第2話 新魔王就任
「魔王城、ねぇ…」
ここが魔王城だということはいいとして、どうして俺が魔王になってしまったのだろうか?
魔王というのは魔族の中から選ばれるんじゃないのか?ご都合主義というやつか?
未だに納得がいかないので聞いてみる。
「魔王というのは、魔族の中から選ばれるんじゃないのか?」
「はい。本来ならそうなる予定でした。しかし、今の魔族の中から魔王となり得る器を持つものがいませんでした。」
「魔王になるのも大変なんだな。その場合はどうなるんだ?」
「魔王国には独自のルールがあり、前魔王様の死後から100年もの間に新たな魔王様がご誕生にならなかった場合にのみ、この世界以外の世界から 新鮮な魂を呼び寄せ新たな魔王様として生き返らせることができるよう古来から伝わっているのです。」
俺は頭をトンカチで殴られたような衝撃を受けた。
……………はっ?
ちょっと待ってくれ!!今とてつもなく不穏な単語が聞こえたぞ!!
「ちょっと質問したいのだが……」
「はい、何でしょう?」
「さっき言ってた …… 新鮮な魂って………何?」
「死にたてホカホカの魂のことでございます(ニコッ)」
とてもいい笑顔で軽やかに答えた。
………ええええええええええええええぇっ!!
やっぱり俺死んでたよ!!!!!
嘘だろ!!!卵が爆発して頭打って死んだとか、地球誕生以来 類を見ない間抜けな死に方だろ!!!
家族になんて説明されるんだ!おたくの息子さんは卵にびっくりして死にましたってか!!!
泣きたくても笑いが勝って泣けねーよ!!!
「あの………どうかなさいましたか?」
気づけば頭を抱えている俺の様子を伺うように下から覗いていた。
「ああ……すまない……少し現実逃避していただけだ……ちなみに聞くが、元の世界に戻るという選択肢はないよな?」
「申し訳ございませんが……魂を呼び寄せましたので……」
グハッ!
痛恨の一撃。俺は30000のダメージをくらった
結構心にくるな……死んだと認識したいが、死に方が死に方だからなぁ……
ん?待てよ?
しかしここで素晴らしい逆転の発想を思い浮かんだ。
確か此処は地球とは違う世界なんだよな?
なら、地球では食べることが出来ない食材や見たこともない食材の宝庫じゃないか!!!
今まで沈んでいた気持ちが一気に回復してきたぞ!
未練がないかと言われれば嘘になるが、それよりも味への好奇心が抑えられない!!
そうと決まってからの俺の行動は早かった。
「魔王、やります!!」
「やって頂けますか!!!よかった……断られたらどうしようかと……」
「ちなみに、断ってたらどうなってたんだ?」
「魂が完全消滅し、輪廻の渦にすら帰ることが出来ず、宇宙の塵となります(ニコッ)」
またしても恐ろしいことをさらっと言いのけた。
あっぶねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
こえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
よかった………魔王になる決心をして…
俺…永遠に死ぬとこだったよ……
まぁ……幸先はとてつもなく不安だが、せっかくの第2の人生だし未知なる食材が俺を待ってるんだ。
そしてここは異世界。もしかしたら異世界主人公特有のスキルとかもあるんじゃないか?
そう思ったらなんか年甲斐もなくワクワクしてきたぞ!?まだ20歳だけど。
こうして俺は強制的ではあったが、魔王として第2の人生を歩んでいくことを決心した。
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