第50話 彼女家に挨拶する彼氏ってこんな気持ちなのかな?
さて、「ここから出られないんじゃね?」問題が発生してしまった……どうしよう。
「ていうかバルカン、翼でさっき飛んで俺に襲いかかってきたじゃないか」
「あれは低空飛行だし長時間飛ばないから大丈夫なんだよ。っていうかゼノン、何か作戦ないのかよ」
何か作戦って言われてもな……あっ、あれがあるか。
とりあえず俺は背中に収納していた翼を出現させて、ドヤ顔でバルカンを見る。
「なんだよ、お前飛べるんじゃねぇか。じゃあそれで問題は解決だな」
「いや、飛べないんだが」
「じゃあ今ドヤ顔しながら翼を出すなや!!!一瞬めっちゃ期待したじゃねーか!?」
割と本気で怒られてしまった。場を和まそうと思っただけなんだがな。
しかしパンドラといい、バルカンといいなかなかいいツッコミをしてくれる。磨いていけばより光るぞ?
まぁ、本人には言わないんだがな。殴られそうだし。
しかしここから脱出するには空を飛ぶしかないな。
壁を登っても、壁沿いに外に出る隙間があるわけでもない。
扉を使って一度魔王城に戻るのもいいが、次から火山に来る時はここスタートになって結局本末転倒だ。
って言うかもうちょい引っ張ってから魔王とネタバラシする方が面白そうだし戻るのは却下、と。
そこでふと黒紋印に目が行く。
そうだ。俺が落ちた時、黒紋印が翼に纏わり付いて 一瞬だったが空飛んでたじゃん。それしか方法はないな。
俺は黒紋印が翼全体に広がるようにイメージする。
すると翼に纏わり付くかのように黒紋印が広がり、ただでさえ禍々しい翼に 黒い炎が燃えているようなが模様入り、より禍々しくなった。
考えすぎて頭から湯気が出てるバルカンも俺の変化に驚きを隠せないでいる。
「何だよそれ!?そんなのも使えたのかよ!?」
「ああ。喜べバルカン。これでここから脱出出来るぞ!!」
「おお!!」
喜んでいるバルカンを尻目に、俺はそのまま飛び上がる。自分の体が浮き上がるのがわかり、そのまますごいスピードで上に上がったと思ったら直角に90度曲がり、全力で壁に激突した。
「………」
「………」
沈黙がすごく辛い。だからこそ俺はあえて口を開く。
「……ちょっと練習させてくれ」
「何なんだよ!?」
今日一番キレのいいツッコミが洞窟内に木霊した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あれから1時間ほど練習して何とか制御できるようになった。まだ黒紋印は解除した状態ではそこまで飛べないが、解除しなければどこまでも飛んでいけそうだ。
さて、あとは脱出するだけだ。
しかしここで問題がひとつ。
「はなせ〜〜〜〜〜〜!!」
俺は今、バルカンをお姫様抱っこしている。おんぶは翼があるから出来ないし、抱っこは態勢的に刺激が強すぎる。ということで消去法でお姫様抱っこになったわけだが、嫌がる子供ぐらい暴れている。
「痛い痛い痛い!!暴れるな!!」
「何でこの態勢なんだよ!?他あるだろ!?」
「他が無いからこの態勢なんだろーが!!」
「恥ずかしいんだよ/////!!」
「可愛くていいと思うぞ?」
「ぶち殺すぞ/////!!」
ギャーギャー騒ぐこと10分ほど、観念したのかやっと大人しくなった。「後で絶対殴ってやる/////」という幻聴が聞こえるが気のせいだろう。
俺はそのまま飛び上がり、温泉の天井の裂け目まで一直線に飛んだ。どんどん高度が上がり、俺達が立っていた地面が小さく見えるようになった時、俺達は空洞から脱出することが出来た。
洞窟みたいな場所にばかりいたから外の景色が新鮮に思えるのは気のせいかな?
とりあえず未だに俺を睨みつけているバルカンに里はどこかを聞かなければならない。どっちに飛べばいいかわからんからな。
「バルカン、里はどこにあるんだ?」
「ああ!? そのまま真っ直ぐ飛べば大きな祠が見えるからよ、そのふもとに里はある」
ご機嫌斜めだが親父さんを助けるために今は我慢してもらうしかないな。だからそんなに睨まないでおくれ。
そのままひたすら真っ直ぐに飛んでいく。途中上空から下を見下ろすとめちゃくちゃ強そうで美味そうな魔物がウロウロしているがガン無視していく。今、体力を減らす訳にはいかないからな。
すると、とある山のふもとに大きな祠が見えた。しかし祠のサイズが半端なくデカイ。100メートルほどあるんじゃないか?
俺の頭の中でヤバい想像がされる。
嘘だろ?竜王ってそんなにデカいの?えっ、これ俺勝てる?死ぬんじゃない?
すると俺の表情から察したのか、バルカンが補足をし始めた。
「バーカ、あんなにデカいわけねぇだろ。あれは初代炎竜王に合わせて造られたんだ。親父はもう少し小さいよ。それでも半分ぐらいはあるけど」
「いや、半分もあれば十分だと思う」
「バカなこと言ってねぇで祠の前に着地するぞ」
俺の意見は一蹴され、祠の前に無事着地する。
目の前に立つと改めてデカく感じる。それともう一つ喉元に刃物を向けられているような強烈な殺気も感じる。
冷や汗が吹き出してるのか、背筋が冷たい。
どうやら竜王にかけられている呪いは俺を歓迎してくれているようだ。
隣を見るとバルカンも緊張した面持ちをしている。今回失敗したら親父さんが死ぬかもしれないからな。
俺も覚悟は決まった。
「……開けるぞ」
「……おお」
さて、鬼が出るか蛇が出るか……
殺気だらけのお宅訪問の開幕だ!
《その頃の魔王城》
パ:「今何か嫌な予感がしました!」
ネ:「私もっす!!」
フ:「私も〜〜」
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