④俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部2章~ガラポンいかさま道具!パちんこ玉赭ブロー編【カク12+なろう54合計66万PV】コレは親を殺された少年の復讐物語だと思う…
第616話 白ヒゲ料理長!グラグラのエドワード!
第616話 白ヒゲ料理長!グラグラのエドワード!
「受付番号6番の方! 順番が来ましたのでステージ横に控えてください」
参加者を誘導する係員の明るい声がカビ臭い控室の中に響いた。
そう、この控室は、かつて、いや、未来の世界でオレテガというオカマが死んでいた?部屋なのである。
まぁ、いわゆるアイスダンスの密室事件というやつだ。
だが、今日はアイスダンスは行われていないため、道具コンテストの参加者のための控室になっていたのである。
そんな10畳ほどの広さに20人ほどの参加者が今か今かと自分の順番を待っていた。
そして、タカトとビン子もまた、その部屋の壁際で偉そうに陣取っていたのである。
そんな壁には大きな窓が一つ。
かつて、その窓はセレスティーノが飛び込んできたという代物だ。
そんな、窓からは強く差し込む日の光とともに、外から覗く観客たちの影をはっきりと映し出す。
そう、時は昼前、11時ごろ。
すでにコンテストは始まっているのだが、参加人数が72人もいるため終了予定時刻は午後7時と大幅に遅くなっていた。
ちなみに、ステージには登録番号の1番から順番に上がっていく。
そのため、72番であるタカトは一番最後。おそらく、出番は夕方ごろになるはずだ。
それなのに、既にタカトとビン子は控室の中でスタンバっているのである。
この控室、ただでさえ20人ほどしか入れないほどのスペース。
そんな部屋にタカトとビン子が居座っているものだから、本来、部屋に入って順番を待つべき参加者たちの何人かは外に押し出されて困った表情を浮かべていた。
しかし、タカトとビン子はカエルの面にしょんべんのごとく素知らぬ様子。
もしかして、タカト達、初めてのコンテストで緊張しているのだろうか?
それとも、マジで優勝を目指して、部屋の中で道具の最終調整でもしているのであろうか?
いやいや……そうではないのだ。
というのも、先ほども言ったように今の時間はお昼どき。
当然のごとく、コンテストはお昼の時間もぶっ通しで行われているのである。
すなわち、参加者の中には昼飯を食べに行くことができない者もでてくる。
そんな参加者がお腹を空かせないようにと、運営側の配慮によって控室には昼食が用意しされていたのである。
そのメニューは、なんと!カレー!
しかも! まっ茶色の美味しそうな香りを漂わせるビーフ―カレーなのである!
ムシャムシャムシャ!
先程から、口の周りに米粒をつけたビン子とタカトが嬉しそうにカレーをお代わりしていた。
「タカト! これ見て! お肉が! 本物のお肉が入っているわwww」
目をキラキラさせるビン子がスプーンでよそった大きめのお肉に頬張りついた。
そんな横で、脇目も振らずカレーを口の中に搔き込むタカト。
「ああ! ビン子! お前が作った『電気ネズミのピカピカ
ということで、これでもう……10皿目……
念のためにもう一度言っておこう……このカレーはコンテスト参加者のためのカレーであって、タカト達のために作っているわけではない。
しかも、道具の調整等で忙しい参加者が自由に皿によそって食べることができるバイキング形式なのである。
だが、そんなカレーの入った寸胴鍋の前に陣取った二人が先ほどから悪びれる様子もなく、ひたすら食べ続けていたのであるwww
そのため、腹をすかせた参加者たちは、そんな二人に邪魔されてカレーに全くありつけない。
というのも、少しでも鍋に手を出そうものなら、タカトとビン子がうなり声をあげて威嚇するのである。
「俺たちのカレーに手を出すな!」
「がるるるるっるう!」
その様子は、まさに獣www
そんなものだから、参加者たちは当然、運営にクレームを入れる。
「あのぉ~! カレーが食べられないんですけどぉ~!」
だが、運営もまた困った顔を浮かべるのだ。
というのも、あの寸胴鍋の前に座ったガキは、騎士である一之祐さまの推薦状を持ってきたガキなのである。
邪険に扱うことなどできやしない。
ならばということで、新しいカレーの入った別の寸胴鍋を追加で用意して机の上に並べたのだが……
あのガキども……すでに古い鍋のカレーは平らげたようで、新しい鍋に顔を突っ込んでいるのである。
しかし、ここであきらめたら料理人の名折れ!
運営側の料理人たちにも意地があるのだ!
「自分たちがココにいる存在理由とは何なのだ! 言ってみろ!」
空になった寸胴を前に白髭の料理長の怒鳴り声をあげる。
そして、すかさずその声に一列に並ぶコックたちが応えるのだ。
「それは! 参加者たちの腹を一杯に満たすことであります!」
「そうだ! もし仮にステージの上で参加者の誰かが腹をグーっとでも鳴らしてみろ! それは、料理人である我々の仕事の失敗を意味する! 分かっているのか!」
「イエッサー!」
そんな白髭の料理長の言葉に答えるかのように、あわただしく動きだしたコックたちによってつくられた3っつ目の鍋が控室に運ばれたのである。
だが、その寸胴鍋を机の上に置いた瞬間、タカトとビン子がハイエナのように群がるのだ!
ムシャムシャムシャ!
あれよあれよという間に、鍋からカレーが消えていく……
もう……その食欲といったら……化け物か!
コックたちの額に冷汗にも似た嫌な汗が流れ落ちていく。
だが、4つ目の鍋を用意しても、あの二匹の獣は臆することもなく鍋に顔を突っ込むのである。
「あのガキども! 胃袋は底なしかよ!」
――俺たちは一体……何と戦っているのだ……
それはまるで永遠に満たされぬ食欲を満たそうと、地獄の底であえぐ餓鬼のよう……
そんな鬼とも魔物とも見間違うような二匹の存在に、コックたちの胸の中に不安にも似た恐怖が自然と沸き起こってくるのだ。
だが、一人! 白髭の料理長だけは違っていた。
「グララララララ!」
大きな笑い声をあげると嬉しそうに大きな声を上げたのである。
「よかろう! この勝負! エドワード様が直々に受けてやろう!」
どうやら、大食いのチャレンジャーを前にして料理人魂に火が付いたようなのだ。
そして、ついに5つ目の鍋が用意された!
――奴らもきっと、ビーフカレーも飽きたことだろう。
にやりと笑うエドワード料理長が持つ鍋には新たなカレーがなみなみと注がれていた。
その鍋からは、何ともいえないような旨そうな温かい匂いが漂ってくる。
だが、その香りが僅かに顔をかすめた瞬間、殺人級のするどい刺激が目と鼻の粘膜をグサグサとめった刺しにするのである。
こりゃ! たまらん……
とてもじゃないが目も開けていられない……
それどころか、先ほどから鼻水がドボドボと止まらないのである……
周りにいるコックたちは次々とティッシュを取り出すと、垂れ落ちる鼻水をかみだした。
チーン! コ! このカレーは!
そう! このカレーこそブートジョロキアという唐辛子を一瓶、惜しげもなく混ぜ込んだ伝説のレッドカレー!
ちなみにブートジョロキアの辛さは、辛さの単位である「スコヴィル値」で換算するとハバネロの約7倍!
うん? イメージがわかない?
そうか、なら馴染みのある唐辛子いわゆる鷹の爪で考えると、ハバネロの辛さは唐辛子の7倍! そのブートジョロキアは、さらにその7倍だから唐辛子の49倍の辛さというわけだ。
エドワード料理長は、そんなギネスに登録されているような激辛カレーを嬉しそうに控室に運ぶのだ。
おそらく誰も、こんなカレーなど食えやしないと思ったことだろう。
控室の入り口を開けるや否や、腹をすかせた参加者たちが絶叫したのだ!
「こんなもの食えるか!」
そう、タカトたちに挑戦するあまり、本来の目的である参加者たちの胃袋を満たすということをしっかりと失念していたのである。
だが、エドワードは素知らぬ顔。
というのも、
――お前らの飯は、この餓鬼どもを潰してから、しっかりと作ってやる! それまで待っていろ!
そして、ついに! 激辛カレーが入った鍋がドンという音ともにタカトたちの目の前に置かれたのだ。
――食えるものなら食ってみやがれ! この餓鬼ども!
「タカト……なんか、このカレー凄い香りがするんですけど……」
「構やしないさ! 激辛だろうが、なんだろうが、食いものである以上、食えるんだ!」
「でも、さすがに……これは無理じゃない!」
「あほか! 無理だと思うから無理なんだ! 何とでもなる! これでも貴重な食糧なんだ!だから、やるぞ! ビン子!」
うん? やるぞ?
食べるぞ! じゃなくて、やるぞ? なんでwww
だが、ビン子はそんなタカトに渋々と答える。
「うん……分かったわよ……タカト……」
言い終わるや否や、二人は鍋の中に勢いよく顔を突っ込んだ!
「ひぃぃっぃ! 息をするたびに鼻がいてぇぇぇ!」
「きゃぁぁぁぁあ! 目が染みるよぉぉぉぉ! タカト! やっぱり無理だって!」
しかし、そう言っている間に、みるみると激辛カレーがなくなっていくのだ。
そして、ついに顔を上げたタカトとビン子!
その顔は鼻水と涙とでもうドロドロ……
だが、そんな顔で力いっぱいにドンと机をたたくのである。
「「フンが―! もう一杯!」」
お! おかわりの催促かよ!
というか! ついにやりよった! この二人!
それを見る参加者たちは何か……とてもすごい瞬間に立ち会ったような誇らしい気持ちになっていた。
自分たちには到底無理だと思われたことを、この二人は泣きながらもやり切ったのである。
すげぇぇっぇぇ!
そんなものだから、控室の中には参加者たちの拍手が自然と沸き起こっていたのはいうまでもない。
だが、納得がいかないのはエドワード料理長。
――オイオイ! 激辛カレーだぞ! それをこんな子供たちが平らげたとでも言うのか?
だが、事実、鍋の中にはカレーは残っていない。
――俺の完敗だ……
いや……ここで負けを認めたのでいいのか?
おれは白髭! 白ヒゲだぞ!
そう! 料理界の四皇にして最強の白ヒゲ料理団を率いる料理長だ。
――こんなところで諦めたら他の四皇たちのいい笑いものだ……ならば、終わることなどありえない! そう! 終わってたまるか!
ならば、今こそグラグラの能力を発揮するべき時!
ということで、グラグラと肩を震わせたエドワード料理長はカラになった鍋をつかみ取ると、足取り荒く大股で調理室に飛び込んだ。
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