第8話

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 以降、バルサは高い集中力を持続し、ルアレの攻撃を跳ね返し続けた。

 五分が経過した。バルサ陣地中ほどで、敵5番からオルフィノにパスが出た。しかし、少し狙いがずれている。

 瞬時にアリウムが地を蹴った。オルフィノの前に出てボールを奪う。

「カウンターだ!」神白の指示と同時、アリウムは前方のレオンに速いパスを出した。レオン、ちらりと中を一瞥して、ダイレクトで蹴り込む。

 低弾道のボールが飛ぶ。応じたのは天馬だ。全力で駆けて行き、落下点に到達する。

 後ろからの球を胸で足元に収め、天馬は前を見た。モンドラゴンがいた。半身で構えながら、天馬のへその辺りを注視している。

(ビッグマウスは伊達じゃあないっすね。隙がなかなか見つからないっす。でもないならないで、俺が作り出してやるだけっすけど!)

 固く決意し、天馬はふっと力を抜いた。次の瞬間、タッチ、内跨ぎ、タッチ、外跨ぎ。両足を高速で動かし、フェイントを掛ける。

 モンドラゴンがぴくりとした。(チャンス!)即断した天馬は、左でドリブル。敵の右を抜きにかかる。

 しかしモンドラゴンの反応は早い。天馬に遅れずに並走し、やがて身体を入れてボールを天馬から遮断する。

「くっ! この!」天馬、左右から奪取を試みるが、体格差は埋めがたくボールに到達できない。

 ころころと転がったボールは、やがてラインを割った。ルアレのスローインである。

(俺とモンドラゴンは、スピードがほぼ互角。ただフィジカルはぼろ負けっすから、そこの勝負に持ち込んだら勝ち目はないっすね。さあて、どうしたもんか)

 バックステップで引きながら、天馬は頭をフル回転させていた。年齢差を言い訳にするつもりはない。現在のバルサのトップには、十七歳で初得点を決めた超俊英もいる。

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