第19話 ヤラカシ常習犯のようです
アンナさんは、3年くらい前から『魔の森』のこの家をカインに任せ、違う所に住居を構えたらしいのだけど、何かあると突然ふらっと現れ何日か泊まって帰っていくのだそうだ。
でも、何故出ていったのだろう?二人に何かあったのかな?
「で、今回は何かヤラカシたんですか?」
「おいおいおい、ヤラカシたって決めつけるなよ」
今回はということは、以前も何かヤラカシたのかな?そして、その何かヤラカシた原因でここに来たのかな?
「なんだ、何か聞きたいことでもあるのか?」
「え?」
そんなことを色々考えていると、アンナが黙ったまま二人の話を聞いていた私に聞いてくる。
「言いたいことがあれば言えば良い、聞きたいことがあれば聞けば良い」
聞きたいこと?ん~ここを出て行ったこと?ヤラカシたこと?でも、それは聞いたらダメだよね・・・。
「いえ、大したことないので・・・」
「遠慮はするな、言いたいことがあれば言った方がいいぞ。あの時に言っておけば聞いておけばと、後悔する時もあるからな」
そうだよね、魔物とかいるこの世界だと多そうだよね。え~、でも良いのかな?本当に大したことないんだけどな・・・。
「後な、言わなくても分かってもられるとか、聞かなくても問題ないとかは思わないことだな。もし、相手が何か勘違いしてそれを伝えずにいたら、そいつは勘違いしたままだぞ。それに、分からないことを聞かずそのままだと、間違った情報を間違ったまま伝たりすることだってあるだろ」
言葉に力が入っているけど、何かあったのかな?
あぁでも、本当に申し訳ないですっ。こんなに真剣にアドバイスしてくれるのに、私の頭に浮かんでいたのは、うっっっすい疑問でした。
「アンナはズバリ言いすぎ。オブラートに包むこと知らないのですか」
カインが呆れたように言う。
「言わないと分からないだろ?勘違いされたままっていうのも嫌だしな。それにそういうのムズムズするんだよ」
「言い方っていうものがあるでしょう?全く、なんでもハッキリさせたいんだから。混んでいるお店に並ぶのも、作戦とか考えるのも嫌いだよね」
「あっあの、本当に大したことないんです。ただ、アンナさんは何をヤラカシたのかなと思って・・・」
私のことで言い合う二人に申し訳なくて、思わず割って入ってしまった。
いや~、本当に大した理由じゃなくて申し訳ない・・・。
「アンナで良い。もう、家族みたいなもんなんだからな。それにヤラカシたことはないからな」
「はい、ありがとうございます。アンナ」
えへへ、照れてしまいますよ〜。こんな美人さんにそんなこと言われると。
「じゃ、何かヤラカシた訳じゃないんですね」
「おう、そうだ」
「いやいやいや、アンナ。あなたがしてきたことは、殆どがヤラカシてきたことですよね。散々あなたの尻拭いをさせられてきた俺が、それを保証しますよ」
「いやいやいや、ヤラカシた保証なんてある訳ないだろ!尻拭いもさせていないからな」
「ほう、そんなこと言うんですか。あなたが壊した町の建物を元に戻して、あなたの攻撃に巻き込まれた人を治療して、そして頭を下げて回った俺に、そんなこと言うんですか」
「いや〜あれはな・・・」
アンナの言葉が、歯切れが悪くなる。
「まぁどうせ今回は、旦那さんとのケンカでしょう。というよりは、一人で騒いで一人で怒って、勢いで家を飛び出しただけかな」
もしかして、この家出っていつものこと・・・?
「はぁ!?アレはアイツが悪い!!っていうか、旦那いうな!」
・・・え!?旦那さんいるの?!
「結婚したのだから、旦那さんでしょ」
「~~~~~」
あー照れて恥ずかしいんですね~顔が赤くなっていますよアンナさん。微笑ましいですね。なんか、可愛いですよ〜。これがギャップ萌えっていうのかな〜。
「いつまで恥ずかしがっているんです?結婚して何年ですか?もう、3年は過ぎたはずだけど」
「もう、その話は終わりだ!」
「はい、はい。分かりました」
「ふふ、分かりました~」
照れを隠そうと、フンッとアンナな顔を背ける。カインはそんな彼女を追い込まず、さらりと流した。そんな二人を見ていると、微笑ましく感じる。
なんか、先程までの豪快な感じからの可愛らしく照れるなんて、ギャップでやっぱり可愛い・・・あ、もう1つの疑問が解決された!この家を出て行ったのは結婚したからなんだね。
「酒!」
「だから、出さないですって」
止まっていた薬草を選別を、カインと私で再開し、アンナはスライムたちをこねくり回している。
「あ、お昼はどうするの?アンナにいつもの感じの料理を出しちゃって良い?」
「そう言えば、もう直ぐお昼だね。今日の予定は何だったの?」
「お肉しようか、魚にしようか考え中なんだよね」
「何々、お昼ご飯美味しいの食べさせてくれるのか?」
アンナさんが会話に入ってくる。
「美味しいかどうかは、アレなんですけど。もう少しでお昼なので、準備しようかと思って」
「材料は出してくれれるのなら、ノアの作った美味しいお昼ご飯の提供を考えますよ」
「おう!出してやるぜ。ドラゴンで良いのか?この前、偶々遭遇して狩っといたヤツがあるぞ」
そう言って、アンナが
「ここで出すのは、止めてください。それに、偶々ドラゴンと遭遇なんてないですからね。普通は」
「美味しいんだけどな~」
偶々ドラゴンに遭遇するって・・・でも、ドラゴンって美味しいんだ?見た目トカゲだよね?ちょっとゲテモノな感じで食べるのに抵抗有りそうだし、固そう・・・あ!でも私、蛇食べてるじゃん!なら大丈夫かな・・・。
「直ぐに食事がしたいのなら、まず外でドラゴンを解体してきてください」
「あぁ、分かった。してくるよ」
居づらかったのか、素直にアンナが椅子からスッと立ち上がると、瞬く間に煙のように消えてしまった。
「カイン、ちょっと聞いても良い?ドラゴンってどんな調理すれば良いの?肉だからステーキとか焼き肉とか?」
見たこともないからどう調理すれば良いのか、分からないよね・・・。
「んー、俺はステーキでしか食べたことないけど、日本で食べた肉の中で例えられるようなのは無いし、部位によっても違うから、なんとも言えないんだよね」
「そうなの?困ったね。何作ろう・・・」
「ごめんね、役に立たなくて」
「そんなことないよ!まず、実物を見てから考えるね」
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