第8話 雑草の違い
さて、色々探して回ろうかと思ったが、足元に生えてる草も実は食材だったりするのかな?
っていうか【鑑定】使って見渡せば、何が食材かわからんじゃないか?やってみるか。
[しとやか草]
どこにでも生えるありふれた植物。そのまま食べれば苦い。
まさかのしとやか草!?
探してたもんが普通に生えてた!!
まさかこれ一面が しとやか草なのか?どこにでも生えるって書いてあるが、一面カーペットみたいになってるじゃねえか……
とりあえず食べてみるか…なんかいいスキル持ってるかもしれねぇし……
にっっっっっっが…………
食えたもんじゃねぇよ、これ……漢方薬を水無しで飲んだみたいな後味の悪さだ……
しかもこんな思いして、レベルもスキルも何もなかったし……
まぁ、どこにでも生えてるもんにスキルあったら大変だもんな。
せめて【鑑定】でどんなスキル持ってるかわかったら楽なのに……どんなものかの説明と調理方法や倒し方しか出ないとか食べることに特化されすぎじゃない?
事前に情報を得られるだけマシだけど……
とりあえず100束ぐらい採取しとくか。
本当に全部そうなのかわからんから確認しながらいこう。
[しとやか草]
[しとやか草]
[しとやか草]
[しとやか草]
[シトラス草]
[しとやか草]……
なんか似てるの混じってる!?
名前似てるし、見た目の違いもないだろ!
間違え探ししても 多分誰もわからんぐらいそっくりだ…
でも、名前が違うってことはしとやか草と何かしら違うんだろうな。見てみるか。
[シトラス草]
そのままでは食べることができないが、お湯に浸けているとシトラスティーができる。
うん。名前の通り紅茶ができるようだな。帰ったら実験してみるか。
でもこれ食べたらどうなるんだろう?そのままでは食べれないって書いてるが、俺は【悪食】があるから多分食べれるんだよね。
どうする?流石に死ぬことはないと思うが……
やっぱり好奇心には勝てん!!食べてみよう!なんか症状が出たらそん時はそん時だ。
うあぁぁぁぁ!にがい!!
それに口がスースーして、鼻に爽やかな匂いが通る!
これはヤバイ!水……水はないのか!!
「パンドラ!!水……水をくれ!!口がヤバイ!」
「大丈夫ですか!?どうぞ!!」
よかった!持ってた!
「はぁ〜〜、大変な目にあった……」
「なぜ食べられないものを口に入れたのですか!?心配したんですよ!?前魔王様のように倒れられたらどうしようかと……本当に……」
ヤバイ、泣かせてしまった!やっちまったよ俺!
配慮が足りなかったな…ただでさえ前魔王が訳の分からんもん食って死んだってのに…
「………すまなかった、パンドラ。配慮が足りなかったし、お前のことを全て分かった気でいた…今度からはこんな無茶はしない。するとしたらちゃんとパンドラに確認とるよ。」
「はい………グスッ。……約束ですよ……?
今度からは、そんな訳の分からないもの食べる時は 教えてください…万全の体制を整えますので…。」
よかった……なんとかなだめられたようだ…
しかし、強敵に挑んで負傷して帰ってきた人との感動の再会っぽい雰囲気を出してるが、実際は全然違うぜ?
ただそこらの草を食っただけだぜ?
それとなんかスキルを覚えた気がする。シトラス草はスキルを持っていたようだ。何だろうか?
【シトラス】
シトラスのいい香りがするようになる。
………うん…予想はしてたよ?それを踏まえた上で言わせてもらうと、これどこで使うんだ!?
何でこんなスキルあんだよ!!別に臭くねーよ!!
それと匂いなんて自分じゃ変わったかわかんねーんだよ!!
いや、第三者視点じゃ何か違うかもしれない。パンドラなら何か気づくかも。
「パンドラ、俺変な匂いでもするか?」
「ゼノン様ですか?いえ、そのようなことはありませんよ?どちらかというと、爽やかで心が落ち着いてくるような、安心する香りがします。」
と言って、パンドラは近づいてきた。
その距離は手を回せば抱きしめられるほど近かった。
ありがとう【シトラス】!!
お前のことを侮っていたよ【シトラス】!!
まさか【シトラス】がここまで女子受けがいいとは思わなかった!!一生大事にするよ【シトラス】!
俺はもう少しの間、シトラスというスキルの素晴らしさに酔いしれていた。
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