椿と紫音 その16
『怪我もしてないのに救急車を呼んで医療費を払わせた。病院と癒着でもしてんのか!?』
とネットに発信してみたり、
『子供が何度注意しても勝手に出かけるのをやめない。何度バレても浮気やめないダンナそっくり。しかも育児は女の仕事だって押し付ける。時代錯誤も甚だしい』
と、あたかも自分が一方的な被害者であるかのように発信して、<いいね>や<そう思う>といったものを集めて悦に入ってたみたいだね。
これも、
一方、
もう、自分の家には帰りたくないと思ってるのが伝わってくる。でも、だからこそかもしれないけど、癇癪を起こすことはなくなった。
それは、彼が成長したからというよりも、
実はこれも一種の<抑圧>なんだろうね。椿が彼を抑圧してるわけじゃないけど、彼自身が自分を抑圧してるんだ。
『<試し行動>という形で椿の気持ちを確かめたいのにそれさえ抑え込んでいる』
という。
でも椿は、そういうことも含めて彼を受け止めた。彼は、ムキになったかのようにあのボードゲームで遊ぶことを何度もせがんだ。
すると、
もちろん逆に、土壇場で
そんな時は彼は明らかに苛々した様子だったけど、椿は言う。
「大丈夫だよ。これはルーレットでどの数が出るかだけで決まるから。
確かに、そのボードゲームは、それぞれのマスで選択が行えるようにして戦略性を増したバージョンのものもあるけど、二人がやっているものは、あくまで止まったマスにイベントが書かれているだけのバージョンだった。だから、単純に、ルーレットの運次第であって、プレイヤーの能力は結果に反映されない。
何度もそれを繰り返すことで、次第に
その間も、彼を受け止めることで椿に掛かるストレスは、僕とアオが椿に甘えてもらうことで解消する。
さらに、僕とアオに掛かるストレスは、僕とアオがお互いに解消し合う。
誰かにしわ寄せを押し付けない。それが僕達の在り方なんだ。
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