ウザいあいつが、いつも私を邪魔してくる!!

BULLETandARROW

第1話 学校の屋上で

もう何もかも嫌だ。もう生きたいと思う理由が見当たらない。



目の前に広がる、グラウンド。そこには誰もいない、なぜなら今は授業中だから。大きく息を吸う。


「すーーはーー」


私は駆け出す。髪を風になびかせて。柵を飛び越えるため、大きくジャンプをする。この先に道は続いていない。もう、これで…………。




「ぐえっっっ!!!」


右の横腹に痛みが走った。そして視界が傾いて左腕と頭を強打する。いやいやいや、どういうこと? 痛いし。何が起こったわけ? ゆっくりと目を開ける。目の前には傾いた柵。左には冷たい床。いや、待て。なんか右が重い。私は右を見た。


「いや、誰」

「はーい、残念(笑)」

「いや、ほんとに誰」

「高等部二年、平 俊平たいら しゅんぺいっす!」

「いや、知らないし」

「えーー? なんで知らないんすか? チッサ先輩!」

「知らないものは知らない。ていうかなんで私の知ってるわけ?」

「友達に聞いたんすよ」

「何それ」

「うわ、あからさまに引いてますね?」

「うん」

「うんって! 先輩ーー酷いですよーー!」

「そんなことより早くどいてくれる? 重いし。それにあんたのせいで痛いんだけど」

「それは、俺がタックルして救ったんですから……伴ってしまうしかたない怪我的な?(笑)」


笑いながらどいたこいつを無視して、私は柵に手をかけた。こいつなんか、関係ない、意味不明だし。柵が私の視界の下から消える。




「ぐえっっっ!!!」


次はお腹に痛みが走った。そして視界は勢いよく上に傾いて私の目には空が映った。お腹に巻き付く両手。そして後ろに気配を感じる。前を見ると視界が反転していて気持ち悪い。またこいつか。


「お前、マジでなんなの」

「はーい、残念(笑)」

「また、それかよ」

「先輩を助けてるんですよ。俺、正義のヒーローだと思うんですけど」

「いや、ほっといて。離して」


巻かれた腕をどかそうとするが全く動かない。何なんだ、この怪力。


「なんで、そんなに私にかまうの!」

「内緒です」

「ていうか、あんた、今授業中でしょ」

「それは先輩も同じっすよね?」


ド正論すぎる。だが、私は早くこいつに離れてほしい。


「わ、わ、分かったから! もうしない、もうしない。ね? ね? だから離して」

「絶対ですよ?」

「おうおう」

「じゃあ、離してあげます」


やっと離してくれた。


「あははは、助けてくれてありがとう、また学校でね、あはは」


自分でも分かるほど、下手くそな愛想笑いをしてお礼を言った。まじでなんなの、あいつ。私の名前知ってるし。諦めた私は、スタスタと早歩きして屋上を去った。


「また学校でねってここ学校だし……愛想笑いなの、バレバレっす、先輩」


あいつがにやりと笑いながら言ったその言葉は私には届いていなかった。

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