第3話 悩みごとには、気分転換を

「アカリちゃん、どうしたの?」

 授業が進んでお昼時間、ボーッとしているアカリのもとに、お弁当を持ったクラスメイトが話しかけてきた

「へ?あっ、なんでもないよ……」

 部屋に置いてきた本を思い出して、ボーッとしていたアカリ。慌ててお弁当を出して、席を立つ

「お、お昼だよね。ルカちゃん、一緒に食べよう!」

 ルカの手を引っ張って、バタバタと教室を出ていった二人

。そのまま手を繋いだまま、外の広場に着いて、のんびりと二人きりでお昼の時間。お弁当を食べながら、まだずっとボーッとしているアカリに、さすがに不安になったルカが顔を見て、声をかけた


「アカリちゃん。具合悪いの?保健室行く?」

「う、ううん、大丈夫!」

 ルカの心配そうな声に、慌てて否定するアカリ。話しかけたとたん、明るく振る舞うアカリに心配そうなルカ

「今日、ちょっと変な夢見ちゃって、それで……」

「変な夢?どんな夢?」

「それは……思い出せないけど……」

 モグモグとご飯を食べながら、小声なってくアカリの言葉に、ルカが急にパンッと手を叩いた。何かを思い付いた雰囲気で、アカリの顔を見る

「じゃあ、変な夢をまた見ないように、帰り買い物に行こうよ」

「買い物?」

「気分転換にもなるし。ついでに何か食べようよ。美味しいもの食べたら、嫌なことも忘れるよ」

 アカリを元気つけようと微笑むルカに、アカリも微笑んで、答える

「ルカちゃん。ありがとう」






「……願うは、なに?」

 アカリ達の学校が終わる頃、誰もいないはずのアカリの部屋で、声が聞こえる。その声に、クスクスと笑いふわり浮く、アカリのベットに置きっぱなしだった本

「願い?なーんにもないわ」

 どこからか聞こえる声に、答えるように返事をする。その返事に納得がいかないのか、会話が止まってしまう

「本当よ。ただ、叶いそうにないから、無いって言っているの」


「でも……。あの子は、この本を全て埋めることができるかもね」

「あら、珍しいわね……あなたがそんなこと言うなんて」

 いつもとは違い、嬉しそうな声で話す様子に、部屋のどこからか、ため息混じりに話返す声がする。その言葉に笑い言い返さないでいるアカリの本。また会話が止まって、部屋が静かになった


「さて、そろそろあの子が帰ってくる時間ね。また今度ゆっくり話しましょ」

 ふわふわと浮いていた本は、もといたアカリのベットの所へと戻っていく。話の最後まで姿を表さなかった問いかける声は、機嫌のよさそうな雰囲気に不満げな様子。ベットに戻っていく姿に、ふぅ。と一つため息ついて、アカリの部屋を後にするような、そんな気配がする部屋

「ねぇ、あなたのその本……全てページを埋めたから、どうなるの?」

 去り際に再び問いかける声に、ベットに戻ったアカリの本が、その問いかけにまた笑って答える

「それは、ページが埋まったらのお楽しみ……」

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