第10話
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その後、ミーティングは五分ほど続き、最後にゴドイから解散の声がかけられた。一同は動き始め、神白も帰途につこうとした。すると、左手に柔らかい感触が生じた。
神白は振り返った。目の前にエレナが立っていた。神白の手を両手で包み込んでいる。
「やったね! 監督たちにお褒めに預かれた! 今日だけで十歩も二十歩も前進したね!」
エレナの口振りは弾んでいた。茶色の大きな瞳は、眩しいものを見るかのようにきらきらとしている。
「ありがとう。エレナのおかげだよ。あの謎のクラシコを体験して、プレーの幅が広がったっていうか。選手として一段階、成長できた感じがするよ」
エレナを直視しつつ、神白はゆったりと告げた。嘘偽りのない、率直な気持ちだった。
神白の言葉を受けて、エレナは満足げに笑った。
「監督も仰ったけど、神白君のサッカー人生はまだまだ始まったばっかりだよ! 倦まず弛まず、私と一緒に進んでいこう! 最終地点はキーパーで二人目のバロンドール! それしかないよね!」
力と愛に満ちたエレナの言葉に、神白は明日以降も精力的に練習に取り組む決意を固めた。
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