白雪姫学園版(意味が分かると怖い話)

 白雪という学園一の美少女がいました。その美しさに男子生徒全員が心を奪われるという事態に陥り、一人の女子生徒がたいへんイラつきました。その女子生徒は霧華という名前でした。


 学園七不思議のひとつの鏡というものが旧校舎の正面玄関に大きく設置されていました。その鏡はなんでも答えてくれる鏡だといううわさでした。なんでも知っていて何でも答えてくれる鏡。ただ、旧校舎は原則立ち入り禁止になっていて、一般の生徒は入ってはいけない決まりでしたが、こっそりかぎが壊れたドアをみつけた霧華は旧校舎に入り込みます。そして、鏡に話しかけてみました。


「鏡よ鏡、この学園で一番美しいのは誰?」

「白雪です」

 鏡は話しかけるとちゃんと答えてくれます。こんな不思議な現象でしたが、霧華は自分が一番ではないという怒りで驚くことも忘れ、鏡に話しかけます。


「この学園で二番目に美しいのは誰?」

「霧華です」


 霧華は自分の容姿に自信がありました。白雪が入学してくるまでは一番美しいことも自覚していましたし、一般的な基準で言えばかなり美しいだろうということはわかっていました。


「じゃあ、八王子くんが好きなのは?」

「白雪です」

 このことが一番いらつきました。八王子は霧華のおさななじみで一番の親友でした。ところが最近入学してきた女性に心を奪われるなんて、許されるはずはなかったのです。


「白雪はなぜ美しいの?」

「彼女は整形の魔法がかかっています」

 やはり、白雪の美しさは普通ではないと思っていたのだが、魔法の力だったのね。それを知った霧華は弱みを握ったとにんまりしました。


「あなたも美しくなりたければ私と契約しませんか?」

「契約?」

「この赤いリンゴを食べると美しい顔に見えますが、代償があります。結婚はできません」

「結婚ができない? おつきあいはできるの?」

「可能ですが、結婚となると毒が作用して死んでしまいます」


 白雪は微笑みました。私は結婚しなくても美しければいいの。死とひきかえに白雪は美しさを手に入れる。さて、霧華はその覚悟があるのでしょうか?


★解説

 覚悟を持って美しくなる。たとえ命とひきかえでも。でも、そこまでして独身を貫く必要があるのでしょうか? 万人に好かれるよりも一人に愛される幸せもあると思うのです。

 

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