第4話 おっぱい①

 翌日の朝。

 俺は何気なく目を覚ました。

 アラーム前に起きるのは自分で言うのもなんだが、非常に珍しい。

 カーテンの隙間からは日差しが漏れ、スズメたちが朝を告げているかのようにチュンチュンと鳴いている。

 今日から来週開催される体育祭の準備期間に入る。

 高校の体育祭は中学とは違い、迫力が断然に違う。見ていてすごく楽しい。

 が、練習に関しては、競技類は一切せず、開会式、閉会式、途中の流れを主にやらされる。

 そう思うと、今日からの約一週間が憂鬱になってしまう。クソ暑い中でずっと入場体系の練習を繰り返し、開会式の練習も体育科教師が納得いくまでずっとやらされる。

 俺はいつも思うんだが、体育祭のメインは競技だよね? それなのにメイン以外を主に練習してどうすんだよっていう話だ。

 要はあれか。来賓に対する忖度とかそんなもんだろ。市長も来るらしいし、うちの高校の生徒はしっかりしているというところを見せつけて、自分たちの評価を上げたいんだろう。

 そんなことを考えているうちに五分くらいは経過しただろうか。

 ぼーっとしているうちに多少眠気が取れ、気だるさも少なくなったような気がする。

 俺は身体を起こそうと横に手をつく。

 むにっ。

 何か柔らかいものに触れてしまった。

 それはマットレスでもなければ、布団でもなく、手にちょうど収まるくらいの大きさ。

 むにむにっ。

 何度か揉んでみる。

 手に吸い付くような感触で、不思議と脳を刺激する。

 俺は横を見た。

 そこには優樹菜が眠っていて、そのまま視線を下へとスライドさせて行く。

 手にフィットする大きさ。

 揉めば揉むほど、病みつきになってしまうもの。

 そこにあったのは……オパーイ、だった。


「…………」


 俺は一旦冷静になる。てか、最初から冷静なのだが、なんで優樹菜が俺の隣に寝ているんだ?

 昨日はたしか俺一人でベッドに入って、眠ったような……。

 記憶をどう辿っても、結果的には変わらなかった。

 今なお優樹菜はすやすやと眠っている。

 時折、「お兄ちゃん……好きぃ……」という寝言がめちゃくちゃ可愛くて、グッと萌えてしまう。いや、そうじゃない。萌えてどうする?

 俺としては可愛い優樹菜と一緒に寝れることは嬉しい。できることなら毎晩寝たいくらいだ。

 でも、俺たちは高校生。もし間違い……いや、あながち間違いではないにしろ、あんなことやこんなことが起きてしまえば大変なことになってしまう。


「お兄ちゃん、いつまで触っているつもりなんですか? 殺しますよ?」

「いつまでって……うわぁ!? 起きてる!?」

「私はまだ生きてますけど?」

「いや、そういう意味で言ったつもりではないんだが……」

「とりあえず私の胸から手を退けてもらってもいいですか? 殺しますよ?」

「……ごめんなさい」


 いつまでも触っていたつもりではなかったにせよ、俺は手をどかした。

 優樹菜は上体を起こすと、俺をじと目でじーっと見つめる。

 その瞳は語らずとも、何が言いたいのかよくわかった。ゲス、クズ、変態、女子が寝込んでいるときに襲うとか最低などその辺りだろう。


「それでなんで私の胸を鷲掴みしてたんですか? 返答の内容次第では殺しますよ?」


 威圧感がすごい。というか、「殺しますよ?」がもはや口癖のようになっていた。

 俺はコホンと咳払いをする。


「これは不可抗力だ。俺は決していやらしい気持ちで優樹菜のおっぱいを触ったわけではないし、触る気もさらさらなかった」


 そう言うと、優樹菜はなんとも言えない複雑そうな表情を浮かべる。


「それはつまり私の胸が小さいから触る気がなかったというのですか?」

「いや、違う。そういう意味じゃない! というか、そもそもなんで優樹菜が俺の隣に寝てんだよ。ここは俺の部屋だろ?」


 俺は仕返しと言わんばかりにじと目でじーっと見つめてやる。

 すると、優樹菜は人差し指をつんつんしながら、視線をきょろきょろと彷徨わせる。


「わ、私がどこに寝ようが、か、関係ないでしょ……」


 消え入りそうな声でそう言った。


「関係あるわ! もしまた今後こんなことがあって、取り返しのつかない出来事が起きてしまったらどうすんだよ」


 責任を取れとか言われても今の年齢じゃ難しいぞ?

 優樹菜はつんつんをやめ、顔を赤くしつつ、俯いてしまう。


「そ、その時はその時、です……」


 その時ってどういう意味だよ。

 あんなことやこんなことが起きてもいいのかよ……。

 俺は一回ため息をつくと、ベッドから立ち上がる。


「今度からは俺のベッドに寝るんじゃねーぞ」


 形勢逆転とはこのことを言う。

 今回に関しては、俺は悪くない。無罪だ。被害者だ。

 優樹菜が俺のベッドに忍び込まなければ、こんなことにはならなかった。

 けど……オパーイを人生初触れることができたのは少しラッキーとは思っている。

 あの柔らかく癖になりそうなしっとりと吸い付くような感触……おっぱい最高!

 …………………………朝から何言ってんだ俺?

 優樹菜はどこかシュンとながらも「わかりました……」と言うと、ベッドから降りて、俺の部屋から出て行った。


【あとがき】

 今日の投稿遅れてしまってすみません!(まぁ、待ってくれている読者様はいないと思いますけど……)

 今回、21時ごろに投稿する予定でしたが、パソコンがいきなりシャットダウンしてしまい、ほとんど書き終えていたのにも関わらず、全て消えてしまうというアクシデントが起きてしまいました! 非常に面白いアクシデントですね! 思わずパソコンを殴ってしまいました! うふふ……(暗黒微笑)

 とりあえず頑張って書き直しましたが、ショックのあまりうまく書けてないかもです! 

 パソコンでWordなど使う際はこまめに上書き保存した方がいいですね……(泣)

 みなさんも何かとWordなどを使う機会があると思いますが、僕のようにならないように……。

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