第18話

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 後半も半分ほどを消化した。スコアに動きはなく、両チームは一進一退の攻防を繰り広げていた。

 ルアレはボールを緩やかに回し、中に絞ったモンドラゴンが受けた。

「モンドラゴン!」高い声で叫び、オルフィノが駆け出した。しかしアリウムもきっちりマークしている。

 右足をテイクバックし、モンドラゴンはキックした。パスは大きな弧を描き、オルフィノとアリウムの進行方向に飛んでいく。

「取れるぞアリウム!」神白は端的に指示した。オルフィノに従いていきつつ、アリウムは跳躍した。

 しかし、ぐらり。ボールは不自然な軌道で落ちた。アリウムの頭は当たらず、空振りに終わる。

「ナーイス・パス♪ やっぱりモンドラゴンは良い仕事するよね」

 気安い調子で呟きつつ、アリウムはいとも簡単にトラップした。

(無回転のボールをパスに使うかよ! どれだけ多彩なキックを持ってるんだ?)神白は驚嘆しつつ、「リー!」と6番に声を飛ばす。

 6番がオルフィノに向かい合った。後方には暁が控えており、一度体勢を崩したアリウムもダッシュで引いている最中だった。

「ふんふん、ちょっとずつ僕のプレーに対応できるようになってきたんだ。偉い偉い。でもでもこれでどうかなっ」

 歌うかのように愉快げに言うと、オルフィノはすっとボールを引いた。爪先で救い上げると、甲で頭の高さまで持っていく。

(なっ!)神白は絶句した。オルフィノはちょんちょんと、額でボールを突きながら移動を始めた。ボールの浮く高さは十センチ少しで、アザラシの曲芸のようだった。

 面食らった6番だが、どうにか従いていく。しかしボールを奪う取っ掛かりがない。

 結果、オルフィノと並走はしていても進行は止められていない。

 オルフィノのゴールへの接近を許し、暁が前に出た。奪取はできずとも撃たさないように、細かなステップで対応する。

「それでどうにかなると思った? 甘いんだよね」生意気な語調のオルフィノは、ポンッとボールを後ろに落とした。

 神白は困惑した。次の瞬間、オルフィノの背中からふわりとボールが出てきた。

(踵! しまっ──)神白が悔いる間にも、ボールは空中を行く。やがて、カン。ボールはクロスバー下部に当たり、ゴールラインを割った。

「やったぁ!」無邪気に歓声を上げ、オルフィノは自陣へと走り始めた。ルアレのメンバーが近寄り、身体を叩いて祝福している。

(嘘だろ、何だよ今の。もはや曲芸──)神白は呆然とするあまり動けなかった。一対二、オルフィノの天衣無縫のプレーにより、バルサは勝ち越しを許した。

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