最高の青春を求めて
アニ野祭 ナリハル
第1章 儚き思い出とともに…
第1話【あの日……】
長い高校生活に置いて、あの時こうしてたら良かった…。
などの分岐点はありませんでしたか?
この物語は彼ら4人が放課後の空き教室でいる所から始まります。
とある高校。
とある空き教室で卓球を楽しむ4人が居た。
そんな4人の名前は…
である。
それぞれ4人は、文人に陸、茜と結香の男女に分かれてダブルスをしていた。
「もう文人ったら~相変わらず下手くそすぎ。
全然ラリー続かないじゃん~」
こう主人公をダメ出しするのは、主人公と幼い頃からの幼馴染である【
活発な性格ではあるが、ルックスはクラスの中で可愛い方に位置している。
さらに、小柄で幼い容姿も相まって実は男子人気が高いとか。
そんな彼女だが、少しばかり、気が強く、言いたい事はすぐに言葉に出してしまうのが難点である。
特に幼い頃から、側に居るのが当たり前な文人の事を、
「茜、そう言うなって。文人が運動神経悪いのはみんな知ってる事だし、こっちも分かってて練習に付き合ってもらってるんだからさ」
と、文人を
ほとんどの事に対して
普段は、眼鏡を掛けている為に目立ちはしないものの、隠れた甘いマスクの持ち主である。
「いや、陸は優しいからそう言うけどさ。
陸と結香の大事な大会が控えてるこの時期に、まともにサーブを打つことも出来ないって…」
「まぁまぁ落ち着いて。
茜みたいにそんなハッキリと言ってあげたら可哀想になるからね。
でも、最初の頃に比べたら大沢も少しは上手くなったと…
思うわよ?」
陸と同じように、文人を
文人、茜、陸とは中学の頃に知り合った為に、当初は他の三人とは引けを感じている部分もあったが、しっかり者という性格もあり、グループのまとめ役を買って出ている。
トレードマークは首元まで伸びているポニーテール。
この揺れに目を奪われている、男子が居るとか居ないとか。
「長澤も疑問系って…」
納得の言ってなさそうな返答をするのは、今作の主人公である【
運動神経が悪く、優柔不断であり、良いところを探す方が難しいのだが、なぜだか彼の周りから人が居なくなる事はない。
見た目は…お世辞でもカッコいいとは言われない。
ブサイクとも言われたことは無く、取り柄がない男である。
「あれ?大沢~私だけは味方になるとでも思った?
茜や相馬に比べるとまだまだだけど、それでも、もう何年も一緒に居るんだし
「文人も遂に長澤までに見放されたか。
女子を敵に回すと怖いぞ~」
「へーそういう陸は私たちが見方だと思ってるんだ…」
目を細めて陸を見つめる茜。
「えっ…茜。
それはどういうことだよ?
ちょっと視線が恐いんだけど…」
「どういうことってねぇ~結香」
「えっ!?私?
まぁ、女子には女子の世界があるってことだね」
「ねぇ~」
と、不気味ににやける女子二人であった。
「文人!次こそはちゃんと打ち返してよね!!」
そう意気込み、茜は文人に向かってサーブをした。
「うん。言われなくても分かってるって」
文人は何度も同じ失敗は出来ないと、これまでよりも力が入るなかで、思いっきりラケットを振った。
〈カーン!!!〉
玉は見事に文人のラケットに命中した。
「ちょっと!文人のバカ!!何すんのよ!?
そんな打ち方すると危ないじゃない!!!」
だが…文人が打ち返した玉は、勢いよすぎたのだ。
卓球台に着地することはなく軽々と通過し、茜の横を瞬く間にすり抜け、さらに開いていた窓をも突き抜け、廊下まで転がっていったのであった。
「ごめん…」
言葉を絞り出す文人。
「まぁ、茜がプレッシャー掛けたから余計に力が入って、思いっきり振ってしまったのかもね」
「ちょっと結香!それって私のせい!?あれはどうみても文人が悪いでしょ」
「別に茜のせいなんて言ってないって。
でも大沢だって一生懸命やってくれてるんだし、そんなに責めなくても良いんじゃない?」
「別に私は責めてなんかないって!
ただ、結香や陸の足手まといになりたくないから、言ってるだけで」
「もうそれぐらいにしとこうよ。
長澤も文人のこと、ちょっと
陸が、茜と結香の
「
「そりゃ、まだ少し
「相馬!それはどういうこと!?私がみんなに
「いや、別にそうは言ってないけどさぁ…」
「そうは言ってないって、そういう風に言ってるようにしか聞こえないんだけど…」
「あ~もう!陸と結香も喧嘩しない!てか、ぼさっとしてないで、文人も何か言ったらどうなの?あんたが打ったのがそもそもの始まりなんだし!」
と、茜が文人に問いかけた。
「みんな…ごめん!!」
不穏な空気が漂う中、文人が立ち上がり謝罪をした。
「茜の言う通りだよ。俺が居なければこんなケンカ起きなかっただろうし…」
と、言いながら、持っていたラケットを卓球台に置き、自分のカバンを持つ文人。
「べ、べつに私はそこまでは言ってないけど…」
「俺、帰るわ。
ここに居てもみんなの迷惑になるだけだし…」
と、文人が空き教室から出て行こうとしたその時だった。
〈ガラガラッ!〉
突然扉が開き、一斉に皆が扉の方向へと視線を向ける。
そこに立っていたのは…
学園のアイドル【
夏蓮は文人たちとはクラスが違う事もあり、直接絡む機会はないものの、演劇部のスターである夏蓮の姿と名前は、見れば誰でも分かる程である。
そして、誰もが見惚れてしまう程の可愛さを持っている子でもあった。
「小花さん!?」
目の前に居る夏蓮の姿を見て驚く文人。
「あっ、急にごめんなさい。
これが廊下に落ちてたんで…」
と、言って文人が廊下まで飛ばした玉を差し出す夏蓮。
「あ、ありがとう」
普段なかなか近づく事も出来ない存在の夏蓮が、目の前に居ることに驚きつつも、お礼を言う文人。
「あっ、せっかくだし小花さんも一緒にちょっと卓球やっていかない!?」
玉を受け取った、文人の横から、ラケットを持った結香がひょっこりと顔を出して提案した。
「えっ!?」
結香の急な提案に驚きの表情を見せる夏蓮。
「ちょっと…!?結香…!」
さらにその横から出てきて、結香を奥へと引っ張っていく茜。
「どう言うこと…?こんな雰囲気の中で他の人を誘うなんて…」
「こんな雰囲気だからこそよ。今は雰囲気を変えるには何かきっかけが必要だと思うし…!
それに茜もこのままなのは嫌でしょ…?」
「そりゃ、そうだけど…」
「それじゃあ決まりね…!」
「お気持ちは嬉しいですけど…
皆さんが真剣に練習されてる時に、私みたいな素人がお邪魔しちゃっても迷惑かも知れないですし…」
茜と結香のやり取りを尻目に、帰り掛けていた夏蓮だったが…
「迷惑なんかじゃ全然ないって!
素人大歓迎!
茜も文人もほぼ素人だし、それに相馬も私も練習相手が増えるのは嬉しいから!」
悩んでいた夏蓮だったが。
「そこまで言って下さるなら…時間もあるし少しやってみようかな…!」
結香の熱心な誘いもあり、夏蓮が卓球に参戦する事となった。
「あれ~?大沢~まさか小花さんと一緒に練習が出来るって言う貴重な機会なのに、帰るわけじゃないよね?」
「えっ…」
同じく帰りかけていた文人も、結香に呼び止められ、引き続き卓球を行う事となった。
「それじゃあどういうペアでする?」
結香が皆に聞いた。
「小花さん含めて5人になるけど一人は余るよな」
陸が冷静に分析する。
「俺は審判でもしておくよ」
文人は端に置いていた椅子に座り得点板を抱えた。
「そうそう!文人が入ったら試合にならないからね~」
「ちょっと…茜…!」
「あっ…」
普段の悪い
「まずは見学してもらって、文人は次に活躍してもらわないとね~
私もほら!休憩もしたいしね」
茜なりに頑張って言った。
「それじゃあまずは茜と私、陸と小花さんでやろうか!」
茜、結香VS陸、夏蓮
この4人の戦いが始まった。
・・・・・・
「意外に小花さんって上手いね」
「初めてするんですけど。楽しいです」
夏蓮と陸は息のあったコンビネーションで着実に点数を稼いでいた。
「あぁ…もう!」
(もう…文人も陸もニヤついちゃって…)
「こっち側は全部カバーするから、そっちは任せるね」
(ちょっと!茜、聞いてる?てか相馬と小花さんはくっつきすぎじゃない…)
二人は心中穏やかではない様子で、着実に点数を取られていくのであった。
そして、陸、夏蓮がマッチポイントとなった。
「あと、1点で勝つから油断しないで取っていこう」
「はい。頑張ります!」
気合いを入れ直す陸と夏蓮。
「(小花さんには…)絶対に負けないんだから~!!」
茜と結香の二人は綺麗にハモっていた。
そんな4人のラリーは今までに増して続く。
「茜!今がチャンスよ!」
一瞬、陸と夏蓮が端に片寄り隙間が生まれた。
そこに茜が強いスマッシュを打ち返す。
〈シュッ…カッ!!〉
「私が行きます!」
夏蓮が茜のスマッシュを跳ね返そうと勢いよく動き出した。
〈カッ!!?〉
「あっ…!??」
夏蓮は物の見事に茜のスマッシュを打ち返して台に返したが、自身の体の勢いは止められず。
椅子に座っていた文人に一直線に向かって行った。
〈ドッスン~!!!〉
文人は
【予告】
まさかのポンコツ主人公、文人の上に覆い被さるように降ってきたのは学園のアイドル小花夏蓮だった。
この出来事が更なる火種を生むことになると、この時は誰も思いもしなかった。
次回【(2)二人の願望】
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