第34話 なんでかな?
十月三日
【D120】八十層を現在歩いている。
なんとかTBと二人で生き残ってはいるが毎日が必死だ。
現在レベルは六百五十、TBも六百四十だ。
俺の【身体強化】レベル10を使えば基本能力値は十倍に跳ね上がる。
単純にレベル6500相当なのだが、レベル八百台の敵を相手にしても楽勝にはならない。
相性っていうのか、この階層に現れるような敵は基本物理無効か物理防御の特技を持っていて、身体強化で上げる事の出来る攻撃力、防御力、敏捷性だけでは怪我をしにくくなる程度の効果しか無いからだ。
敵モンスターの攻撃も特技を使った特殊攻撃が主で、しかも範囲攻撃が多く、敏捷性がいくら高くても避けれない。
精神、知力の底上げでダメージを軽減して行くしかない。
たまに物理防御を持っていない敵も居るがそんな相手は瞬殺出来る。
基本は高い敏捷を生かし、プルートでの暗殺か賢者JOBで獲得した攻撃魔法を撃ち込む。
TBは意外と戦えている。
どうやらTBの攻撃は防御無視の貫通攻撃になるらしく、俺よりもダメージを稼げている感じだ。
それと、最近は料理に目覚めている。
調味料が無くて味気の無い食生活が続いていたが、鍾乳洞の壁を鑑定していたら岩塩を発見したお陰で、やっと美味しい食事にありつくことができたからだ。
今日はサラマンダーの炙り焼きだ。
この肉は鶏肉に近い食感だが噛めば噛むほど旨みが込み上げてくる。
「あービール飲みてぇなー」
くっそー無事に帰ったら絶対達也の野郎から【D4】コアの代金分のビール分捕ってやるぞ。
「TBそろそろ八十層の中ボス倒しに行こうか!」
「解ったニャ」
今回の神殿は日本風の神社みたいな神殿だった。
中に入ると真っ白で大きな狐が居た。
尻尾は9本に分かれている。
鑑定しなくても解るけど一応
【鑑定】
九尾の狐
LV1200
HP 24000
MP 24000
攻撃力 1200
守備力 1200
敏捷性 1200
精神力 1200
知力 1200
運 1200
スキル:変化
特技
アイスブレス
あ、この中ボス物理防御持ってないぞ、でもスキル持ちは初めてだな。
戦闘は問題なく勝てそうだけど……
あの尻尾のモフモフ感が倒すのは惜しいと告げてくる。
『ナビちゃん。ちょっといいかな』
『いかがなさいましたか? 理様』
『あのさぁ中ボスってテイムしたりできるの?』
『弱らせれば可能なはずでございます』
『そっかありがとう』
これは何が何でもテイムしちゃうぞ。
「TBこいつテイムしたいから、あんまり傷つけないようにしてね」
「了解にゃ。でも一番はおいらニャよ」
「解ってるって」
「何をごそごそしておる。わらわがそんなに恐ろしいのか?」
「おお、喋った」
「礼儀を知らぬ弱者よ、さっさと塵となれ」
そう言って九尾はアイスブレスを吐きかけてきた。
かなり強烈だが、結界でTBと俺を包み込みやり過ごす。
神殿の中全体が凍り付いていた。
「寒い」と言いながら結界をとき反撃を始める。
圧倒的に有利な敏捷で、少しづつ致命傷を与えないように攻撃をする。
「その速さは…… 力は何なのだ。わらはが全く付いていけないなどありえぬ」
「あー普通にありえるし、まだ全然本気じゃないからね。俺のさ、仲間になんない?」
「何をふざけた事を、何が目的なのじゃ」
「え、今のじゃって使ったね、前にもキャラかぶりの人居たなぁ、目的はさ、当然モフモフの尻尾に決まってるぞ」
「えーい、ふざけるでない。覚悟しろぉお」
再びアイスブレスを吐き出す。
その瞬間を最大化したTBが横から猛烈な体当たりをした。
壁まで吹き飛び、足が変な方に曲がってる。
やべTBちょっとやり過ぎだ。
「ごめんにゃさい、レベル差があるからもっと強いと思って思いっきりぶつかったニャ」
「まぁしょうがないな」
九尾の狐に回復をかけてやりながら
「ここにいても暇だろ、俺と一緒においでよ」
テイムを発動した。
九尾の狐が仲間になりました。
名前をお付け下さい。
んー白銀に輝いてる女の子の狐か。「しろ?」
……反応しない、嫌なのか
じゃぁ雪はどう?
「わらはの名は雪。これからよろしく頼むぞ」
「ぉ、気に入ってくれたみたいだね、雪ちゃんよろしくね」
「ねぇ雪ちゃんの持ってるスキルの変化ってどんなの?」
「これは変身が出来る」
「……ねぇ無理して喋ってるでしょ? さっきからなんか言葉遣いが一定してないし。普通にしていいよ。変身して見せてよ!」
「うん、いいよ」
【変化】
そこには、ケモ耳幼女が居た。
うは、まさにファンタジー。
巫女服ケモ耳幼女ってドンだけ詰め込んでんだよ。
「主の趣味はこんな感じかと思ってみたが違ったか?」
「ん? 見た目選べるの?」
「ある程度は選べるよ、年齢は0歳から八百歳の範囲でなら」
「八百歳の人間の見た目に需要なんてあるのか? まぁいいや、自分の好きな姿で居て。但し寝る時は狐姿でね! 尻尾モフりたいから」
「ぅ、わかったよ」
TBに続いて仲間が増えた。
これで少しは楽しくなるかな。
狩りに関しても、レベル千二百の雪が放つアイスブレスは圧倒的で、順調に探索を続ける事が出来るようになった。
そして迎える百十九層。
ここは鍾乳洞から抜け出て灼熱の太陽が降り注ぐ砂漠だった。
(なんかさぁ、既視感がはんぱねぇな)
今日は十月三十一日だ。
もう二ヶ月近く経ったのか…… 早かったのか遅かったのか解んないな。
でもTBと雪が一緒に居てくれたから、決して寂しい思いはしなかったよ。
ナビちゃんと【D2】コアちゃんも最近はよく会話をする。
『でもご主人様さぁ大事な部分は絶対私に聞かないよね。何で?』
『それはまー深い意味は無い』
『信頼関係の違いでございます』
『私だって結構すごいんですよーだ』
『何が?』
『……』
この中央部分から百二十層に降りるんだけど、絶対又いるよね…… レベル千八百の中ボスが……
TB、雪、準備はいい?
「大丈夫ニャ」
「いいよ」
中央部分に到達するとそこには【D5】で見たのと同じようなピラミッドがあった。
何か嫌な予感するな。
でも進むしかないよな。
ピラミッドの最上部に行きダンジョンを鑑定した「オリハルコンスライム」を倒せ。
と、表示される。
それと同時にピラミッドが崩れ始める。
「やっぱりこのパターンかよ」今回は素早く三人とも退避した。
そこにはピラミッドとほぼ同じサイズの金属製のスライムがいた。
「でかいなぁあ」
こんな敵普通に倒すのは絶対無理だよな。
取り敢えず……
【鑑定】
オリハルコンスライム LV1800
HP :240000
MP :0
攻撃力:1800
守備力:18000
敏捷性:18000
精神力:0
知力 :0
運 :0
スキル:硬化
特技:物理無効
弱点:高温
こいつは殴るだけ無駄だな。
「雪、アイスブレスを徹底的に吐いて」
「解ったよ」
さて俺の新兵器の出番だぜ。
『太陽光収束砲アポロン』
魔導具創造と魔導鍛治師のJOB特技を最大限に活用して作った傑作武器だぞ。
人工衛星型の物体が上空に浮かび上がり激しく輝き始める。
「発射」
アイスブレスでカチカチに冷え切ったオリハルコンの塊を
一万度以上の熱線が襲う。
一撃だった。
木っ端微塵に吹き飛び黒い霧に包まれ消えていった。
ドロップがいっぱいでてるな。
オリハルコンSR:五十個
ポイントボール特大:二個 ポイント+100
スキルオーブ
オリハルコンのイヤリングSR:攻撃+100
オリハルコンの指輪SR :防御+100
オリハルコンブレスレットSR:敏捷+100
中々の大盤振る舞いだ。
でも、アポロン…… 凄い威力だな。
動いてる敵とか狙えないから、使いどころは少ないんだけどな。
オリハルコンスライムって攻撃は一切してくる気配無かったが、普通じゃ動かす事も出来ないだろうから、階段出すのは大変だ。
久しぶりのスキルオーブも出たけど、欲しいのがありすぎて直ぐは決められないや。
後でじっくり考えよう。
「雪ーアクセサリー上げるから。全部付けておいてね」
「ありがと」
さて下に行こう。
いよいよだなぁ地上が恋しい、でもまだ帰れないんだったな。
最下層に到達した。
マスターは、既に出ているようだ光の柱が立ち上っている。
中央部分に行き、【鑑定】
D120マスター
LV:1200
HP:12000
MP:12000
攻撃力:1200+1200
守備力:1200+1200
敏捷性:1200+1200
精神力:1200+1200
知力 :1200+1200
運 :1200+1200
スキル
瞬動Ⅴ
投擲Ⅴ
体術Ⅴ
うん強いけど予想の範囲内だな
雪、TB頼むね。
任せたよ!
結局二人で、危ないところも無く倒しちゃった。
視界が暗転する。
俺とTBと雪はダンジョンの外に居た。
雪は人化、TBは小さくなってもらい、周囲を見回す。
ここはどこなんだろ?
そこには日本の立派なお城があった。
ファンタジーっぽくねぇよな……
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