第11話 激闘!第六駐屯地!(3)

 さてと……そろそろ第六駐屯地の場面に戻るとするか……

 ヨシ! 気合いを入れて!

 それでは第六駐屯地に中継をつないでみましょう!

 郊外にいるヨシオさん! 今そちらの状況はどうなっていますか?

「ハイ! ヨシオです! 見えますでしょうか? このすさまじい光景が!」

 映る光景は第六駐屯地から少し離れた小高い丘。

 その丘は先ほどまで第六駐屯地から打ち出されていた巨石の炎によって辺り一面、赤く燃え盛っていた。

 そんな丘の中腹に、おそらくお供え物としておかれていたカビの生えたパンが黒く焦げた煙を立てていた。

 そう、ここはギリー隊長がヨシオと別れたところ……

 置き去りにされたヨシオがもたれかかっていたはずの立木も、今や真っ赤な炎に包まれて、その姿を半分に残すまでになっていた。

 ということは当然……ヨシオもまた……黒焦げに……

 ヨシオォォォォォ!

 って、ヨシオ! さっき、なんか中継で答えていたよね⁉

 と言うことは生きているのか?

 イヤイヤ……彼はラブドール……命などある訳はない……

 だが、世の中には大切にしていたモノには命が宿るという伝説も……

 確かに、ギリー隊長は別れる寸前まで彼を愛し続けていた……

 そんな彼の後ろの穴にはギリー隊長の白玉が……しっかりと込められていたのだ……

 そういえば……そんなヨシオもまた白のタンクトップを着ていたような……!

 ザ~!メンそ~れ!

 白玉のことじゃないよwww白の綿のタンクのトップのことだよ!

 ということで! 第六駐屯地に「いらっしゃ~い♥」


 そんなヨシオがいた丘から見える大平原を一つの黒い塊となった無数の魔物たちが地響きのような足音を轟かせながら突き進んでいた。

 そう、先ほどまで降り注いでいた巨石の雨は、さらにその上空から飛来するコカコッコーの群れにより止まっていたのだった。

 まさに、それを合図にするかのように小型の魔物たちは巨大な亀の魔物ガンタルトの陰から飛び出して、再び第六駐屯地の城壁に向かって走り出していたのであった。 


 第六駐屯地に向かって大草原をひた走る魔物たち。

 その様子はまるで砂埃を立てながら駆けるヌーの群れ。

 先ほどまで緑だった草原は魔物たちの体毛によって黒く染め上げられていた。


 だが、まだ第六駐屯地の城壁からは距離が有る。

 その距離、約500m!

 日本人男子の平均的なバナナの大きさである13cmで考えると約3,846個分の距離である。

 そんな途方もない数であるが、おそらく今この大草原を走っている魔物たちのバナナの数は、ゆうにそれを超えている。

 まぁ確かに、魔の養殖の国には人の女と交配させるために複数のバナナを持っている繁殖用の魔物もいるというから、あながちその数が正しいとは言えないのかもしれないが……とにかく、多いのだ……


 これを迎え撃つべき第六駐屯地の灰色だった城壁に次々と赤き光がともっていく。

 それは壁に設けられた無数の窓からのぞく火矢の先。

 緊張する矢じりが斜め上へと向けられると、小気味よい弦の音ともに一斉に放たれた。

 白い煙を引きながら澄み切った青空を駆け登っていく無数の炎。

 だがそれは放物線の頂点に達したかと思うと急に向きを変え、迫りくる黒き波間に向かって振り注ぐ土砂降りの雨へと変貌していた。


 瞬間、黒き水面に火柱が立ち昇る!

 しかもそれは一つや二つなどといったものではない。

 無数……いや、もはや辺り一面と言った方がいいだろう。

 まるで壁のように広がった灼熱の業火が魔物たちの黒い群れを焼き焦がしていた。


 魔物たちが今走っている草原には、あらかじめ大量の油がまかれていたのである。

 そのためか、嗅覚の鋭い犬型の魔物などはその臭いに気づき駆けていた足を止めていた。だが、疾駆する魔物の激流に逆らうことはできずに、次々とその流れの中に飲み込まれてしまうのだ。

 しかし、今、そんな魔物たちの流れが止まった。

 そう、目の前に広がる炎の壁に恐れおののき勢いを失ったのである。

 天にも届きそうな炎を前にうなり声を上げる魔物たち。

 魂をも焦がしそうな熱に尻込みをする魔物たち。

 すでに戦意を喪失し逃げ出す魔物たちまでいる始末。

 だが、そんな混乱した群れの中へと後続の魔物たちが次々とお構いなしに突っ込んでくるのだ。

 もはや統制の取れていない魔物たちの大群は、炎の壁によってせき止められた川の水ようにその体積を大きく膨らませはじめていた。


 しかし、その体積を膨らませるにも周りは炎。互いに避けあうにも限界があった。

 群れの後ろから絶えず投入され続ける重圧に、おのずと前方にいた魔物たちは抗いながらも次々と目の前の炎の中に押し込まれていく。

 そんな大草原に肉の焼けこげるニオイと絶命の悲鳴が充満する。

 ついには焼けこげた魔物たちの体がどんどんと積み上がっていた。


 だが、先ほどまであれほど赤々と立ち上っていた炎の壁に一つのクレバスが次第に見え始めたではないか。

 谷の間に積みあがっていく黒焦げの体。

 おびただしい数のむくろが炎の壁の中に一つの黒い道を作り出していたのだ。

 そんな隙間の奥に灰色の城壁が揺らめいていた。

 そう……ハッキリと目指すべき第六駐屯地を見ることができたのだ。


 魔物たちは炎の谷間と一斉に突進する。

 黒焦げとなった同胞たちのむくろを踏みにじり駆けていく。

 だが、その隙間は中型の魔物が一匹通るのがやっとの狭さ。

 当然にまだ残る両脇の灼熱が、通り抜ける体毛をジリジリと焦がしていった。

 だが、魔物たちはそんなことにとらわれない。

 まるで何か別の恐怖に責め立てられるかのように一気に灼熱の谷の中を駆け抜けていくのだ。


 ついに城壁へとたどり着いた魔物たちは、次々と垂直に積み上げられた石の肌へと飛びついた。

 それはまるで、炎で火照った体を冷やすかのようにピッタリと。

 そして、石壁の間にできた隙間に爪を立て、徐々に徐々にと城壁をよじ登り始めた。


 だが、そんなこと第六駐屯地で備える兵士たちも想定内である。

 城壁の窓からは兵士たちが、次々と大きな石を投げ落としはじめたのだ。

 巨石は壁に張り付いた魔物にぶつかり、さらにはその下から登りくる別の魔物を巻き込みながら落下していく。

 運よく窓へとたどり着いた魔物もいたが、窓の脇に控える兵士たちによってすかさず突き殺される。

 そんな魔物たちが、まるで小汚い頭から湧き出るフケのように城壁からとどめなくはがれ落ちていた。


 さすがに、下ネタがないのはつまらないな……

 ということで、タカトたちのいる福引会場に戻ろうではないか!

 えっ? タカトの戦いは終わったはずじゃないのだって?

 まぁ、確かにタカトのガラポンは終了した。

 終了したよ……

 でもね、キミ!……まだ、福引会場では戦いは続いているのだよ!

 思い出してごらん! ほら!

 そう、セレスティーノ様の戦いが!

 ……って、セレスティーノの旦那は司会者だろうが!

 まぁ、そうとも言うwww




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