第10話 美味しいクッキーはいかが?

「二人ともどうしたの?ケンカしたの?」

 翌日、今日は学校が休みなので、ルカがアカリの部屋に遊びに来ていた。朝から機嫌の悪いヒカリに、心配そうにアカリに問いかける

「それが、昨日ルカちゃんが帰ってから、ずっとこんな感じで……」

「デザート待っていたのに……ここの世界のお菓子は美味しいのに……。せっかく待っていたのに」

 機嫌の悪い理由を聞いて苦笑いするアカリ。そのヒカリの言葉を聞いて、ルカが鞄から何かを取り出した

「あらあら。それじゃあ、ヒカリさん。これで機嫌取り戻して」

 と、取り出したのは、ルカが作ってきた沢山のクッキー。種類豊富なクッキーを見て、ヒカリの機嫌も良くなってく

「アカリ、急いでお茶を……」

「はいはい……」

 急に機嫌が良くなったヒカリに、ホッとしつつもちょっと呆れるアカリ。頼まれたお茶を取りに行くため、よいしょと立ち上がる

「アカリちゃん、手伝うよ」

「ありがとう。ルカちゃん」

 二人仲良くお茶を取りに行くために部屋を後にする。パタンと扉が閉まって、一人になったヒカリ。クッキーを一個取ってベットに座ってつまみ食い。クッキーを美味しそうに食べ進めてく

「二人とも仲が良いのね……ずっと続けばどれ程幸せか……」





「……私は本。それは説明した通りね」

 お茶を飲みながら、来た理由を語り始めたヒカリ。美味しそうにクッキーを食べながら話す姿に、緊張感もないまま、話が進んでく

「今は何も書かれていない真っ白な本。アカリにページを埋めさせるために私は来たの」

 アカリとルカもクッキーを食べながら話を聞いて、あまり実感の無い話に、アカリは戸惑いの表情で、クッキーを食べ続けている


「でも、どうして私に?ルカちゃんでも……」

「ダメよ。本を書くには、能力がいるの。ルカちゃんも素敵な人だけど、魔力という本を書くための能力は、残念だけど持っていないわ」

 と言うとお茶を飲むヒカリ。つられてアカリとルカも一緒にお茶を飲んで、ふぅ。と一息ついた

「私だって、そんな魔力とかないよ……」

「それはないわ。だって現に私を呼んで、本を書こうとしたじゃない」

 クスッと笑って答えていると、夢で見た事をぼんやりと思い出す

「そういえば、本を触った時、文字のようなものが出てきてたような……」

 何が書かれていたか思い出そうとしているアカリを見ながら、またクスッと笑ってクッキーを頬張るヒカリ。ちょっと残ったお茶を飲み干して、一人思い出そうと頑張ってるアカリにコップを渡して、また違う味のクッキーを食べてはじめた

「その話は、お茶のおかわり頂いてからにしようかしら」

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