第4話 オーヴァード
昼休みになった。
周りが弁当やパンを広げる中、俺は口にビスケットを一枚放り込み。
朝の疑問を解消するため、俺はスマホを取り出し、食べながら検索した。
キーワードは「オーヴァード」
すると、都市伝説系のサイトに行きつき、超人のこと、という説明がなされていることを知る。
どうも、ウイルスに感染してなってしまう超人のことらしい。
今度は「オーヴァード 超人 ウイルス」で再度検索をかけてみたら、もうちょっと詳しく書いているところがヒットした。
そこにはこうあった。
・オーヴァードとは、レネゲイドウイルスに感染して誕生する超人の事。様々な超能力を駆使する人を超えた存在。
・世界中で誕生しており、人ではない、動物の感染例も報告されている。
・世界各国は実はその存在を認識しているが、公表すると混乱が予想されるため、その存在を秘匿している。
・オーヴァードたちは、変身能力を持つ者、電気を操る者、熱を操る者、物質を創造する者、他にも様々なタイプが存在する。それらはシンドロームと呼ばれている。
・オーヴァードたちは集まって組織を作っている。それは平和を守るために戦う正義の組織、世界征服を企む悪の組織、欲望を叶えるために犯罪に手を染める犯罪組織と多種に及ぶ。
……いやいやいや。これは無いだろ。
書いてることが「漫画かよ。いや、今時漫画でもこれは無いわ」そう思えるくらい荒唐無稽。
さすがにこんな噂、真に受けるのはどうかしてる。
ビスケットを飲み込んだ後、思わず「ねぇよ」って呟いてしまった。
すると、後ろから「何が?」って声がかけられた。
驚いて振り向くと、そこにはメガネ女子・水無月優子が立っていて。
俺を不思議そうに見ていた。
「……脅かすなよ。なんか用?」
「いや、北條君が昼休みにスマホ弄ってるって珍しいなと思って。いつも寝てるのに」
と、俺の言葉にメガネの位置を直しつつ返答する。
「今日はちょっと、寝る前に調べたいことがあっただけだよ」
言いつつ、用が済んだのでスマホを仕舞い、水無月の言う通り寝ようかと思ったのだが
「……なぁ、ひとつ聞いていい?」
ふと、思い付きで言ってしまった。
「何?」
水無月はキョトンとした感じでこっちを見てくる。
「水無月さ、俺の過去話聞いてないの?俺、前にタメの男子に怪我させたことあるんだぜ?怖くない?」
別に威圧しようだとか、女に力を自慢しようだとか、そういう思いは無かった。けれど……
「いやでも、北條君悪い人じゃないでしょ?」
平然と、全く予想してなかった言葉が返って来た。
何を根拠にそんなことを言ってるんだ……?
「そんなの分かるわけ?」
「分かるよ」
俺の問いに。
水無月の答え方は確信を持ってるものがあった。
そのまま平然と続ける。
それが問題だった。
「本当に悪い人ってのはね、目が濁ってるもんだよ」
「でも、北條君はそうじゃないから」
……こっちが恥ずかしくなるようなことを、照れもせず言ってくる。
目が濁ってる?そうじゃない?
よくもまぁ、そんなことが平然と言えるな!?正気じゃねぇぞそれ!?
これ、拷問じゃね?
「まぁ、いつも怒ってるのはちょっとどうかとは思うけど」
……いやもう、やめてくれよ!
耐えられなくなり、俺は机に突っ伏して寝る体制に逃げ込んで、水無月の言葉責めから逃げ出した。
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