第46話 ダブルデートしよう
「それで、
姫が切り出す。
場所は
「俺たちでダブルデートしようぜ」
今朝から考えていた案を打ち明けた。
「ダブルデート?誰と誰が、ですか?」
紬からの質問。
「言うまでもないだろ。俺と紬、タカと姫の4人だ」
そう。兼ねてから、一度ダブルデートって奴をやってみたかったのだ。タカと姫の間柄が中途半端な状態なら提案できなかったが、今ならいける……はず。
「私は恥ずかしいんですけど」
「僕も、ちょっと恥ずかしいな」
むむ。紬とタカの2人はあまり気乗りがしないようだ。
「えー、いいじゃない?ダブルデート、やろうよー。
姫は乗ってきた。こういうところには姫は物怖じしない。
「俺もタカと姫の様子を知りたいしな」
「でも、縁ちゃんが弄ってくるの見られるのはちょと……」
なんと、日頃の行いが反対理由になるとは。
「じゃあ、ダブルデート中は弄くらないからさ。それで、どうだ?」
「ほんとにですか?」
疑いを向けてくる。
「ほんとだって。信じられないか?」
「ぜんっぜん信じられませんけど」
ひどい言い草である。
「誓ってもいいから。もし破ったら、何してもいいぞ」
「何しても、ですか?」
紬の目の色が変わった気がした。
「できる範囲でな。現金100万円とかはナシで」
「そんなことわかってますよ。でも、それなら、まあ」
「紬なら、きっと乗ってくれると信じてたぞ」
「でも、ほんとに約束ですからね?」
「わかってる、わかってるって」
その場の勢いでつい弄ってしまうかもしれないが。
「
姫からタカへ向けての質問。
「その。縁たちが一緒だと、あまり二人きりになれないから……」
少し頬を赤くしながらいうタカ。なんとも、純情なことだ。
「だいじょーぶ。二人きりの時間はちゃんとあるから。だよね?縁君」
その言葉とともに姫が俺に視線を送ってくる。
「もちろん。後半はお互い自由行動にしようぜ」
「わかった。それならいいよ」
なんとか、タカも賛成してくれたようだ。
「よし、じゃあ、今週末な」
「いいですけど、プランは決まっているんですか?」
「もちろん、それはこれから考える」
「そんなことだろうと思いました」
紬がため息をつく。
「じゃ、まず、お茶しよー?」
「さんざん家でお茶してるのに、喫茶店かあ?」
「それとこれとは別だってばー」
「わかった、わかった。じゃ、まず喫茶店な」
メモメモ、と。
「僕は、ボウリングしたいな」
「ある意味定番だな」
「それに4人で楽しむのにちょうどいいし」
「かもな」
確かに、ボウリングは、システム上、4人で楽しむのがちょうどいい。これもメモメモと。
「私は、映画行きたいです」
「何か観たいのあるのか?」
「今度新作のアニメ映画上演されるんですよ」
「そういえば、聞いたような。何だったっけ」
「『空気の女』ですよ。有名監督の新作で、話題なんですよ」
「あ、私も『空気の女』見たかったんだ―」
「僕も僕も」
他3人は皆知っているようだ。後でサイトを見ておこう。そして、これもメモメモ、と。
「喫茶店、ボウリング、映画に行くとして、他は適当でいいか?」
「あんまりガチガチに詰めてもなんですし」
「私も」
「僕も」
というわけで、適当にダブルデートの予定が決まったのだった。
「でも、服ちゃんと考えとかないとですね」
ぶつぶつとぶやいている紬。
「別に、俺とデートしてる時のでいいだろ?」
「それは別ですよ。姫ちゃんたちに見られても恥ずかしくない格好にしないと」
「考えすぎだと思うんだけどなあ。姫はどう思う?」
「姫ちゃんの気持ちもわかるよ。私もそう思っちゃうし」
「乙女心は複雑だなあ」
なんてぼやいたら。
「縁ちゃんが適当過ぎるんですよ」
「縁君ももうちょっと気を遣って上げた方がいいよ?」
抗議されてしまった。
「まあ、考えとく」
といっても、ダブルデートにふさわしい服装なんて思い浮かばないのだが。
ともあれ、大まかなプランはできた。あとは細かいところを詰めるだけだ。
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