第643話 カエルの目玉で生きカエ~ル♪

 ということで、デスラーは焦った。

 ――このままでは自分は在野に埋もれてしまうではないか。

 そんな焦りのような真っ黒な心がデスラーを支配していた。

 ――ならば、もっとすごいことを……皆が驚くようなことを……

 そう考えるのは研究者として自然の事である。

 そして、その考えの先、行きついたのが人体融合。すなわち、人体と人体の融合であった。

 などと恰好のいいことを言っているが、その実は、外科手術をすれば失敗ばかりするものだから、とりあえず、融合加工で引っ付けてごまそうかなwwwってな感じだったのであるwww

 しかし、生きた人間の腕を切り取って別の人間にくっつけてみてもうまく動かない。

 間違って切り落とした頭を、もう一度、エイや!ってつけてみても生き返らないのだwww

 そう、いくら第三世代の融合加工の技術を駆使したとしてもうまくいかないのである。

 それどころか免疫の拒絶反応が起こって死んでしまうのだ。

 だって……それは仕方ない……

 融合加工の神スザクの恩恵は魔物との融合加工にのみ、その力を発現するのである。

 すなわち、魔物組織を使わぬ人と人の融合など神の恩恵が受けられるはずもないのだから成功するわけはなかった。

 ――さすがに、生きた人間では無理か……

 半ばあきらめかけたデスラーは思いついた。

 ――死体ならどうだ?

 そう、死体なら、免疫や抗体も関係ない。

 すなわち、それはもう物である……

 物であるならば、その接合部分に魔物組織を用いれば第一世代の融合加工で引っ付けることができてしまうではないか!

 だが、問題は……死んだままだと患者の家族にクレームを入れられてしまう。

 最悪、医療ミスということで裁判沙汰だ……

 それはまずい……

 どうにかして死体をもとのように動く体へと生き返らせないと……

 だが、そんな方法、今まで学んできた知識の中で聞いたことなどありはしない。

 ――というか、そもそも、そんな方法があるというのか?

 確かに、人魔症を発症すれば、ゾンビのように動き回る。

 だが、それも生気が尽きれば電池が切れたおもちゃのように動かなくなるのだ。

 死体を動かすというのとは少々違う。

 だが、目の前の顔の大きな男は、それができるというのである。

「その話!のった!」

 ということで、部屋の壁に並べられた大きな棚を片っ端から開け始めた。

 棚から引き出される台には老若男女、様々な遺体が横たわっている。

 ちなみに、これ……すべてデスラーの医療ミスの成果であるwww

「その女だけでは少なかろう! ここにある大量のサル、いや、人間たちの脳みそと1:1の交換ということでどうだろうか!」

「ラジャ~! ブラジャ~! 了解や~♪」

 脳みそ……それは生気が宿る場所……

 魔物が進化するために必要なもの……

 そして、アダムの従者たちが復活するのに必要なものもまた、大量の生気であった……

 この顔の大きなお男、いや、ガイヤはこの大量の脳みそを一体に何に使うというのだろうか……

 だが、その一方で、デスラーは使者を蘇らせる禁断のカエルの目玉を50個ほど手に入れたのである。

 というか……デスラーの奴……もう……コ〇ンドームのこと忘れとるやないかいwww

 そう、この出来事によって、テストすらされなかったコ〇ドームはデスラーの小遣い稼ぎのためにシレっと世に出たのであるwwwそして、コ〇ドームを装着した男たちを次々と異次元空間に取り込んでいったのであった! まさに!ホラー!

 

 そして、時は戻って今、あの時、貰ったカエルの目玉は残すところあと20個ほどになっていた……

「エロエロえっさいむ~」

 かつて、デスラーはここに集まってきた死体で幾度となくテストしてきた。

 確かに、このカエルの目玉を体に埋め込むと生きカエルのである。

 だが、何度試しても頭がポコッと取れてしまって動かなくなってしまったのだ。

 おそらく、この現象……死体の体にいれられたカエルの目玉が脳のある頭へと移動し、不必要になった体を切り離しているのだろう。

 ならば、頭のない体に入れたらどうだ?

 理屈的には、カエルの目玉は行き場所を失うはず。

 そう、この実験は意外とうまくいった!

 行き場を失ったカエルの目玉が仕方なしに体を動かしはじめたのである。

 ――コレはいける!


 そして、今、この経験をもとにしたデスラーは、焼却炉の中にカエルの目玉を放り込む。

 すると……

 僅かに開かれていた焼却炉の扉が、真ん中からゆっくりと開いていくではないか。

 それはまるで光子力研究所の隣にある下水処理場のプールのような感じ。

 部屋の中に漂う火葬場独特の重い空気が、開かれゆく黒い空間の中に流れ落ちていく。

 そして、ついに開ききった隙間から一つの体がムクムクと立ち上がってきた。


 そう、この焼却炉の中には、かつて亡くなったヒロシの体が焼却処分という体で保存されていたのだ。

 しかし、そんなヒロシの体は死んでから常温保存されていたせいで、少々青臭い。

 というか、すでに腐り始めていた。


 だが、それでも、動いている。

 手を前に突き出して、ゆっくりと歩いているのだ。

 それは、まるでゾンビ! ゾンビそのもの!


 しかし、焼却炉からはいずり出たゾンビは、足元に転がるエロ本につまづきスッテンコロリン!

 開いたエロ本のページ同様にM字開脚で仰向いていた。

 まぁ、頭がないものだから当然に前が見えないのである。

 だから……コケるのも仕方ないといえば仕方ないwww

 だが……このゾンビ……体だけ動けたとしても、何も見ることができないうえに、何も喋れない……すなわち、まったくなんの役に立たちそうになかったwwww

 というか! 使えねぇwwww


 だが、デスラーはM字開脚で仰向くゾンビに近づくと、手に持っている大きな瓶を床に叩きつけた。

 パリ―ン!

 というガラスの割れる音ともに中に入っていたホルマリンが飛び散った。

 それは首がひとつホルマリン漬けされている大きなビン。

 床の上には飛び散ったガラスの破片の中に生首が一つ転がっている。

 どうやら、その瓶の中にはデスラーの医療ミスでなくなった患者の頭が入れられているようだった。

 そして、そんなビンが部屋の中にの至る所に転がっていたのである。


 ヒロシの体は転がる生首を掴み上げる!

 そして、それをおもむろに頭上に高く掲げたのだ。

 もしかして! このまま一気に何もない首の上に押しこもうというのだろうか⁉

 それはまるで!マジンガーZのホバーパイルダーの合体のよう!

 この二つが合体することによってマジンガーの真なる力が発現するのだ!

 だが、ヒロシの体には目がないため合体距離が正確に測れない。

 しかし! かの兜甲児も言っていた!

 下手鉄砲も数うちゃ当たるwww

 バンバンバン!

 何度かのチャレンジの後、ついに! キタァァァァァァァァ!


「パイィィッィィィルダー!アイィィッィィィン!」

 引っ付いた頭が奇声を上げた。

 だが、これでは『三度』ではなく『二度』のイィィッ!ではないかwww


 そうこうしているうちに、ヒロシの体が何かを吐き出すかのように波打つと、何かが喉の中を勢いよく登っていきはじめた。

 その塊は喉の肉を押し広げながら、ついには繋がった頭へと潜り込んでいった。

 次の瞬間!

 なんと!生首の死んだような右眼がポロリと押し出されて落ちていく!

 そして!その跡に別の目玉がグルリと回転して現れたのであった。

 どうやら、それはヒロシの体の中に取り込まれていたカエルの目玉。

 それが、つながった生首の右目でせわしなくギロギロと動いているのである。


 だがしかし、まだ、頭がうまくくっついていないせいか、立ち上がろうとする体の上で頭がグラグラと揺れていた。

 このままでは、折角くっつけた頭が取れてしまう!

 というか、このまま放っておけば頭だけが分離して体だけが残ってしまうのだ。

 それは今までの実験が証明している。

 しかし、これでもデスラーは融合加工の審査員長を務める天才だ。

 そんな問題を解決する方法もすでに考えていた。

 すると、デスラーは何を思ったのか、床に転がっていたパンを2枚拾い上げると生首の顔にパン!っと挟み込んだのである。

 その瞬間、ゾンビは天井に向かって大きな奇声を上げた!

「イィィッィィィ! イィィッィィィ! イィィッィィィ!」

 これこそ、『サンド・イィィッ!チコウ爵』誕生の瞬間であった。

 えっ?問題を解決する方法は一体何なんだって?

 あのパンを顔にパンってくっつけたことですよ! あれ、パンに見えるけど実は魔物素材! パンツ魔人のパンツ! このパンツをセロハンテープのように融合加工することで離れそうになる首と胴体を無理やり引っ付けているの! すごいっしょwww


 だが、狙うは融合加工の天才クロトのいる立花ハイグショップ……

 ここは念には念を入れてカエルの目玉を多めに放り込んでおくにかぎる!

 十四……

 十五……

 と、デスラーはヒロシの背後に膝まづくと開いた穴に次々とカエルの目玉をイチジク浣腸のように突っ込み始めた。

 えっ? 他に穴があるだろうって?

 大体、焼却炉の中に入っていた時は目玉を投げ入れていただろうって?

 だって、もう首が引っ付いちゃっているから体の中に入れる穴がないんですよww

 え? 前?

 ヒロシはオッサンなんだから、さすがに前の穴は小さすぎるでしょwwww


 今やヒロシのケツの肉が無数に出っ張りグニョグニョと動いていた。

 どうやら、無事にカエルの目玉はヒロシの体の中に取り込めたようである。

 だが……デスラーは残ったカエルの目玉を確認しながら渋い顔をしていた。

 ――残りはあと……5つか……

 そう、ガイヤにもらったカエルの目玉もコレだけを残すのみとなっていたのだ。

 ――だが……私を侮辱したことを必ずや後悔させてやる……

 それほどまでの恨み……

 そして、デスラーは声を大にするのだ。

「エゴいおなごに天誅を!」

 って、恨みの対象はビン子の方かい!




 

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