ワイルドカード5

「なにあれ……」ツボミは様々なショックにより正気の許容量キャパシティが限界に達し失神した!「お姉さま!」マカネはツボミを抱きかかえる!「早く逃げて!」マカネはウヅメに逃げるように促す。だが幼い少女は不気味に笑っている。恐怖でおかしくなったわけでもない。下等生物を見下すような目!


「よくも!よくも!」能異頭ノイズは流石にダメージを負っているようで全身の不気味に発色する皮膚が鱗のように剥がれ落ちていく。だがμT無しで戦える相手ではない。「マカネちゃん、下がっていなよ。俺がやるね」「え?」聞き間違いだろうとマカネはウヅメを見た。


sacrificeサクリファイス……」ウヅメが取り出したギアが不気味に発声する。「スーパーノイズギア!起動!」ウヅメがスーパーノイズギアを右腕に刺した!「it’smad more.いつまでもI see tale.愛している」スーパーノイズギアがデーモンコードを唱えると銀色の液体がウヅメの足元から湧き出ていく。


「ウヅメちゃん!逃げて!」マカネはわけがわからない!やがて銀の液体はウヅメからも湧き出していく。止むを得ずマカネはツボミを抱えながら後退。「なんだあ貴様は?」能異頭も今の状況を把握できていないようだ。やがて銀の液体でウヅメの姿は見えなくなる。


だんだんと銀の液体が盛り上がっていく。その内部から三つの光る目が現れ上部に収まった。そして周囲の家すら越す大きさとなりやがて巨人の姿となる!「貴様に悪夢を見せてやろう!権能パワー天之岩戸ヘヴンズゲイト!」銀の巨人の中から緑色の鎧が湧き出て姿を変える!


「俺がワイルドカードだ。女王の前にひれ伏せ。下郎」巨人となったウヅメが能異頭を挑発した!否、挑発ではない。彼女こそが能異頭を統べる異界の女王である。「ほざけーっ!!!!」今までの出来事のうちもひたすら跳ねていた能異頭がウヅメに突撃する!


「愚かな。我が友を襲った罪はあまりにも重い。消えよ」ウヅメの掌から銀の液体が噴出し能異頭を押し返す。能異頭の権能よりも女王の権能のほうが上位なためか、あるいは銀の液体が異界の力に属する故か銀の液体が弾かれることはない。


能異頭が銀の液体の圧力で宙に浮いていく。どんどんと押されこの地下都市の上部、イミテーションの青空を写す天井へと飛んで行き、銀の液体に押しつぶされ消えた。


「あはははははは!」笑いながら緑の鎧を纏った銀の巨人が溶けていく。その様子を戦慄しながらマカネは見ていた。「いったい、アレはなに?」能異頭でさえ自分の理解を超えた存在だった。ではこの少女は何?おっさんと体を交換した自分が普通にさえ思えてきた。


やがて銀の液体の中からウヅメが姿を現した。「ねえ、マカネちゃん。どうだった?俺、すごいでしょ?君も逃げずに見てくれるなんて俺が見込んだだけのことはあるよ」「……あなたはいったい誰?」マカネは単刀直入に聞いた。


「俺は新たなるアメノイワトだ」少女は答えた。

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