第624話 ミーニャの隠し事
そんなビン子が控室に駆け込む数分前……
控室には一人、ミーニャが辺りをキョロキョロと何かあたりを伺うかのように立っていた。
というのも、水洗便所の個室でブリブリざえもんとの格闘が終わった途端、急いで外へと飛び出してみたのだが、そこには壁に耳を押し付けいたはずのセレスティーノの姿がどこにも見えなかったのである。
「セレスティーノの奴! どこ行きやがった!」
だが、つい先ほどまでトイレの壁一枚挟んで向こう側いた気配があったのだ。
ということは、まだこの近くに潜んでいるに違いない。
ミーニャはあたりを懸命に見回すのだが、どうにも、やはり見当たらない。
ならば、控室の中に身を隠しているのかもしれない。
と、便所に入る前までタカト達の様子をを覗いていた窓から控室の中を確認してみた。
だが、タカトもまた既にステージに向かった後。
当然に控室の中には人っ子一人、人の姿など見当たらなかった。
「ちっ! セレスティーノやつ! 逃げやがったか!」
鬼の形相を窓に押し付け目だけをギョロギョロと動かすミーニャ。
もう、妖怪さながら、その様子は恐ろしい……
だが、そんな時、窓から覗くミーニャの眼は控室の中にある「あるモノ」に気が付いたのである。
そう……それは机の上に置かれたエロ本カクーセル巻の取り換えプラグ。
ミーニャはタカトがやっていた犯罪行為を思い出した。
確か、アイツは……
そう、あのア〇ルプラグのような道具で鍋の中のカレーを吸い込み盗んでいたのだ。
それも、6つの鍋のカレーを全てである。
だが、あの様子なら、まだまだア〇ルプラグの中にはカレーが取り込めそうだった。
――ということは!
どうやらミーニャは新たな融合加工のアイデアが思い浮かんだようである。
そう、それは、あのア〇ルプラグを自分が作る牛乳ポイポイの中に隠し入れておくというものであった。
って、融合加工と違うやん!
そんなことは別にどうでもいいのだwww
というのも、今まで作った牛乳ポイポイpartⅠ、partⅡは牛乳の取り込み量に限界があってすぐに漏れ出していた。
そのため、毎朝毎朝、お母さんに怒られるのである。
「ミーニャ! ちゃんと牛乳を飲みなさい! じゃないと、胸!大きくならないわよ!」
「分かってるわよ!」
しかし、分かっていても飲めないのが牛乳というものである。
だからこそ、牛乳ポイポイで飲んだふりをしようとしていたのだ。
だが……牛乳をそっと注いでいてもすぐに漏れ出す失敗続き……そのため、再びコップつがれた牛乳を毎朝!毎朝!毎朝!毎朝!毎朝!毎朝!毎朝!毎朝!毎朝!毎朝!毎朝!飲み続けてきた!
それが、あのア〇ルプラグを牛乳ポイポイpartⅢに装着すれば! もう、牛乳が漏れだすこともないのだ!
「お母さんwww今日はちゃんと飲んだわよwww」
「やればできるじゃない! ミーニャ」
そんな様子が、容易に想像される。
しかも! あのア〇ルプラグは無尽蔵に牛乳を吸い尽くしてくれる。
ということは、これから先、ずっと牛乳を飲むという苦行をしなくてもいいのである。
ニヤリwwww
ということで、ミーニャは誰もいなくなった控室にソッと忍び込み、辺りをキョロキョロと伺っていたのである。
そんな時に、ビン子が控室の中に飛び込んできたのである。
慌てたミーニャはスカートの上からお尻を押さえながら愛想笑い。
「あら♡さっきのお姉ちゃん何をしに来たの♡」
先ほどまでのドスのきいた声とは打って変わって猫なで声。ゴロゴロ♪
そんな様子にビン子は一瞬戸惑った。
――こいつ! さっき私のことをオバサンと呼んだガキだわ!
そう、女の年齢という禁忌にさわった宿敵のことなど忘れようもないのである。
だが、今はそんなガキの相手をしている暇はない。
タカトに土下座までさせてきたのだ、
――まずは、取り換えプラグを探さないと!
タカトと一緒にカレー鍋に顔を突っ込んでいた机の周りを探してみるのだが、ア〇ルプラグは落ちていない。
だが、ア〇ルプラグといえば、そこそこの大きさだ……見落とすなどということは考えられない……
もう一度! 膝まづいて机の下を覗き込むようにしっかりと探してみても、やはり無いものは無い!
ということは、ステージから控室までの間で落としたのだろうか?
いや、ここに来るまでにもそんなものは見当たらなかった。
もしかして、誰かが拾って持って帰ったとか?
いや、よくよく考えてほしい。
形がア〇ルプラグなのだ。
誰かがすでに使ったかもしれないア〇ルプラグを拾って持って帰るやつなどいるだろうか? 普通はいないだろう。
――ということは、このガキが盗んだ?
ビン子は厳しい視線をミーニャに向ける。
――そういえば、このガキ、さっきから態度がよそよそしいわね……
しかも、ミーニャはあえてビン子と視線を合わさないようにしているのか視線が天井に向いているのである。
――怪しい……
ということで、ビン子はスッと立ち上がるとミーニャを詰問し始めた。
「あなた! ここにあった融合加工の道具を知らない⁉」
そんなビン子の大きな声にビクリと体を震わすミーニャは
「そんなの♡ミーニャは♡知らないですよぉ~♡」
と、目も合わさず腰をフリフリかわい子ぶるのだ。
――ますます怪しい……
「ちょっと身体検査させてもらってもいいかしら⁉」
詰め寄るビン子にミーニャは後ずさる。
「身体検査って♡何をするつもりなんですかぁ~♡」
「ちょっとポケットの中とかを確かめさせてもらうだけよ⁉」
「なんだ♡ポケットの中ですかぁ~♡いいですよ♡どうぞ♡どうぞ♡」
それを聞くなり、なぜか安どの表情を浮かべたミーニャはグッとビン子との距離を縮めハイどうぞ!と言わんばかりに胸を突き出したのである。
そんな状況にビン子は少々不信感を抱きながらミーニャの服についているポケットの上に手を押し当てていく。
だが、ポケットの中に何かが入っている感触はまるでない……
しかし! このガキが盗んだという感触は、確実にあるのだ!
なら、女がモノを隠すとすればどこだ!
ということで、ビン子はミーニャの胸の谷間にグイッと手を押し当てた!
「きゃ♡何をするんですかぁ~♡」
ミーニャはビン子の手を振り払い、両手で胸を隠しながら身をよじる。
だが、ビン子は確信した!
――こいつ! 偽乳!
そう、受付でビン子のスキル「人間メジャー」で測り取った時……確かに、ビン子の胸のほうが2ミリほど小さかった。
だが、このガキ! 小学生のくせにヌーブラをしているのだ。
まさか、こんなガキがヌーブラをしているとは思っていなかった。
そのため、先ほどは、そのヌーブラ分を加味してバストサイズを測り取ってしまっていたのである。
しかし、ビン子はミーニャの胸を手で触ったときにヌーブラの感触を確かに感じ取った。
今のビン子なら分かる!
ヌーブラ分を差し引けば、このガキのほうが自分よりも2ミリ小さい!
――勝った!
少々気分がよくなったビン子は
「もういいわwwwww」
と、まるで憐れみで見下すかのようなうすら笑いを浮かべ控室を後にするのであった。
って、ビン子! いいのかよ! 取り換えプラグは!
一人ポツンと残ったミーニャはホッと大きなため息をついた。
「やばかったわ! あの貧乳ババア! 胸までさわってくるとは思わなかったわ」
だが、少し安堵したせいか……
また……
ゴロゴロ ぐぎゅるるるるるる
お腹が痛くなってきたのだ。
ホントに腐った牛乳って奴は厄介だwwww
「イたたたたた……やっぱり、お尻を刺激したせいかしら……」
と、お尻を押さえながら再び控室の脇にある水洗便所に駆け込んだのである。
うん? お尻を刺激した?
なんで?
などと、読者の皆さんが疑問に思っているこの瞬間……
ビン子はタカトが待つステージに帰り着いていた。
「ビン子! 取り換えプラグはあったか?」
「えっ……その……」
――しまった! 忘れてたわ!
どうやら、ミーニャに勝ったことに気をよくしてプラグの事をすっかりと失念していたようである。
だが、タカトに土下座までさせた手前、今更、忘れてましたとは死んでも言えない。
ということで……
「ひ……控室にもなかったわよ……」
と、ごまかした。
まぁ、実際に探してもなかったんだから、アナがち間違いではないwww
だが、タカトは困った表情を浮かべていた。
というのも、ここで審査員たちにカレーを振舞わないと、確実に失格してしまいそうなのだ。
そんなタカトが神妙な面持ちで再びビン子の頭を下げたのである。
「ビン子……頼む……5分だけ時間を稼いでくれ……」
「う……うん……」
さすがにビン子も断れない。
任せておけと啖呵を切って、見つけてきたのはメスガキのヌーブラだけだったのだwwww
そんなビン子は、しずしずとステージの中心まで足を進めると、観客席のほうにクルリと向きを変えた。
「タコさんで~す!」
と、だらりと垂らした両手をブラブラと振りながら、ステージの上を右に左に動き始めたのだ。
って、このネタ! あの控室密室殺人事件の時に時間を稼いだ時のネタとほぼ同じやないかい!
ただ、手を上にあげているか下にさげているかの違いだけwww
だが、あの時と違ってビン子は必死だったのだ。
「タコさん帝国が侵略しちゃうぞぉ~♡」
おそらく、自分が稼いだ5分でタカトは何とかしてくれる。
取り換えプラグを探すことができなかった自分の失敗をカバーしてくれると信じていたのである。
そんな観客席は、突然のタコ様の登場に爆笑に包まれていた。
まぁ、審査員は空腹のためにイライラを募らせていたけれど……
えっ? ユングラー? ユングラーはタカトの持ってきたエロ本で想像力を搔き立てられたため、もう、居ても立っても居られずに、すでにケイシ―の待つコンビニに帰っていきましたとさwww
「うおぉお! タコさんプレーwwwww俺のタコさんウィンナーでケイシ―のピー!やピー!を修正しまくるぞぉぉぉwwwwwタコさん帝国が侵略しちゃうぞぉ~♡」
だが、そんなユングラーの後を追うかのように観客席から一人の女性もまた姿を消していたことに誰も気づきはしなかった。
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