第13話 僕らにできることを

「寝てるよ……しばらく起きないかも……」

 ユイやルカが帰った夕方、ずっと寝ているアカリの様子を見たノドカが、リビングにいたミツキに伝える


「本の影響?」

「そうだね。アカリには少し力が足りなかったみたいだね。寝ているだけでよかったよ」

 ミツキの向かいソファーに座って、用意されていた珈琲を飲んでふぅ。と一息。ミツキも一緒に珈琲を飲んで、二人とも無言になる


「……父さんが助けられないのか?」

「んー。助けてあげられなくはないけど……」

 ミツキの質問に、浮かない表情で答えるノドカ。一口珈琲を飲んで、話を続けてく

「今助けたとして、本は書けば書くほど魔力がいる。僕らが助けたとして、アカリの力は持たないから……。ゆっくり自分の力で書いてもらうしかないよ」

 と言うと、珈琲の入ったコップをテーブルに置く音がリビングに響く

「それに、僕はちょっとアカリの本について調べようと思ってね」


「あの本、まだ一度もページを全て書き終えたことがないらしいんだ」


「書庫の管理人達にも聞いてみたよ。もう数年、何十年と空白の本棚があるって。それがあの本の本棚らしくてね。ページを埋めた後どうなるとか、埋めている最中も何が起こるかも不明だそうでね」

 ノドカの話を聞いて驚くミツキ。珈琲の入ったコップを持ったまま、呆然としている

「……何でそんな本がアカリに?」

「それを、これから調べてみようかなって……どうしたの?」

 話している側から、ミツキが何だか険しい顔になっていた

「母さんは知っているのか……」

「どうだろうね?知ってるかは分からないけど……」


「不満そうだね」

 段々と機嫌の悪そうな表情になるミツキに、ノドカがクスッと笑う

「アカリに本は来ないようにしていたのに……」

「来てしまったなら、もう仕方ないよ。頑張ってアカリを支えなきゃね」

 ノドカの言葉に、分かってても納得いかなさそうなミツキの様子を見ながら、空になったコップを持ってキッチンへ向かってく

「さてと、不安な顔を見せないように、ご飯食べようか」

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