秋生の日常 その1
と言っても、基本的にはあまり積極的に前に出るタイプではないので、世間的に見ればいわゆる<陰キャ>寄りと言えるだろうか。
けれど彼は、そういう、
<他人から見た印象>
というものを気にするタイプでもなかった。そんなことを気にしなくても十分に満たされていた。
しかも、意図して身嗜みを整えなくても、その整った顔立ちやしっかりした体幹がもたらす佇まいは、隠しきれない<魅力>として伝わる者には伝わっていた。
だから……
「月城くん。ちょっと手伝ってくれないかな」
放課後。授業を終えて家に帰る準備をしていた彼にそう声を掛けてきた女子生徒がいた。
肩の辺りで切り揃えられた髪は、明らかに美容室などでセットされたものじゃなく、格安理容室などでカットされただけで後は毎日、自分でブラシを掛けているだけというのが分かる見た目だった。
つまり、
<垢抜けないタイプ>
ということだ。
「
秋生は<吉祥>と呼んだ女子生徒の姿を確認してそう答えた。
するとその脇から、
「あ~! ずるい!
と抗議の声を上げた者がいた。さらりとしたやや明るめの色合いの髪をいわゆる<サイドテール>にまとめ、明らかに自分を演出するためのメイクが施された華やかな顔立ちの、でもパッと見は小学生くらいにも思える体格をした女子生徒が、やや芝居がかった身振りで詰め寄ってくる。
「
<
「そうだよ、
小柄な
「そうそう!
<
彼女達の名は、それぞれ、
秋生に好意を抱く女子生徒らで結成された、
<
のメンバーなのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます