マジックアワー2

私は目を覚ました。朝起きれば魔法が解けていればいいのに。だが鏡を見ても私が美少女に戻っていたりしない。鏡に映ったダイセンわたしの顔が睨む。私はこの男に体を奪われたのだ。私の体を奪ったダイセンは自分の人生を棄てこのヴァルハラの地へとやってきた。


「どうしたの、マカネ」ユリが私に声を掛ける。彼女はダイセンの一人娘だ。だが彼女は私の敵というわけではない。「ごめんね、私のせいで」「いいのよ、友達でしょ」ダイセンの野太い声で返事をするのはいまだに違和感がある。


私はあの日、クラスメイトのユリ・ダイセンに誘われてダイセン財閥のパーティに誘われた。パーティを楽しんでいるとあの男、マヤ・ダイセンに声をかけられた。マヤ・ダイセンは兵器開発によって一代でこのトリフネに財閥を作り上げガフでも有力な存在となっていた。


それがあんな変態だったとは。私は魔法にかけられたのだ。もちろん比喩だ。奴は私の体を狙っていたのだ。移植手術によって私の体は奪われた。金さえあればなんでもできるというようにこの私、マカネ・アキタの美少女の体を奪ったのだ!


このまま中年男性の体と美少女の心は棄てられるはずだった。そこを救ってくれたのはユリだった。彼女はメイドに命じて残った体と心を組み合わせた。つまり私は今、マヤ・ダイセンの体にマカネ・アキタの心が宿った存在だ。


ダイセンの体で目覚めた私は絶望した。だがユリがいてくれたこととダイセンから体を取り戻すことが私の生きる理由となった。奴は私の体と一機のμTミュートを奪いヴァルハラの地へと去った後だった。


私の復讐はまず肉体改造から始まった。ダイセンのだらしない体をシェイプアップし戦える体へとするためだ。と、同時に奪われた体が奴の自堕落な生活で改悪されないか不安でもあった。奴が残した財閥は私のものになった。当然だ。私は奴の体を持っている。


私もヴァルハラへと向かおう、そのためのシンデレラサンドリヨンは静かに王子様パイロットを待っていた。

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