第3話 初めての戦闘
JOBを三個取得したことでポイントは残り九十五ポイントか。
このうち四十五ポイントをステータスに振り分けよう。
攻撃力5→20
守備力5→10
敏捷性5→10
精神力5→10
知力 5→10
運 5→15
こんな感じでどうだろう?
運ってドロップは勿論だけど回避とかにも絶対影響あるはずだから、優先的にあげて行くべきだと思う。
うん…… 一応事前準備は整った感じかな?
装備とかどうしよう。
武器は、とりあえず昔修学旅行のお土産で何故か買った木刀と、庭いじりで使った頑丈そうなスコップがあるから取りあえずそれでいいか?
防具は取りあえず昔バイクに乗ってた時に着てたライダースーツがあったからそれを着よう。
ヘルメットも被ったほうがいいのか?
でも…… この格好で街中歩くとめちゃ怪しい人だよなぁ。
アイテムボックスに入れておこう。
『ナビちゃん。ダンジョンってどうやったら入れるの?』
『理様。討伐されたダンジョンの入り口は通常見えなくなります。ダンジョンマスターである理様が作りたいと思った場所にダンジョンの入り口が現れます。ただし一度設置してしまいますと移動は出来ません』
『え? それってどこでも良いって事?』
『はい。その通りでございます。もともとダンジョン自体は異空間となっておりますので、出現するのは入り口のみで、中に入るとまったく違う空間につながっております。ですので、どれだけモンスターが暴れようと、壁や天井が崩れてダンジョンから出てくる事はございません。スタンピードの場合も入り口からのみモンスターは現れます』
『って事は、うちの庭に入り口作っちゃっても大丈夫な感じなのかな?』
『はい。ゲートオープンと念ずることで入り口が作成されます』
『ただし、ダンジョンのことが知れ渡ってくると、当然ダンジョンがどこに存在しているのかは話題の中心になります。そこからは今までの常識では考えられない、あらゆる資源や富を産出するようにもなってきます。始まりのダンジョンからは、初期レベルの素材や鉱物が産出されますが、その素材ですら、錬金を使い、高レベルの鍛冶師が装備品を作る事で、現在存在する武器や兵器と言われる物を上回る性能を持つ物が産み出されるようになります。あらゆる権力や欲望からの圧力が今後発生いたしますので、自衛手段の構築も十二分にご考慮下さいませ』
はぁー…… なんか大変なことになってきちゃったな。
でも考えようによっては、俺ってメチャお金持ちなれる可能性もあるんだよね?
枯れた人生って思ってたけど、少し頑張って見るだけの価値はありそうだ!
とりあえず…… 俺が本当にモンスターと戦うことが出来るのか体験してみなけりゃな。
庭の隅っこの外から見えない辺りに入り口を作ろう。
『ゲートオープン』
D1ダンジョンの入り口が作成されました。
マスターによるダンジョン設定を行ってください。
モンスターレベル 1~5
スタンピード ON OFF
モンスター最大出現数 0~100
同士討ち ON OFF
探索許可 許可制 フリー
これは……
『ナビちゃん。こんなの出たけどどうすればいいの?』
『最初に新しいダンジョンマスターが、ダンジョン内で活動を始められる際に、ある程度のダンジョンの性格付けが出来るようになります。始まりのダンジョンでは設定できる項目も多くありませんが、来週以降出現するダンジョンでは、D2~D155となり、数字がそのまま階層数となって行きます。数字が大きなダンジョン程、設定出来る項目も増加していきます。理様のようにダンジョンに入る事無く討伐を達成される方は、今後出ないとは思いますが、ダンジョンボスを討伐すると一度強制的に入り口に戻されます。その後、各ダンジョンのコンシェルジュを通じて、ダンジョンマスター就任の通知が行われ、入り口の設置が行われた時点でダンジョンの設定といった一連の流れとなります』
◇◆◇◆
『スタンピード』ON設定でスタートしてしまうと、再び討伐可能ダンジョンとなります。
その討伐者にダンジョンマスターが移動することにもなります。
再び討伐報酬を得ることが出来るチャンスでもありますが、所有権を失う可能性も高いので設定の際はご注意ください。
『最大出現数』は、そのままモンスターが同時にダンジョン内に、存在できる上限数です。
『同士討ち』は、ダンジョン内で発生したモンスター同士の、戦闘の有無です。
戦闘に勝利したモンスターは当然成長していきます。
最後の『探索許可』は、ダンジョンマスターの意志で探索できる生物を指定できます。
この機能により富を思うがままに、出来る可能性も御座いますが、大衆の意思を反映するのが基本仕様なので、あからさまな利益独占などがあると大変な事が起こる可能性も御座います。
うーん…… 奥が深いなぁ…… まぁこのD1では階層も一つだし難しく考えずに……
スタンピードはOFF
出現数は五十でいいだろう。
同士討ちはONにしてみよう。
探索許可はフリーでいいや。
◇◆◇◆
さて、早速入ってみるか!
出てくるモンスターはどんな感じなのかな? 俺、マスターなのに全然知らないって変じゃない?
『ナビちゃんこのダンジョンのモンスターって誰の意思で決まってるの?』
『大衆の意思で御座います。世間の大衆の感情が負の感情に近ければより醜悪なモンスターが、正の感情に近ければ聖獣や神性を持ったものが登場する可能性が高まります。現時点では平均的な発生になります。初期設定以降のダンジョン管理は、私がコンシェルジュとして理様の意を汲む形で運営させていただきます。お気づきの点がございましたら、その都度お申し付け下さいませ』
そっかぁ…… でも大衆の意思って誰がどんな基準で測ってるのかな?
等と考えながら中心部へ向かって進んでいくと、黒い霧が地面から立ち上がりその中に動く物を確認した。
ジェリー状の物体、いわゆるスライムだ。
薄い水色の身体の中にほんのりと赤い物体が見える。
とりあえずアイテムボックスから木刀を取り出し、近づいてみた。
伸縮しながらスライムも寄って来る。
木刀を振れば届くかな? と、思う距離まで近づいた瞬間に、いきなり身体がちぎれるような形で何かを飛ばしてきた。
「わっ! びっくりしたー」
レベル5になってステータスも上昇させた状態だからかもしれないが、妙にゆっくりと飛んできたその物体を避け、木刀で赤い物体を目指して殴ってみた。
そのままジェリー状の物を突き抜け赤い物体を割る事に成功すると、再び黒い霧に包まれ霧が晴れたときには地面にドロップ品と見られる物が落ちていた。
早速鑑定スキルの出番だ。
『薬草N』 ポーションの主材料
そのまま摂取する事でもHPの微回復効果
うーん定番過ぎる感じのドロップだなー
ん? Nってなんだろ?
『ナビちゃんちょっといいかな?』
『いかがなさいましたか? 理様』
『アイテム名の後ろに付いてるNって何?』
『素晴らしい質問でございます理様。各種アイテムにはレア度という設定がございます。低いものから順に……
N ノーマル
HQ ハイクオリティ
R レア
SR スーパーレア
UR ウルトラレア
のレア度がございます。
全てのダンジョン産の素材やアイテム類にはレアリティの概念がございます。
そうなんだねぇ増々ゲームっぽいな……
てかさー、俺って昨日まで四十肩で結構肩が痛かったし、お腹周りもつっかえた感じがあったんだけど、なんか肩も痛くないし腰の切れもいい。
これってLVアップとかの効果なのかな?
このフロアは基本平原と呼んでもいい感じで、背の丈ほどの草が所々生えている以外は見通しもいい。
モンスターの発生数も、MAXで五十というだけで一度に現れる訳ではない様だ。
ちょっと安心した。
続いて奥のほうにまた黒い霧が発生して、その中から人型のモンスターが現れた。
ゴブリン? だろうな……
錆びたナイフのような物を振りかざし遅い足取りで近寄ってきた。
幼稚園児程度の身長でもあり、リーチも当然短い。
木刀で頭から叩くと一撃で倒れ伏せた。
うーん人型って躊躇無く攻撃できるのか不安だったけど、意外に平気なもんだね。
また黒い霧に包まれると何も無い状態になった。
あードロップ無しか……
運をどれくらいまで上げるとドロップって安定してくるのかな?
などと考えながら次の霧の発生を待つ。
結局この日はスライムとゴブリンだけが定期的に発生し続け、三時間ほどをかけ三十匹程の討伐をした。
六分で一匹くらいの発生だよねぇ。
これなら最大出現数も百でいいのかな? と思いながらダンジョンの外へ出た。
ドロップは……
薬草 N 9個
ポーション N 1個 HPの回復50。表面的な外傷の回復
ダンジョン鉄 N 3個 装備や魔導具の素材として利用できる。
魔鉄 HQ 1個 装備や魔導具の素材として利用できる。
トータルで50%近いドロップ率だった。
いいのか悪いのか解らない?
まだダンジョンの存在も明らかになっていないし、ドロップ品を売る事も出来ないから、今は溜め込むことしか出来ないなぁ。
ちなみにレベルは二つ上がって七になった。
ステータスは二つずつ伸び、ポイントは四増えていた。
どうやらレベルでステータスが一、ポイントは二増えるようだ。
JOBレベルは剣士、シーフ、黒魔術師がそれぞれ一から二へと上昇した。
魔法も試してみた。
黒魔術師の初期技能であるファイアが使えた。
詠唱なんて必要無いけど、発動タイミングが難しいから、ファイアって声に出しながら腕を振って出していた。
一撃でゴブリンもスライムも倒せる程度の威力だから悪くは無い。
ただ現時点では燃費が悪くて、余り多用できない。
因みにファイア一発でMP5を消費、回復は五分で一程度だ。
生活魔法を武器に纏うのは難しかった。
要練習だね!
今日は色々あり過ぎたから早めに寝て、明日は早起きして色々な準備をしよう。
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