第4話 スキルを理解しよう
昨日は色々ありすぎて早くから寝付いたおかげで、今日は朝の五時から目が覚めちゃったよ。
昨日の事って夢じゃないよね?
『ナビちゃんおはよー』と脳内挨拶をしてみる。
『おはよう御座います理様。今日も良い一日をお送り下さいませ」
やっぱ夢じゃ無かった。
良かったのやら、悪かったのやら?
まずはシャワーを浴びる。
やっぱ間違いなく体引き締まってるよ。
一日ですっごいダイエット効果だ。
これはちょっと頑張りがいがあるぜ。
肩を回してみるとまったく痛く無い。
体調もすこぶる良好だ。
朝ごはんどうしようかな?
まだお店が開くには早過ぎるから、人の少ない今のうちにやりたい事をやっておこう。
車に乗り込んで出かけ、ちょっと人目に付きにくいような場所で降りて、場所を記憶する。
そこから車のオドメーターを目安に1㎞ほど離れてみた。
【転移】と念じてみる。
そこでMP消費量の確認をしてみると、17ほど減っていた。
現在俺のMPは黒魔術師を習得したこともあり150だ。
恐らくだがMPの計算式は(精神+知力)×5+JOB特性分だと思う。
これはナビちゃんに確認してみたら思念による個人差が結構激しいらしくて、人それぞれで計算式が違うらしい。
俺的には最後に信用できるのは自分だけなので、オールラウンダーな方向性で間違っていないと思いたい。
話を戻して今度はもう1㎞ほど離れて2㎞先から転移してみる。
やはり34のMP消費だ。
次は拠点になる場所の記憶数だ。
六箇所目で記憶できなかった。
LV1では五箇所までって事だな。
次は重さだけど、俺の体重は70㎏だ。
もう一人分70㎏分のお米を触った状態で転移してみる。
何故お米かというと、雑誌の懸賞で100㎏のお米が当選して家に在庫であったからだ。
無事に1㎞先から70㎏のお米と共に転移できた。
問題は消費MPだが、24消費していた。
もう一度今度は2㎞先から転移、MPは48の消費だ。
おそらくだが、基本発動が1㎞に付き10MP
重量が10㎏に付き1㎞当り、1MPの消費だと思う。
もう少し検証を重ねて見よう。
あくまで自分に対してのルールであり、他の人だと違った結果が出るのかもしれないけどね。
現状では10㎞の転移は往復では、厳しいという事だな。
今は必要に迫られてはいないので、ポイントの振り分けはもう少し様子を見よう。
そろそろ朝ごはんを食べれるお店も開店する時間だ。
今日は焼き魚の気分だな!
定食屋さんに入って焼き魚定食を頼み、新聞を開くと地方記事に昨日の落雷の記事が載っていた。
偶然スマホで撮影した人が居たようで『落雷で地面に穴が開いたが、それが次の瞬間には塞がっていた』と談話が載っていた。
すぐそばに人が居て(俺のことだな)事実関係を確認したいので、この記事を見たら連絡が欲しいとのコメントが付いていた。
まぁ連絡はしないけどね。
穴の中に何があったのかとは見られてないはずだから、そんなに気にすることも無い筈だよね?
帰りに昨日のスーパーの側を通ると、落雷で折れた街路樹をちょうど撤去していた。
ある程度の深さまで掘って、折れた街路樹をトラックの荷台にユニックで載せていたが、掘った穴の中は土があるだけで、ダンジョンらしき物はまったく見えなかった。
やっぱり入り口のみの謎仕様だなダンジョン! と一人納得しながら家路に着いた。
家に帰ってからする事は、まずは錬金を試してみよう。
同じ物どうしで錬金した場合はどうなるのかな? と思いつき薬草を錬金してみることにした。
すると錬金をしようとした瞬間に脳裏にメッセージが浮かんだ。
薬草を錬金した場合に出来る物はポーションらしい。
成功率は10%と表示されていた。
スキルレベルがかなり影響するのかな?
二個だとどうなるんだろう? と思い二個を錬金しようとすると、『二種錬金はまだ使用できません』と脳裏に表示された。
残念…… まぁまだ薬師も鍛冶師もJOBにつけないから焦らないけどね。
結局錬金は薬草を三回挑戦して失敗した。
今日は辞めておこう。
失敗した素材は普通に消滅してました……
なんか世界で一つのスキルの割りにしょぼい感じがするよなぁ。
高レベル帯での神スキル化に期待しよう。
次は身体強化だ。
これは結構楽しみだな。
集中して意識を高める。
【身体強化】と念じると体に力がみなぎった感じがした。
ステータス画面を呼び出し確認した。
岩崎理
LV7
JOB 剣士LV2 シーフLV2 黒魔術師LV2
ポイント54
HP120+60
MP155
攻撃力27+13
守備力12+6
敏捷性17+8
精神力17
知力12
運15
なんか昨日見たときより随分上がってる感じがするな。
ポイント5の職業に付くと、
JOB特性の値がJOBLV毎に5上乗せする感じかな?
+で表示されてるのが身体強化分だろうな。
LV1でこの数字なら十分壊れスキルっぽいぞ。
それに…… なんかすっごい遠くの物がはっきり見えてるし、隣のうちのテレビの音がはっきり聞こえる。
あっ、隣のうちって新婚さんだったな…… これってきっと夜の音とかも鮮明に聞き取れるかも…… 虚しいから夜は身体強化禁止だな。
最後は一番期待できそうな回復だ。
これって怪我して試さないといけないかな?
自分でやるのは嫌だしな……
そうだ! 向かいの家のばあちゃんが足と腰が痛いって言ってたな。
ちょっと試させてもらおう。
レベル1だとちょっと効果が解らないかも知れないから、ポイント使ってレベル2に上げよう。
お向かいの家の呼び鈴を押した。
「向かいの岩崎ですー。なんか勤務先で足腰に良く効く薬を試供品でもらったので、おばあちゃん試してみませんか?」
と言いながら、ただのビタミン剤の入った袋を渡した。
「わざわざありがとうねぇ。もう老い先短い身だけど痛いのは辛いから嬉しいよ」
と言いながら受け取ってくれた。
一人暮らしのお婆ちゃんだから、たずね易くて助かったよ。
「折角だから、お茶でも飲んで行きなさい」と言われ、普段なら断るけど今日はちゃんとした目的があるので、「お邪魔します」と返事をして上がらせてもらった。
「早速お薬も飲んでみるね」
と、言いながらビタミン剤を口にしたのを見計らって、スキルを発動してみた。
【回復】
ほんわりと淡い光がお婆ちゃんの身体を包み込むような感じがして、スーッと光は消えていった。
「あら何か変わった光が見えたような気がするねぇ。それにとっても暖かい感じがしたよ」
俺は「夏だから暖かいのは当たり前だよ」って言いながらお婆ちゃんを観察してると……
「何か足が痛くないよ」って言いながら立ち上がり、不思議そうな顔をしていきなりラジオ体操を始めた。
それはもう日本○育大学でも見ることの出来ないようなキレッキレッの見事なラジオ体操だった。
「私は若い頃中学校で体育の教諭をやってたんだよ。あの頃の体より調子がいいよ」
って言いながら目に涙を浮かべて、キレッキレッのラジオ体操を第二まで披露してくれた。
「お婆ちゃん良かったね!」と言いながら効果を確認した俺は、安心して家に戻った。
◇◆◇◆
後日病院で診断を受けたおばあちゃんは、何故か白内障気味の目や、遠くなっていた耳、高齢だから手術は無理だと言われていた癌まで完全に治っていたらしい……
これは、うかつに使うことは危険なスキルだ……
◇◆◇◆
これで大体のスキルは解ったな!
取り敢えずはレベルを10まで上げて、鍛冶師と薬師のJOBを取りたいな! と次の目標を決めた。
庭先のダンジョン入り口から、地下に降りる。
確認の意味をこめて、設定の確認をしてみると昨日のままだ。
何かおかしい。
空気が重い…… 強者の雰囲気って感じのプレッシャーを感じる。
気になった俺は『ナビちゃんちょっといいかな?』と呼びかけた。
『いかがなさいましたか? 理様』
『昨日と明らかに雰囲気が違うよね? 敵が強くなっているような感じがするんだけど?』
『流石で御座います理様。その通りです』
『何でそんな事になってるの?』
『昨日理様が設定されたままですので、六分間で一匹のモンスターが沸きます。つまり三百分間で設定上限の五十匹のモンスターが居る状態となります。同士討ちありの設定ですので戦闘も起こります。上限を超えないうちは積極的な戦闘は起こりにくいのですが、それ以降は必ず戦闘も起こって行き、勝ち残ったモンスターは当然レベルも上がります。中には進化条件を満たした個体も発生する場合があります。昨日理様が退出されて以降ほぼ十五時間が経過しておりますので、六百回以上の戦闘が起こっており、それに応じてダンジョン内の平均的なモンスターレベルや種族が強化されたのが現状と言うことで御座います』
『…… やばいよね…… かなり。ナビちゃんこうなる事は解ってたの?』
『当然で御座います理様。私は始まりのダンジョンのコンシェルジュでございます。ここで起こるであろう事柄にはあらゆる事態を想定しております』
『教えて欲しかったなぁこの展開…… なんか無理ゲーっぽくなってきた』
『何もお聞きになられませんでしたので、当然お解かりなのかと思案しておりました』
『これって対処方法はあるの?』
『ある程度間引きながら、設定を変更して行く事を繰り返し、理様が思う適正状態になる様にするしか御座いません」
んー…… かなりハードモードだなぁ。
『設定の変更はナビちゃんも出来るんだよね?』
『はい。あくまでも理様に命じられた上での範囲で承ります』
『じゃぁさ、俺が今から少しづつモンスターを倒していくから、とりあえず、最大出現数十匹で、同士討ちOFFの設定になる様に頼むよ』
『かしこまりました。理様』
とりあえず頑張って倒すしかないけど、武器だってまだ木刀とスコップしかないんだよな、通用するのかな?
昨日と違い、すでにモンスターが現れている状況のダンジョン内を見回す。
中心部が若干密度が濃いように感じるので、壁際の敵から倒すことにする。
昨日と違い、薄い赤色をしたスライムが居た。
大きさも昨日のより大きいし、これは魔法攻撃のほうがいいかも? と思い
唯一使えるファイアLV1をスライムに向けて放った。
ん……普通に魔法は弾かれた。
これって色的に炎耐性があるって事かな?
確認してみよう。
『ナビちゃん。ちょっといいかな?』
『いかがなさいましたか? 理様』
『モンスターの色は得意属性とかに影響されるのかな? ファイア全然効かなかったけど?』
『流石で御座います理様。その通りですそのスライムに鑑定をかけていただければ解ると思いますが、レベルも8で理様より上ですので、火属性攻撃はレジストされます』
『レベル8? ここってレベル5までしか出ないんじゃなかったの?』
『それは湧き出した時点でのレベルですので、戦闘を重ねた個体は当然それ以上に成長していきます』
ますます無理ゲーだな。
打開策は現状物理だけか。
ポイントが後44ポイントあるから身体強化を1から3に上げてみるか。
25ポイントを使用して身体強化を3にあげた。
身体強化を発動してステータスを確認すると……
岩崎理
LV7
JOB 剣士LV2 シーフLV2 黒魔術師LV2
ポイント29
HP300/120+180
MP145/155
攻撃力27+39
守備力12+18
敏捷性17+24
精神力17
知力12
運15
うん、何かいける気がする。
木刀を握り締めスライムに再び立ち向かう。
あっさりとコアの破壊に成功して、なんとかのりきった。
その後二時間ほどを費やし外周に居た三十匹ほどを倒し一度ダンジョンの外に出る。
外周はスライムだけだったな。
レベルは2上がり9となった。
JOBレベルも一づつ上がり3となっている。
現在ダンジョンの設定は最大出現数十匹で同士討ち無しのはずだ。
あれ? 五十匹から三十匹討伐して最大出現数十ってことは?
同士討ちも無しだからどうなるんだろ?
『ナビちゃん? 今の状況だとモンスターの数と設定があっていないよね? 同士討ちもしない状態だとどうなるの?』
『良いところに気づかれました理様。当然ダンジョンは設定との整合を取れるように努力いたします。現在残ったモンスターが融合を始めて、数の整合を果たそうとしていると思われます。その場合レア個体が発生する確率がかなり高くなります』
えぇぇ!さらに無理ゲーじゃん。
『レア個体って当然強いんだよね?』
『理様。そうとは限りません。レア個体は当然珍しい物ですが、ユニーク個体としての色合いが強く、ある一点だけを見れば凄く強い場合でも、致命的な弱点を抱えたりする事が御座います。現在ダンジョン内に残っている個体は、どれもレベル15程度まで成長していますので、理様の鑑定で弱点看破はできません。ポイント使用での鑑定レベルのアップをお勧めいたします』
ポイントは残り33ポイントか、鑑定を二つ上げて残り8ポイント。
レア個体ならドロップ期待で運を上げるのもありだな。
残りは運に全振りだ。
さて出直し戦だ。
再びダンジョン内に降りたち敵に近づく、
ゴブリンが大きくなったような個体を確認した。なんか強そうだ。
【鑑定】
リトルオーガ(R)
LV16
物理耐性(特大)
魔法無効
弱点(水属性)
HP5000/5000
MP0/0
攻撃力200
守備力500
敏捷性50
精神力0
知力0
運0
強いな水属性が弱点って出てるけど魔法無効? 無理ジャン
『ナビちゃんちょっといいかな?』
『いかがなさいましたか理様』
『これって倒せるの?』
『理様には生活魔法がございますので、武器に纏って殴れば楽勝で御座います』
あー昨日から練習して無いやぁ……でもやるしかないんだよね?
シーフの特技『忍び足』で死角位置から近づき、木刀を構え水分補給で武器を包み込むイメージ。
ここまでは問題ない。
そのままリトルオーガに向かって振り下ろす。
ここで気付かれた。
リトルオーガは突進してくる。
メチャコエェよ。
木刀に纏っていた水は真上にすっぽ抜け、ただの木刀でリトルオーガを一撃! 見事に木刀は根元から折れた……
そのままリトルオーガのもつ棍棒に頭を砕かれそうになるが、真上にすっぽ抜けた水がリトルオーガに降り注いで、そのまま煙を上げながら倒れ伏し、黒い霧に包まれ消えていった。
「助かったー」
『見事な作戦で御座います理様』
『ナビちゃんそれ違うって……』
『ミッションクリアで御座います理様。100ポイントが付与されました。【世界で始めてユニーク個体を倒した者】達成で御座います』
床を見るとドロップも落ちていた。
アイテムボックスに収納し、鑑定してみると……
『極彩棍棒R』重いが決して折れない棍棒攻撃力+100重量100
『ポイントボール中』ポイント+10
『スキルオーブ』スキルを1つ選ぶことが出来る。
すげー! 結構大盤振る舞いだな。
でも、こんな重い棍棒振り回すどころか持つのも無理ジャン……
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