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古新野 ま~ち

第1話

チーズの臭いが嫌いなひとが牛乳からチーズにいたるどの時点で悪臭を放つのか調べないように、私は、何か胸騒ぎ・恐ろしい予感が始まると外界との接続を絶とうとする。


昔のことだ。だから自分と社会の繋がりが希薄でどうにか記憶を探ろうにも現実に残された痕跡がないため私の記憶違いかもしれないが、隣の住人の小児のボロギレめいた服の子が私に声をかけた。

いつもそばにいるような気がしていた。夜になると泣きはじめるからだ。

ボロボロの子は苔を蒸したような異臭を放っていた。風呂に入れていないそうだ。再三、注意を促して起きたいが昔のことなのだ。

私はその子に目もくれなかった。

第三者よ、あなたはこれを読んで何故児童相談所に通報しなかったのかと憤るだろう。正常である。誠に、かの子には申し訳ないと悔やんでも悔やみきれないから悔やまない。


第三者はいつになれば物語が始まるのかと傍観しているのだろうが小説が物語を始めてくれると思うのは間違いだ。既に始まっていて既に終わっている。だから第三者には何も観測できない。

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