第4話 スローライフが送りたいんです・・・
呼ばれて現れたのは、熊だった・・・。オレンジ色のカボチャを被った、ライムイエローの2.5頭身くらいの可愛らしい熊・・・。その熊は、カワイイぷりっとしたお尻でゆっくりドアを開け、美味しそうな食事が乗ったトレイを落とさないように慎重に運んでくる。
ナニアレ!?・・・カワイイ!すっごくカワイイ!ものすっごくカワイイ!!何でカボチャを被っているの!?でも、それがまたイイ!!はうっ、やられた・・・。
その衝撃に心の中で身悶えていると、熊くんが持っていたトレイを、カインが立ち上がって受け取る。
「この子はジャックだ。身の回りの世話はこいつがやってくれるから、遠慮せずに言うと良い。ジャック、ノアだ。面倒を見てやってくれ、頼むぞ」
そして、その熊くん、ジャックくんの自己紹介をしてくれた。
「がうっ!・・・がうがう」
ジャックくんはカインに向かって頷くと、くりくりっとしたつぶらな瞳でこちらを見た。そして、私の方を向いて両手を重ねるように前に持ってきて頭を下げた。よろしくとお辞儀をしているのだろう。だが、頭が重すぎて前に倒れないように、プルプルと踏ん張っているのが愛らしい。カインがそれを、トレイを持っていない手で頭を支えてあげている。
もうっカワイイすぎる!!ヤバイです!抱きしめたい!ぎゅっとしたい!撫でまわしたい!モフモフしたい!
口元に手を当てて葛藤していると、ジャックくんはカインの手を借りて頭を上げた。
「ノっ・・ノアです。よろしくお願いします・・・」
そう言うと、私は恐る恐る両手を差し出した。
そのモフモフとしたお手手を、触ってみたくて握手を求めたわけではありませんっ。決してっ!
差し出した私の手を見て、ジャックくんはカインの方を見る。それに対してカインは頷いた。とことこと近付いてくると、ジャックくんは私の手を両手で握る。その手の感触を味わうように私は優しくギュッと握った。
はうっ・・・少し固めだけど滑らかでしっとりとしていて、兎に角触り心地がとても良いです!うん、お手入れが行き渡っている感じです!
握って離さない私を、ジャックくんは困ったように見る。
そんな目で見つめないで!抱きしめて、ギュッとして、撫でまわして、モフモフしたくなるじゃない!
私の心情を察したのか、カインはジャックくんから私の手を静に引き離した。
「ジャック、もう行って良いよ」
そして、ジャックくんに部屋を出るように促した。
「身の回りの世話の件は検討するか・・・」
こちらをチラッと見ると、そう呟いた。
「えっ!?」
「ジャックの貞操が心配だ・・・」
「えっ!?そんな目で見てないから!そりゃ、抱きしめたい!ぎゅっとしたい!撫でまわしたい!モフモフしたい!って思ったけ・・ど・・・」
私の熱量に引いてるカインが、一歩後ろに下がる。
「マジで検討するわ・・・」
「そ、そんな・・・」
ボソリとそう言われ、私は項垂れた。口調も変わってるし!
「ま、それは置いといて、お腹がすいただろ?」
そう言って、熱々で野菜たっぷりのクリームシチューのようなものと、ほかほかのパンが乗ったトレイを渡された。美味しそうなそれを見て、お腹がギュルルと鳴り食べたいと主張をする。
「ありがとう・・・。いただきます」
クリームシチューのようなものにスプーンを入れると、さらっとしていてミルクスープという感じだ。口に運ぶと、味付けは塩のみなのか物足りない。パンは噛むと、もきゅもきゅと固いというか弾力がありすぎるというか・・・変な食感だった。
うーん、不味くはないけど美味しくもないな・・・これ。コンソメとか出汁みたいなものは入れなかったのかな?それともこの世界にはないのかな?パンも酵母で発酵してない感じだし・・・。
スープにパンを浸して柔らかくして、食事を味わって取るというよりは、お腹を満たすための義務という感じで咀嚼して飲み込む。
「ご馳走様でした・・・」
「どうだった?美味しくなかった?」
「うーん、何ていうんだろう。スープは出汁が入っていない味噌汁のような感じに似ていて、パンはお惣菜パンを電子レンジでチンした時に温めすぎたみたいな感じかな」
カインがそう聞かれたので、ご馳走になっていて悪いが私は正直に答えた。
「そうなんだよ。こっちでは出汁とか旨味とかの概念がないみたいで、物足りないんだ。来訪者の中に料理が得意な者がいなかったんだろうな。俺もだが・・・」
「そうだよね。特に日本で育った味覚だと、出汁や旨味に慣れ親しんでいたからね。それに、手軽で簡単に手に入ったからからね・・・」
「出汁」とか「うま味」を知っているということは、カインは日本人なのだろうか、それとも日本かぶれの外国人なのだろうか。
「・・・カインは日本人なの?」
「あぁ、日本生まれの日本育ちで、日本食が恋しくて恋しくて仕方ない日本人だよ」
こっちに来て10年って言ってたもんね・・・。そりゃ、恋しくなるよね。海外にいても日本の物が簡単に手に入る世の中になったけど、ここでは一切手に入らないんだろうな・・・。いや、何としてでも手に入れたい!充実した食生活を送りたい!
「日本の食材や調味料に似た物とか・・・」
「見つけていたら使っているよ・・・」
「あぁ・・・」
そう言われれば、そうだよね・・・使っているよね・・・。
私の質問に、カインの顔を横に振りながら言った言葉に納得した。
「わかりました。食事のことは追々として、まずは私に魔力の使い方と仕事をください」
お願いをするので、ちょっと畏まってみる。
「魔力の使い方はわかるけど、仕事?」
何故?と首を傾げるカインに、私は言った。
「そう、働かざる者食うべからずでしょ?ただ飯食らいは嫌なんだよね」
「いや、当分は魔力の使い方の練習のみにしようかなと、思ったんだけど・・・」
「・・・その練習ってとても大変なの?」
私に出来るかな・・・不安だ。
「まぁ・・・慣れかな。最初のうちは、神経を使うから疲労感が半端ではないよ」
「そうなの?・・・じゃ慣れるまで、ジャックの家事と畑仕事を手伝うというのはどうかな?」
「・・・・・」
顔は見えていないが、カインのジトッとした視線が痛い・・・。
「・・・大丈夫だよ!ジャックくんを、むやみやたらに撫で回さないから・・・ちょっと、スキンシップは、したいけ・・ど・・」
カインの無言の圧力に屈し、語尾が小さくなるが、諦められず彼をチラチラと見る。
「・・・はぁ、わかった。まずは、ジャックに許可を取ってからだから。家事もスキンシップもね」
「ありがとう!」
満面の笑みでお礼を言うと、カインは食べ終わった食器が乗ったトレイを持って、もう真夜中だからおやすみと言って部屋から出て行った。
୨・୧ ୨・୧ ୨・୧ ୨・୧ ୨・୧ ୨・୧ ୨・୧ ୨・୧
あっちの世界でもこっちに来てからも散々寝たはずなのに、あれからまた、そのまま寝てしまった。
そして朝になりカインに起こしたもらい、更に着替えも用意してもらった。カインと同じ黒いローブだったけど。
出来れば、ジャックくんに起こしてもらいたかったな・・・。
それに着替えて部屋を出ると、カインとジャックくんの一人と一匹?に、家の中を案内してもらった。昨日はベッドの上だったのでわからなかったが、お互い立って向かい合うとカインの背が以外に高かった。自分との差は20cmくらいあるのかなと見上げてしまうくらいに。ジャックくんの身長は、私の腰くらいの高さで、めちゃくちゃカワイイ!!と悶絶してしまった。リビングダイニングキッチンは、日本の対面式の作りとそう変わりなく、インテリアは温かみのある素朴なナチュラルカントリー調だった。お風呂は壁も浴槽も石造りで、何気なく壁を触れてみたら不思議とヒンヤリしなかったのには驚いた。特殊な石で出来ているのだと、カインが教えてくれた。トイレは、形も性能も日本のウォシュレット付とほぼ変わらず、更に驚いた。掃除をするうえで、カインとジャックくんの部屋も案内をしてもらい。その他の部屋の案内は、魔力の使い方の練習をする為に後日となった。
「何コレ!?」
「どうした?」
顔を洗うのに洗面台の前に立った時だった。目の前には鏡、それに写った自分の姿に驚いたのだ。南国の海の色を想わせる鮮やかなブルーの瞳と、プラチナに近い薄い藤色の髪。見慣れない色合いと顔立ちが変わったふくよかな今の自分、とても似合わないと一瞬思ってしまったのだ。
うわっ、これは酷い・・・おデブな私にこの配色ってビミョー。ていうか、何で色が変わってるの?顔も日本人特有の平べったい感じじゃなくなってるしー。
「あぁ、この世界に来ることによって、姿も組み替えられたんだよ。俺もだいぶ変わったよ」
でも、カインはローブのフードをずっと被ったままで、色もなにもわからないんだけどな・・・。なんだろう見られては困る何かがあるのかな?もしかして、思ったより変な色に変えられたとか?不細工に変えられたとか?じゃ、私のはまだマシってこと!?そうだったら、この配色に文句言ってられないな・・・。
「そっか・・・似合わないけど、仕方ないのか・・・」
୨・୧ ୨・୧ ୨・୧ ୨・୧ ୨・୧ ୨・୧ ୨・୧ ୨・୧
「練習の前に説明をしておくけど、来訪者と帰還者には神の加護があるんだ。こちらでは宗教が重視され信仰心が高い為、敬われることが多いので、神に反してまで悪意を持ってどうこうすることはないと思う。するとしたら、ごく一部の奴らなんだ」
昨日と同じ堅いパンとスープに、味付けは塩のみのスクランブルエッグと肉の味が殆どしないハムという朝食を終え、リビングにある椅子に座りテーブルを挟んでお互い向かい合っている。農作業があるというジャックくんは、庭にある畑へ向かった。
ジャックくんと一緒に練習したかったな・・・。カムバック、ジャックくん!!
そして、なぜか昨日よりカインの話し方が柔らかくなった。いや、昨日の途中から変わっていたよね。ジャックくんとの絡みくらいからかな・・・う〜ん、取り繕うことが無いと認定したとか?
「へ~、加護ってスゴイんだね。水戸黄門の印籠みたいな感じ?」
「印籠・・・クックッ」
そこで何故笑う?私変なこと言ってないよね?
「その加護があるか無いか知るためには『鑑定』を使うんだよ」
「『鑑定』・・・?」
私には『鑑定』はなかったはず。カインは持っているのかな?
「あぁ、『鑑定』の能力がある者が人や物などを『鑑定』すると、『鑑定』対象のステータスの一部がわかってしまう。ノアには『神眼』があるよね?俺にもあるけど、それは『鑑定』より性能が良いものだと思っておいてね。その『神眼』はどんな人のステータスでも、ほとんどがわかるんだ」
「ほとんど・・・その『神眼』で、私のステータスが見られたらヤバイよね。なんかコワイね・・・」
そのことを聞いて、背筋が寒くなる。
「そうなんだ。だから、魔力が大事になってくるんだよ。ステータスを隠蔽することもできたり、身を守ることも戦うこともできたりする。魔力は必須なんだ」
「・・・隠蔽?」
魔力で隠蔽って、どうするんだろう?ステータスを隠すってことだと思うけど・・・。
「そう、隠蔽だよ。一見は百聞にしてならず、だから俺のステータスを見せるよ。『ステータス・オープン』」
そう言うとカインは、ステータスの画面を開いた。
名前:カイン・オダ【小田 歌音】
種族:人族・来訪者(隠蔽)【帰還者】
性別:男
職業:魔術師・賢者(隠蔽)【――】
AGE:年齢21【40】
Lv:1932(隠蔽)【5289】
HP(生命力):35847/35847(隠蔽)【1000785】
SP(体力):12425/12425(隠蔽)【999957】
MP(魔力):20085/20085(隠蔽)【∞】
STR(攻撃力):4941(3527+1414)(隠蔽)【11021】
VIT(防御力):2730(1853+877)(隠蔽)【18035】
AGI(俊敏性):853(隠蔽)【1742】
DEX(器用):792(隠蔽)【1597】
INT(知力):418(隠蔽)【1087】
MND(精神力):578(隠蔽)【∞】
LUK(運):1098(隠蔽)【59267】
CHA(魅力):791(隠蔽)【2077】
スキル 『全言語理解』『火属性魔法』『土属性魔法』『風属性魔法』『水属性魔法』『光属性魔法』『無属性魔法』『剣術』『アイテムボックス』(隠蔽)【『全ての魔法』『取得経験値増』『必要経験値減』『神眼』『剣神』『全武術・体術』『ドロップ』『隠蔽』『
加護 『火神の加護』『土神の加護』『風神の加護』『水神の加護』『光神の加護』『創造神の加護』(隠蔽)【『神々の加護』『異世界神々の加護』】
カインの、ステータスの画面が現れた。
カインの字って歌音って書くのか。でも、この名前どこかで見た時があるような・・・。ん~どこだろう・・・思い出せない。お、それよりステータスの確認だよね。多分、後ろの数字が本来のものだと思うから・・・えっ?レベル高くないですか?数値も高くないですか?どこをどう突っ込めが良いのか、わかりません!
「(隠蔽)と表記されている後ろの【】の数字が元の数値で、その前の数字が隠蔽したものだよ。あと、レベルが高いのは、『取得経験値増』と『必要経験値減』のおかげ。じゃ、ノアも昨日のようにステータスを開いてみて」
カインのステータスを見て驚いている私に、彼は促す。
「わかった。・・・『ステータス・オープン』」
そう言うのが少し恥ずかしいが、昨日と同じく自分のステータスの画面を開いた。
名前:ノア コイズミ(希空 幸泉)
種族:人族・帰還者
性別:女
職業:――
AGE年齢:16【40】
Lv:1
HP(生命力):7678/7678
SP(体力):121/121
MP(魔力):0/0【∞】
STR(攻撃力):61
VIT(防御力):1000
AGI(俊敏性):53
DEX(器用):392
INT(知力):388
MND(精神力):375
LUK(運):∞
CHA(魅力):39【548】
スキル 『全言語理解』『全ての魔法』『取得経験値増』『必要経験値減』『神眼』『隠蔽』『創造』『具現化』『ドロップ』『
加護 『神々の加護』『異世界神々の加護』
「あ、あった。『取得経験値増』と『必要経験値減』が。それにしても、攻撃力と俊敏性が低すぎる・・・あれ?名前の表記が変わってる?」
「名前?あぁ、この世界に定着したということだよ。あと、攻撃力と俊敏性は問題ないよ。昨日見せたよね?この世界の女性の平均の数値のステータス。そんなに低いわけじゃないから。それに、攻撃力と俊敏性を高めてくれる装備品を身に付ければ問題ないからね」
「そっか、この世界に定着か・・・ん?装備品?でも、私一文無しだし・・・」
「あぁ、それなら大丈夫だよ。『
「そうなの?それはありがたいけど、至れり尽くせりで、なんか怖い・・・普通に暮らしている人には無いんでしょ?申し訳なさが出てくるよ」
「あー、それ何となく分かるよ。でも、まー、突然こちらに連れてこられた慰謝料、ということにしておこうよ。そうじゃないと、これからキリがなくなるよ。あ、言っとくけど、小説やマンガにあるような勇者とか聖女になれとかは無いからね」
カイン、共感してくれるの!ありがたいよー。あぁ、ちょっと気持ちが軽くなった。でも、キリがないって・・・うん、考えるのは止めよう。それに勇者とか聖女とか無くて良かった!いやー無料のネット小説でチラッと見た事があるのよ。異世界召喚させられて,魔族や魔王と戦うなんていう話を。縁もゆかりもない世界の為にボロボロになるまで戦って、その後ハッピーエンドだったら良いけど、私が読んだ話はそれで終わらなかった・・・話を伸ばすためなのか、裏切り裏切りで胸糞が悪くなる内容が続き、最後の最後でやっと『ざまぁ』されたけど、酷かった・・・もう、この手のものは読まないと決めたもんね。力があったり能力が高かったりすると、無理矢理戦わされるんじゃないかなと、思ったりしちゃったわけですよ、はい。
「今はないかもしれないけど、後々なれとか言われたら嫌だな・・・」
「その時は、思いっきり抵抗すればいいと思うよ」
「抵抗できるの?」
「俺もそんなのになるの嫌だから、頑張って抵抗するよ。それと、一人より二人の方が心強いだろ」
「私、全然強くないし、戦い方なんて分からないよ・・・」
「そんなの関係ないよ。強さとかじゃなくて、気持ちの問題だよ」
「気持ち・・・そうだよね、それは心強いね!」
何かくすぐったい感じだ。そんなこと、あっちでは言われたことがないからね。
「ヨシッ!で、どうやるの?
照れを隠すように、話題を変え、
「あぁ、
イメージねとコクコクと頷いて、
「何か、いろいろ入っているんですけど・・・」
現れた画面は、本当に使い慣れたパソコンフォルダーの項目そのままだった・・・。
私の想像力って・・・。
「あぁ、俺の時もいろんなのが入っていたよ。装備や武器とか指南書もあったかな」
装備や武器か・・・指南書はありがたいな。
○大白金貨(10,000,000円)100枚
○白金貨(1,000,000円)100枚
○大金貨(100,000円)100枚
○金貨(10,000円)100枚
○大銀貨(5,000円)100枚
○銀貨(1,000円)100枚
○大銅貨(100円)100枚
○銅貨(10円)100枚
○鉄貨(1円)100枚
○初心者のローブ(ノア専用)
○初心者の杖(ノア専用)
○初心者の短剣(ノア専用)
○初心者の胸当て(ノア専用)
○初心者のブーツ(ノア専用)
○初心者の手袋(ノア専用)
○私服一式
○指南書
ツッコミどころが満載なのですが・・・。お金ありすぎだよ!!装備や武器の初心者とノア専用って何!?
「まぁ・・・さっき言ったように金額は賠償だと思って。装備や武器は、他の人が使えないから売らない方が良いよ。それに初心者ってなっているけど、レベルが上がることによって変わっていくから、素材の組み合わせで強化もできるし」
「至れり尽くせりを通り越してなんというか・・・あ、これでスローライフ?」
こんなにお金があって、働かなくても生きていけるんじゃないの?人間ダメになりそうだけど・・・。
「それは厳しいかも」
「・・・それは何故?」
「騙されてあっという間にお金が無くなるし、お金で解決しないこともあるから。あと、大ケガを負って障害とか残るくらいになると、治療代とかでほぼ十数年で無くなるね。加護があるから簡単に死にはしないけど」
「え?騙されてって、信仰心が高いんじゃ・・・」
「ごく一部ね」
マジですか。人が少ない村の片隅で、自分の好きなことをしてのんびり暮らしたいのに・・・あっちでは、都会に就職してからずっと田舎が恋しくて帰りたかったけど、帰ると都会に負けたような気がして意地をはってたからな・・・。
「スローライフ・・・」
諦めきれなくボソッと呟くと、カインが苦笑いを浮かべた。多分、見えないけど・・・。
「騙されないように気を付けて、身を守る術を身に付ければ大丈夫だと思う」
「身を守る術って・・・?」
こんな体型だから素早く動けないから逃げるのは無理だし、筋肉も無いから武器で戦うのも無理だと思うし、魔力詰りで魔力が使えないから魔法もダメだし・・・。
「訓練するしかない。まずは魔力だ!」
スローライフは程遠いようです・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます