紙と少年

なるこ葉

第1話

紙と少年


一日一枚、紙に何か書くこと。

僕が覚えてないころからのルール。

昨日は絵を描いた、大きい汽車を見に行ったから大きい汽車を描いた。

一昨日は雨だったからおうちでいたの。

真っ白い紙にあめきらいって書いたよ。

こうすると、りっぱな大人になるんだって。

毎日ポストに入れて送るの。

今日は何を書こうかな。真っ白い紙を持って外に出た。すごくいい天気で、木のいいにおい。

たくさん歩いているうちに、昨日見た汽車のところまできてしまった。

今度、あの汽車に乗ってお出かけするって言ってたな。どこまで行くんだろう。

わくわくしながら、紙に絵を描き始めた。

きっと、たくさん友達がいて、学校があって、お菓子も食べれて、犬もいるかもしれない。

夢中で絵を描いてるとすっかり遅くなっていた。慌てて立ち上がると、お迎えが来てくれていた。

にっこり笑って差し出してきた手をとり、僕は歩き出す。

真っ白い紙のような服を着た人達と。

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紙と少年 なるこ葉 @mandr

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