ブラックボックス2

「マヤ・ダイセン!」「ふふ、自分の顔を見るのは妙な気分ですね」「貴様!」「彼を責めるのはやめるんだぞ」もうひとりのスク水コートが話に割っていった。「悪いのは俺とアイリーンだぞ」


「彼女は誰だ!マヤ・ダイセン」「おっと自己紹介がまだだったぞ。俺はムスタング、ムスタング・ディオ・白樺」ムスタング……?「すでに能異頭ノイズとは出会ったらしいね。では夜の馬ナイトメアも見たのかな?」「ナイトメア?なんだそれは?話をはぐらかすな」


「いや重要な話だ。僕とムスタングが君をここに導いたのもナイトメアを退治するためなんだ」「俺を?導いた?」「そうだよ。君は僕になり切って自堕落に暮らすこともできたはずだ」「ふざけるな!」「そう君は取り戻しにきた」「そうだ!俺の体を返せ!」


「だから君はもう戦いの運命からは逃げられないよ。……ふふ、”葬列”にようこそ」「わけのわからないことをごちゃごちゃと!俺の体を返せ!」「……どうやって?」そうだ、どうやって取り返すんだ?「ふふ、安心してよ。ちゃんと返すつもりだよ。そうだ、僕に勝てたらすぐにムスタングに特異点制御を解いてもらう」


「……本当だろうな?」「ああ本当だよ、僕だってこんな体になりたくてなったわけじゃない」その言葉が頭に響いた瞬間!すでに体が動いていた!このむかつく野郎を一発殴ってやる!そう叫ぶかのように体が動いた。やや遅れて自分の体を殴るのはまずいと気付いた。


私の拳は受け止められていた。「すまない、言いすぎたよ。君も僕も巻き込まれた側だ。難儀だよね。宿命なんてものは」ダイセンは私の拳を優しく離した。「いつか、君との試合も組まれるだろう。その日を楽しみにしているよ」



その言葉を待っていたかのようにエレベーターの扉が開き二人は降りていった。「戦いの運命……」奴の言葉を繰り返す俺の口元は微笑んでいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る