第35話 ネア

いや……マジで誰だ……?



身長は160センチほど、オレンジ色の髪の毛をポニーテールのようにくくっている。子供のような寝顔で寝ていても美人だとわかるような顔立ちをしている。

胸部装甲は……うん……控えめだな。




「ネア!? どうしてここに!?」



パンドラが驚いたようにそう答えた。







まさかのネア魔王城で発見。








さっきまでの俺達の頑張りは何だったんだ……



ってか言うか何で今まで見つからなかったネアが魔王城にいるんだ?


とにかく事情聴取だな。まずは気持ちよさそうに寝ているこの2人を起こさないと。



「お〜い、起きろ〜〜」



とりあえず2人をゆすってみた。



「う〜〜ん、ゼノン様おはよ〜〜〜〜」



フィリアは簡単に起きたが、ネアが全然起きない。

なのでちょっと強めにゆすってみる。


すると急に目が開き、勢いよく体を起こしてきた。



「朝っす!」


「ぐっ…!」



勢いよく体を起こしすぎて、俺の顎に頭突きをした。



俺はその場で悶えていた。

大丈夫か俺の顎、割れてないだろうな?

パンドラだけが心配して背中をさすってくれた。

別に顎に当たって背中をさする意味は無いと思うが…



「おはよう〜〜ネア〜〜〜〜、久しぶり〜〜〜〜」


「おはようっす、フィリア!久しぶりっす!」



さぞ当たり前のように話しているが、誰か情報を説明してくれ……

何で探していたはずのネアがここにいるんだ……?




「ネア! あなたいつ帰ってきたのですか!?」


「あっ、パンドラ久しぶりっす!!魔王城の周りが静かになったし、全然追っ手が連れ戻しに来なくなったから魔王様死んだんだなと思って帰ってきたっす!」


「死んだから帰ってきたって……あなた……」


「だって魔王様嫌いだったからっす」



新事実。前魔王は四魔天にも嫌われていた。

改めて評判悪かったんだなぁと思うよ…


えっ?じゃあ俺魔王と名乗って大丈夫か?

そんな風に疑問に思ってると、ネアが俺の方に振り返ってこう言った。



「それで……あなたは誰っすか?」



そう聞かれたので答えようとしていたところ、一足先にパンドラが答えてしまった。



「コラ!!言葉に気をつけなさい! このお方は新しく魔王に御就任なさったゼノン様です!そして、前 魔王様よりも優しく、優れており、100万倍は優頼りになるお方です!!」



「新しい魔王様っすか!それは申し訳ないっす! それと、私はネアっす!!これからよろしくっす ゼノン様!!」



べた褒めで照れるな。


さて、俺からも自己紹介するか。



「あぁ、今紹介されたばかりだが新しく魔王になったゼノンだ。よろしく頼む。」



と、手を差し出した。



「凄いっす! 同じ魔王でも前魔王様と全然違うっす!!こちらこそよろしくっす!!」



と、手を握り返してくれた。

前魔王とどう違うか気になるところだが……



社交的なイメージがにじみ出ている。

そしてかなり積極的な子だ。

これからは仲間だからもっと仲良くなっておかないとな。




「少し聞きたいんだが、ネアはいつ帰ってきたんだ?パンドラ曰く最近全然見なかったらしいし…」


「帰ってきたのは先程っす。さっきも言った通り、 魔王の使いが全然連れ戻しに来ないな〜と思って魔王城に寄ってみたら魔王の気配が感じなかったっす。」


「なるほど。それから?」


「それから中を確認するためにここに来たらフィリアが寝てたっす。フィリアが玉座の間で寝てるってことは魔王は死んだんだな〜と思って 、安心して一緒に寝てたっす。」




なるほど。フィリアもネアも、前魔王が嫌いということが痛いほど伝わった。


それと底抜けに元気であり、自由人でもあるって聞いてたけど本当にその通りだと思う。


まさかそんな理由でふらっと帰ってくるとは思わなかった。



まぁ、おかげであんな広い森からネアを探す手間が省けた。あとはマグマラットを探すだけか……



するとネアが話しかけてきた。



「凄いっすね……今お会いしたばかりっすけど、ゼノン様は優しいっすね…」



と、言ってきた。

俺が優しいなんて見ただけと少し話しただけでわかるのか?



「なんでわかるのかって疑問に思ってるっすね?私の目は特別なんすよ。私は仮にも猛禽族っすからね!」



目が特別?

鳥は目がいいというが何か関係あるのか?




「猛禽族は相手のオーラ的なものが見えるっす!その色が黒に近ければ悪く、白に近ければ優しいっす!ゼノン様は真っ白っす!!」


「それはゼノン様なのですから当たり前でしょう! ゼノン様は優しくかっこいいのですから!!」


「ゼノン様〜〜〜〜、カッコいい〜〜〜〜♪♪」



ネアが話してたと思ったら、パンドラとフィリアも横から賛同してきた。


俺をここまで褒めて一体どうするつもりなんだ!?

美少女3人に褒められるとかご褒美かよ!?



とりあえず全員の頭を撫でておく。




「「「〜〜〜〜〜〜〜♪♪」」」




全員嬉しそうな顔をした。




………俺はこの表情を見るために魔王に選ばれたんだと思う。きっとそうだ。そうに違いない。



俺はこの幸せなひとときを決して忘れないよう心に誓った。




そして俺が心に誓っている間、ネアがさらっととんでもないことを言い出した。




「しかもゼノン様って優しいだけじゃなく強いっすよね!!もう前魔王よりも強いっすよ!!」




そうか……俺は前魔王よりも強いのか……






………………はっ?






今さらっと流しそうになったけどなんて言った?



「えっと……俺ってもう前魔王よりも強いの…?」


「はいっす!強い人はオーラで丸わかりっすよ!

ゼノン様のオーラは前魔王のオーラの2倍ぐらいっすかね?」




基準はよくわからないがどうやら俺は前魔王よりも 強くなっていたらしい……



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