君は本当に素晴らしい!!
第一子と第二子が年子で生まれて、正直、決して楽ではなかった。
もっとも、<年子>とは言ってもダンピールである
二歳になる頃には、外見は二歳のままでももう小学生低学年くらいの様子にはなっていた。
加えて、
「はい! ママ!」
食事の時には、一足先に手伝いを始めていた悠里の真似をして、食器を運ぶのを手伝ってくれたりもする。
「ありがと~♡」
そんな息子と娘の姿にアオはメロメロだ。
そして二人が寝ると、その寝顔を見ながら、
「正直、自分がこんなに子供を可愛いと思える人間だったことに驚いてる…
本音では心のどこかで不安だったんだ……私の両親と同じことをしちゃうんじゃないかって……
だけど、ミハエルのおかげでそうじゃなかった。
ミハエルがいてくれたから、私は両親と同じことをせずに済んだんだ……
ありがとう…ミハエル。本当にありがとう……」
目を潤ませつつ、囁くように言った。吸血鬼であるミハエルにはそれで十分に聞こえていた。
すると彼は、微笑みながら首を振って、
「ううん。それはアオ自身の頑張りがあればこそだよ。僕はほんの少し、その手伝いをしただけだ……
それに僕がアオの力になれるのは、アオが僕を受け止めてくれてるからだし……
僕の方こそありがとう……悠里と安和に逢わせてくれて……」
と応えた。
それから、お互いに見詰め合って、顔を寄せて、唇を触れ合せる。
こうして……
「わはは! またできたぞ!!」
右手に妊娠検査薬、左手は腰にやって、大きく胸を張りながら、アオが笑う。
半ばヤケクソ気味に。
さすがに今回は年子ではなかったものの、安和が生まれて一年ちょっと。二歳しか違わないことになる。
その知らせを受けて、セルゲイも三度掛けてけてくれた。
「素晴らしいよ! アオ! 君は本当に素晴らしい!!」
安和の時よりさらにテンション高くセルゲイが称賛した。
第一子に続いて第二子もダンピールであったにも拘わらずすぐにまた第三子。
『こんな素晴らしいことがあっていいのか!』
とセルゲイさえ思った。
とは言え、今度は、
「人間だね。普通の」
三度目の出生前診断の結果を受け取ったミハエルが言った。
それに対してアオは、
「そうか!」
笑顔で応えた。
人間だったから安心したというのとは違う。正直、もうどっちでも良かった。自分達のところに来てくれたのがただただ嬉しかった。
「今度はどっちかな。男の子かな、女の子かな」
出産は大変かもしれないけど、安和の時が結構楽だったので、もう怖くはなかった。
とにかくその時が待ち遠しいだけなのだった。
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