2020.04.27

倒れた猫を見つけた

ひとまず車道からは避けて。

動物病院へ連絡

2020.05.01

帰り　頭痛薬

新人の様子を田崎に聞く

2020.05.10

帰り　頭痛薬　風邪薬

病院　探す

2020.05.13

頭が痛い

猫にあった日から、不定期頭痛がする

病院へやっぱり行こう

真奈美には言わないでおこう、心配をかける

2020.05.16

ただの頭痛以外なんともないだって？

くそ！あのやぶ医者め！

こちとら日常生活に支障があるくらいの不定期な頭痛なのに、

無駄な治療費だ

2020.05.23

明らかに変だ。

頻度は収まったが、1回の痛みに耳鳴りもする。

これから何か起こった時のためにメモを残す。

明日健康診断　薬酒飲まない

2020.05.24

身長がなぜか縮んだ。

測定ミスだろ。

もう170cmでないなんて、田崎の方が高いじゃないか。

真奈美が顔色が悪いと心配してきた。

昨晩酒を我慢したせいだとごまかして寝させた。

まだ耳鳴りはやまない。

悠太郎　送り迎え

2020.05.27

変なことが起こった。

悠太郎の送り迎えの帰り道、

信号待ちの時に、ふと歩道に目をやると、

猫がじっと見ていた。

ただの猫なのに、なんだかその眼から離れられない。

向こうがずっと、ずっとこちらを見ているのだ。

悠太郎でもなく、運転席に座っている俺を。

悠太郎に声をかけられ、後続の車がクラクションを鳴らさなければ、

ずっと動けずにいただろう。

不思議な猫だった。

2020.06.2

頭痛はもうない

だが、あれ以降、目がよく見える気がする。

健康診断では以前と変わりなかったはずだが。

スマホや照明がまぶしく感じるし、

離れた所にある標識の文字がよく見える気がする。

すべて気がするだけ。きっと。

2020.06.5

卵　キャベツ　冷凍餃子

銀麦ビール

2020.06.20

今日は真奈美と悠太郎がそれぞれ出かけて行ったので、

自宅は俺だけだった。

昨晩見た夢のせいで、嫌な汗をかいていたから、シャワーをあびる。

夢の記憶はあまり覚えていないが、

なんだか誰かの目線になっていたのは覚えている。

いや、何かの間違いだろうか。

もうそんなモヤモヤはシャワーで洗い流したはずなのに。

ベランダでタバコをふかしていると、鳴き声が聞こえた。

左に目をやると、2つ隣の部屋のベランダに、猫がいるのが見えた。白い猫。

ペット禁止のはず、大家にいってやろう。

そういえば、前倒れた猫に出会った…

だがあまり思い出せない。

あのころの頭痛のせいだろうか。

2020.06.27

田崎が結婚した。

いい結婚式だったが、ひとつだけ、田崎の愛犬がやけに俺に吠えてきた。

今まであいつの家に行ったときは、そんなことなかったのに。

可愛げが無くなってしまったとも思ったが、

それとも俺が老けて分からなくなったのか。

料理もうまかったが、全部においが強かったな。

2020.07.02

暑いせいか、のどが渇く。

自販機でペットボトルを買いすぎるのは、真奈美に無駄遣いだと叱られる。

健康上特に問題はないが、最近夜の方が落ち着く。

日中が暑いせいだな。今夜は涼しい。

2020.07.06

スーパー

牛乳、米、豚肉、ツナ缶、マヨネーズ

真奈美に叱られた。

だが俺も理由がわからない

なぜなら、

スーパーの袋には、

豚肉ではなく鶏肉、ツナ缶は猫の缶詰にすり替わっていたからだ

「お使いも出来ない子にはもう頼みません」と冗談めかしく言われた。

最近新人研修もあって疲れていたのだろうか。

2020.07.14

今日は会社を休んだ

昨晩、今までの症状が一気に襲いかかってきたのだ。

頭痛と耳鳴りが収まらず、思わず大きな声を出して、真奈美を驚かしてしまった。

真奈美が作ってくれたおかゆも、俺好みの濃い味付けにしてもらったのに、

臭くて、、においがキツくて食べられなかった。

今も気持ちが悪い

やっとの思いで書いている

つめも伸びてきたらから切りたいのに、立ち上がる元気も乏しい

休もう

今は休もう

気持ち悪い

真奈美　悠太郎

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夫のスマホのメモはここで最後だった

私は、まだ状況を整理できないでいた。